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2004年5月6日
 

次世代携帯電話用システムLSI向けJavaTMアクセラレータ技術を開発

−Java演算ベンチマークにおいて汎用組込みプロセッサで
世界最高レベルの6.5 ECM/MHzを達成−
 
 
 
  株式会社日立製作所(執行役社長:庄山悦彦)は、このたび、Java*1アプリケーションを高速に実行するJavaアクセラレータ技術を開発しました。本技術を携帯電話用システムLSIに適用し、試作した結果、汎用組込みプロセッサとして世界最高レベルの6.5 ECM(Embedded Caffeine Mark*2)/MHzを達成しました。本技術により、携帯電話におけるJavaアプリケーションの大幅な高速化が可能になります。
 
  近年、携帯電話は、データ通信速度の向上に伴い高機能化が進み、市場が拡大しています。今後の主流となる第三世代携帯電話は、動画やゲームなどのマルチメディアアプリケーションが、さらに高度で多様化することが見込まれています。このような高機能化に対応するために、アプリケーションを専用に処理するアプリケーションプロセッサが開発されています。
  Javaは、携帯電話の機種に依存せず機能が拡張できるため、アプリケーションプラットフォームとして重要な技術となっていますが、バイトコードと呼ばれる中間言語の形式で配布され、ソフトウェアの仮想マシン上で処理されるため、通常のC言語などで記述されているプログラムと比較して、低速であるという欠点があり、仮想マシンの高速化が求められています。特に、携帯電話向けには、低消費電力、小実装面積、小メモリ使用量の制約を満たしつつ、高いJava処理性能が求められます。
 
  このような背景から、当社は、アプリケーションプロセッサに内蔵し、高速動作かつ低消費電力を実現するJavaアクセラレータ技術を開発しました。新たに開発した技術の特長は次の通りです。
 
(1)CPU制御共有型Javaアクセラレータ:
CPUとレジスタ、キャッシュメモリを共有することで、高い性能と小実装面積を実現します。さらに、CPUの内部状態を共有することにより、Java固有の処理を高速化しています。例えば、Java実行時の配列境界チェックをデータアクセスと並列実行することで、配列アクセスの高速化を実現しています。
 
(2)高速化技術:
様々なJavaアプリケーションでの安定的な高速動作を実現するために、分岐の高速化やJavaアクセラレータ起動・終了オーバヘッドサイクルの削減、といった高速化手法を採用しています。
 
(3)ソフトウェア仮想マシンの移植容易性:
本Javaアクセラレータは、ソフトウェアの仮想マシンと協調して動作します。ソフトウェア仮想マシンには、CPUやOS、あるいはJava規格*3に依存する部分があるため、様々な実装が存在します。そこで、種々の構成レジスタを実装することで、ソフトウェア仮想マシンの容易な移植を考慮した柔軟なアクセラレータを実現しています。
 
  今回、0.13mのCMOSプロセスを用いて携帯電話向けアプリケーションプロセッサを試作した結果、動作周波数216MHzでJava演算ベンチマーク性能6.5 ECM/MHzを達成しました。また、ECM実行に必要な電力を1/10に低減可能です。
  今後、携帯電話をはじめとした携帯情報機器向けシステムLSIにおけるJavaアプリケーションの高速化技術として期待されます。
  なお、本成果は、2004年4月14日から横浜で開催される低電力と高速LSIに関する国際会議「Coolchips VII」にて発表されました。
 
JavaおよびJavaに関する商標は、米国およびその他の国における米国Sun Microsystems, Inc.の商標または登録商標です。
 
 

用語説明

 
*1 JavaTM:米国Sun Microsystems,Inc.が開発したプログラミング言語および動作環境。プログラムの動作がプラットフォームに依存しないことから、近年携帯電話におけるアプリケーション開発・配信に用いられています。
*2 Embedded Caffeine MarkはPendragon Software社が開発し、組込み機器向けのJava演算性能測定に利用される標準的なベンチマークです。
*3 組込み向けJava環境の規格として、CLDCとCDCがあります。CLDCは、Connected Limited Device Configurationの略で、携帯電話端末などの小型組込み機器向けのコンフィグレーションです。CDCはConnected Device Configurationの略で、PDAや家電などの中小型組込み機器向けのコンフィグレーションです。本Javaアクセラレータはどちらにも対応しています。
 
 
 
以上
 
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