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2004年7月23日
ライブ映像の記録やネット配信向けに
リアルタイムで電子透かしを埋め込む技術を開発
市販のビデオキャプチャボードを搭載したパソコンで実現
日立製作所システム開発研究所(所長:小坂満隆/以下、日立)は、ライブ映像やネット向け動画にリアルタイムで電子透かしを埋め込む技術を開発しました。本技術は、市販のビデオキャプチャボードを搭載したパソコンを用いて、ソフトウェアによる動画電子透かし埋込み、MPEG-4エンコード、録画のリアルタイム処理を、世界で初めて実現するものです。
近年、ネット上のコンサートや遠隔教育などにおいて、ライブ映像をリアルタイムで配信するサービスが注目され、その市場ニーズが急速に拡大しています。これとともに、ライブ映像の著作権保護や肖像権保護の対策が急務となっています。ライブ映像では、事前にセキュリティ処理ができないため、リアルタイムで映像に管理情報を埋め込む電子透かし技術が必要とされますが、この処理には非常に大きな計算機パワーが必要でした。たとえば、通常のPCですべてのフレームに電子透かしを埋め込む場合、1時間の番組の処理に3時間を要する*1など、インターネット利用者にとって実用的ではありませんでした。
このような背景から、日立では、ライブ映像の記録・インターネット配信に適した、動画電子透かしリアルタイム埋込みシステムを開発しました。今回開発したシステムでは、処理コストの大きかった埋込み強度分析処理を高速化することで、MPEG-4*2エンコードとディスク書き込み処理を含めた、電子透かし埋込み処理をパソコン上でリアルタイムに実現したものです。埋込み強度分析処理の高速化にあたっては、隣接する映像フレームは類似性が高いという性質を利用して、類似箇所への埋め込み処理を軽減し、演算量の大幅な軽量化を実現しました。
本システムにより、ビデオカメラなどの映像信号を直接パソコンに取り込み、電子透かしを埋め込みながら記録する、エンコーダ装置を簡易に組むことができます。また、生中継や監視などのライブ映像に著作権情報を埋め込みながら、インターネット上へリアルタイム配信するビデオストリーミングシステムやVOD(ビデオ・オン・デマンド)システムなどにおける、著作権保護対策の可能性が広がります。今後、日立では、映像素材管理や不正利用映像の配信経路追跡など、コンテンツホルダー、放送局、インターネットサービスプロバイダー、e-Learningなどの多様な業務場面への応用を提案していく予定です。
なお、本システムは、7/22(木)〜23(金)に、東京国際フォーラムで開催している日立ITコンベンション2004に出展しています。
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用語説明
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*1 |
ライブ映像配信サービスでよく用いられる、QVGAサイズ(320×240ピクセル)の映像で、すべてのフレーム(30 fps)に電子透かしを埋め込む場合、従来技術でも、小さな映像の一部のフレームに電子透かしを埋め込むことはできましたが、実用的ではありませんでした。 |
*2 |
MPEG-4:Moving Picture Experts Group Phase4の略で、マルチメディア符号化の国際標準規格です。 |
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動画電子透かしリアルタイム埋込みプログラムを利用したシステム構成例
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| | お問い合わせ先 |
株式会社 日立製作所 システム開発研究所 企画室 [担当:鈴木]
〒215-0013 神奈川県川崎市麻生区王禅寺1099番地
電話 (044)959-0325(ダイヤルイン)
以上