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2004年1月15日
物体の高速撮像が可能な産業用X線CT装置を開発
物体の断層像を12秒で鮮明に撮像
日立製作所 電力・電機グループ(グループ長&CEO:斉藤 荘蔵/以下、日立)は、このたび、金属部品等の物体の断層像を高精細かつ高速に撮像できる、産業用X線CT(*1)装置を開発しました。新開発した小型・高感度なシリコン半導体検出器を採用したことにより、0.2〜0.4mmの分解能(*2)を達成し、さらに、1断面当たりの測定時間は12秒と、従来に比べて大幅に撮像時間を短縮しました。
X線CT装置は、撮像対象物を切断せずに高精細に撮像できることから、これまで主に医療分野で活用されてきました。そして近年では、医療用X線CT技術を応用した装置が、産業分野にも利用されるようになってきています。しかし、産業用のX線CT装置は、様々な物質を含む対象を撮像する必要があることから、高い分解能が要求され、さらに撮像に当たっては測定対象物を回転させるだけでなく、装置側の検出器も微小な幅で動かす必要があることから、従来の装置では測定時間が短縮できないという課題がありました。
このたび日立が開発した装置は、小型・高感度なシリコン半導体検出器を採用し、これを厚み方向に多数並べているため、測定対象物を回転させるだけで撮像できる第三世代方式(*3)です。さらに、450keV(*4)のX線源を用いたことにより、鉄の場合は厚さ50〜60mm、アルミニウムの場合は厚さ200〜300mmの物体の鮮明な撮像が可能です。また、1断面の計測に要する時間は12秒、分解能は0.2〜0.4mmと、高速かつ高精細を兼ね備えています。このほか、多数の断面を計測して、全体の形状を再構成する3次元計測も可能です。
日立は、この装置を、工業製品の測定・検査や、3次元CADといったデジタルエンジニアリング、デジタルアーカイブなど多様な用途に応用して、産業分野への積極的な拡販を展開していきます。
(*1) |
X線CT(Computed Tomography):物体を透過したX線を様々な位置、方向から検出し、X線が通過した断面内の密度分布を数値計算によって求め画像化します。 |
(*2) |
装置で測定・識別できる最小間隔をさします。 |
(*3) |
第三世代方式は、測定対象物を360度回転させるだけで撮像が可能ですが、従来の第二世代方式は、測定対象物を180度回転させるほか、左右へ並進させる動作があり、検出器も上下させる動作があります。 |
(*4) |
keV(キロ電子ボルト):放射線が物を透過する能力の指標です。1eVは電子1個が1ボルトの電圧差のところに置かれた時に受取るエネルギー量で、450keVは医療用X線CT装置のおよそ2〜3倍のエネルギー量に相当します。 |
■装置の特徴 |
(1) |
撮像時間の短縮化 |
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新開発した厚さ0.4mmの高感度シリコン半導体検出器を、厚み方向に約500個並べることにより、検出器を動かさなくても0.2〜0.4mmの分解能を達成。さらに、1断面当たりの測定時間は12秒と、従来に比べて大幅に撮像時間を短縮しました。 |
(2) |
撮像写真の鮮明化 |
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450keVのX線源を使用しており、大きい金属製品の断層写真も撮像が可能。鉄の場合は厚さ50〜60mm、アルミニウムの場合は厚さ200〜300mmの物体を鮮明に撮像できます。 |
(3) |
3次元計測の高度化 |
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多数の断面を撮像し、合成することにより、内部の空隙を含む3次元の形状測定も可能です。例えば、高さ30cmの物体で、0.5mm間隔に断層像を600枚分撮像して合成する場合、2〜3時間で3次元計測が可能です。 |
(4) |
拡張ソフトウェアの充実 |
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撮像した結果から、部品の欠陥を見つけたり、各部の寸法を高精度で測定したりするソフトウェアや、3次元計測のデジタルデータを使って応力解析等を行う支援ソフトも充実しています。
さらに、日立が2004年4月より発売を予定している「StereoCooker」にも対応します。 |
以上