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2004年3月1日
指をかざすだけで本人認証する
開放型の指静脈認証技術を世界で初めて開発
―金融機関の窓口向け個人認証システムに搭載―
図: 開発した開放型の指静脈認証装置(試作機) (生体内部情報である指静脈パターンを開放型で実現)
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日立製作所 (執行役社長:庄山悦彦、以下:日立)は、このたび、指をかざすだけで本人認証する開放型の指静脈認証技術の開発に世界で初めて成功しました。指静脈認証技術は、指に光を透過させて生体内部情報である静脈パターンを観察する、日立が開発した耐偽造性に強いバイオメトリクス(生体認証技術)です。今回、静脈パターンの観察法に独自の工夫を加えることによって、指の腹側をかざせば、瞬時に本人認証を行う開放型構造を実現しました。お客様が指をかざすだけで簡単に個人認証ができるために、金融機関などの窓口での本人確認に適しています。日立では本技術を活用したソリューションとして、2004年10月に金融機関向け認証装置および関連サービスを提供する予定です。
近年、急速な情報化社会の進展に伴い、企業や自治体等で、個人データ、機密に対する管理意識が高まっています。これにともなって、指紋、虹彩、声、顔、静脈など「個人固有の特徴」を用いるバイオメトリクスが、偽造や盗難、紛失、不正譲渡の危険が少ない、より確度の高い個人認証手段として認知されつつあります。日立では、新しいバイオメトリクスとして、指の静脈パターンを認証する指静脈認証技術を開発し、高い耐偽造性、非接触性などの特長に加え、高度な認証精度と認証速度を実証してきました。指静脈認証技術は、近赤外光を指に照射し、その透過光から得られる指の静脈パターン画像と、予め登録された画像と照合する方法です。従来のドアの入退室管理用に開発した指の差込型に対し、今回、新たに金融機関などの窓口向けに、開放型指静脈認証技術を開発しました。開放型指静脈認証技術の特長は以下の通りです。
(1) 開放型構造を実現する側面入射型の光学方式
指静脈認証では、指の背面方向から光を当て、透過する光を測定することによって静脈パターンを観察します。しかし、開放型のシステムを実現するためには、指の背面から光をあてる方式を採用することはできません。そこで、光源を指の側面に配置して、真横から光を指の内部に入射する方式を考案しました。指の中で散乱した光のうち、指の腹面から透過した光を集光し、静脈パターン画像を得る全く新しい光学方式です。これにより、認証する指の上方が開放された開放型の指静脈認証を実現しました。
(2) 高精度な静脈パターンを得るイメージング技術
側面入射型の透過光による光学方式では、光が入射される指の側面部は明るく、中心部は暗めになるため、このままでは指静脈パターンの抽出に適した画像にならないという課題があります。そこで、指の両側の光量の比率を時間的に変化させながら複数の画像を取り込み、それらの画像を用いることによって、明るさムラの少ない画像を合成する新しいイメージング技術を開発しました。この技術によって、個人認証に適した鮮明な静脈パターンが得られるようになりました。
今回開発した、開放型の指静脈認証装置は、お客様が指をかざすだけで簡単に個人認証ができるため、多くのお客様が簡単にかつ安全に本人確認することが必要な、金融機関などの窓口での本人確認システムに適しています。日立は、2004年10月に、金融機関向け本人認証ソリューションとして、本技術を搭載した"営業店窓口用指静脈認証装置"を発売する予定です。また、今後ATM用の装置についても提供するとともに、生体認証のSIサービスやコンサルテーションも提供する予定です。
以上