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2004年3月22日
 

大容量のファイルを個人端末間で安全にやりとり可能な
次世代情報共有技術を開発

IPv6*1)ネットワークによるP2P通信の利便性を大幅に向上
 
 
 
  日立製作所中央研究所(所長:西野 壽一、以下日立)は、従来のサーバを介した通信システムでは快適にやりとりできないような大容量ファイルを、端末間で直接かつ安全にやりとりできるユビキタス時代の情報共有技術を開発しました。この技術は、ユーザが端末間で直接通信データのやり取りを行うP2P(Peer-to-Peer)通信において課題となっていた、安全性の問題を解消し、高いセキュリティのもとでファイル共有、インスタントメッセージング、音声通話などを実現する技術です。今後IPv6ネットワークの普及によって急速に拡大するP2P通信環境における、通信事業者・企業向けの情報共有システムです。

  近年、企業はもちろんのこと、一般家庭においても、デジタルカメラやホームビデオの普及などにより、デジタル写真やビデオ動画などの大容量データを扱う機会が増えています。従来ではユーザはファイルサーバを利用してこれらのファイルを共有していました。しかし、今後、IPアドレスに実用上制限がないIPv6が普及すると、個人の端末機器毎に固有のIPアドレスを持ち、ファイルサーバを介しないで直接端末間で情報のやりとりを行うP2P(Peer-to-Peer)通信の時代になります。P2P通信では、ファイルサーバのネットワーク回線や処理能力のボトルネックは解消されますが、一方、端末が自由にデータの送受信を行うため、データの機密性が低下したり、違法な用途に使われるセキュリティ上の危険性がありました。
  このような背景から、日立では、P2P通信に向けたセキュリティ性が確保された利便性の高い情報共有システムを開発しました。技術の内容は、以下の通りです。
 
(1) 中央管理型システム構成によるユーザ管理機能と情報セキュリティ機能
本システムでは中央管理サーバが端末間の通信を制御することにより、高度なユーザ管理機能、および情報セキュリティ機能を実現します。具体的には中央管理サーバが、ユーザ認証、ファイルへのアクセス制御、ファイルデータや通信の暗号化、ユーザ操作のログ記録、などを受け持ちます。また将来的には、中央管理サーバで設定した規定(ポリシー)にもとづいて端末間のデータトラヒックを制御することによって、P2P通信で問題となっている過大なネットワーク負荷の解消が可能となります。
 
(2) 携帯端末からのアクセス機能
携帯電話等の低処理能力端末でデジタル画像などを参照する場合、P2P通信に必要な処理能力を携帯端末側では持てないという課題がありました。本システムでは、ゲートウェイ・サーバがP2P通信を代行することにより、携帯電話やPDAなどの携帯端末からデジタル画像を参照することが可能となりました。
 
(3) リアルタイム通信機能
ファイル共有に加え、インスタントメッセージングや音声通話などのリアルタイムなコミュニケーション機能を実現しました。これにより、利用者はファイルを共有しながら必要に応じて迅速な意思疎通が可能となります。リアルタイム通信のセッション制御にはIETF*2)標準プロトコルであるSIP*3)/SIMPLE*4)を使用しています。
 
  今回開発した技術は通信事業者が提供するサービスや企業の情報システムなど、さまざまな用途に適用することが可能です。今後ますますブロードバンド化とデータの大容量化が進むユビキタス社会において安全かつ拡張性のある情報共有システムを実現する核となる技術です。
 
*1) IPv6: Internet Protocol version 6
*2) IETF: Internet Engineering Task Force
*3) SIP: Session Initiation Protocol
*4) SIMPLE: SIP for Instant Messaging and Presence Leveraging Extensions
 
 
 
以上
 
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本文ここまで


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