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2004年1月22日
線形加速器を用いた世界初のポジトロン断層撮影(PET)検査用
PET薬剤製造システムを開発
同装置を使用したがんのPET検査を日立総合病院にて今春開始
日立製作所 電力・電機グループ(グループ長&CEO:斉藤 荘蔵/以下、日立)と日立のグループ会社である米国AccSys Technology, Inc.(CEO:Robert W. Hamm/以下、AccSys社)は、このたび、がん細胞の発見を主な目的としたポジトロン断層撮影(以下、PET(*1))検査に使用する放射性同位元素(以下、RI(*2))の製造システムとして、世界で初めて線形加速方式のRI製造装置を用いたPET薬剤製造システムを開発しました。
日立製作所 日立総合病院(院長:岡 裕爾/住所:茨城県日立市/以下、日立病院)は本PET薬剤製造システムを導入したがんのPET検査を、2004年春より開始する予定です。
なお、このたび開発したPET薬剤製造システムの発売開始は、2005年初旬を予定しています。
がんは、1981年以来死亡原因の第一位で、かつ日本人の死亡原因の約3割を占めているほか、世界でも年々患者数が増加していることから、世界規模で検診技術の向上への取組みが行われています。
がん検診の一つの方法であるPET検査は、ポジトロン(陽電子)を放出する核種を標識した薬剤を体内に投与し、その薬剤ががんや脳、心臓などに集まる様子をからだの外部から断層像で撮影する検査方法です。検査の目的に合わせて薬剤を選ぶことで、がんだけでなく、脳疾患、心疾患などの診断もできます。
PET検査では、CT(*4)やMRI(*5)装置などの従来の検査では見つけにくく、かつ比較的完治しやすい1cm以下のがんも発見できるほか、従来の検査よりも短時間で全身の検査が可能であるなど、患者への負担が少ない検査法として、世界各国の医療機関にて導入されております。
これまでRI製造システムとしては、サイクロトロン加速器(*6)が採用されていましたが、AccSys社が開発した線形加速器は、サイクロトロン加速器に比べ軽量・コンパクトという特徴を有し、既存の建物にも容易に据付けることが可能です。また、ターゲットを複数装備し、18F(*7)だけでなく、将来のアップグレードにより他のRI製造にも対応していきます。さらに、自動運転ソフトと優しいユーザーインターフェースを装備し、簡単な操作を可能とした臨床用PET検査に適した加速器です。
日立は、海外グループ販売会社と共にAccSys社と協力し、市場ニーズにマッチしたPET薬剤製造システムをラインナップし、国内のみならず、米国市場および欧州市場での販売を積極的に進めていく予定です。
また、日立病院はPET検診のような高度先進的ながん検診を導入することにより、茨城県北部におけるがん診療の中核病院としての役割を担っていきます。
(*1) |
PET |
: |
(Positron Emission Tomography)陽電子放出断層撮影法 |
(*2) |
RI |
: |
(Radio Isotope)放射性同位元素 |
(*3) |
線形加速器 |
: |
直線状に並べた加速電場により粒子を加速する加速器 |
(*4) |
CT |
: |
(Computer Tomography)エックス線断層撮影 |
(*5) |
MRI |
: |
(Magnetic Resonance Imaging)核磁気共鳴映像 |
(*6) |
サイクロトロン加速器 |
: |
一様な磁場を発生させる電磁石とその磁場の中に入れられた加速電極を用い、粒子をらせん状に加速する加速器 |
(*7) |
18F |
: |
フッ素の放射性同位体で、不安定なため、安定な同位体に変わる際にポジトロンを放出します。半減期は約110分。 |
以上