株式会社日立製作所(執行役社長:庄山 悦彦 以下:日立)は、ユビキタス情報社会におけるネットワークインフラの基盤となる無線LAN位置情報システム事業を推進する組織として、ワイヤレスインフォベンチャーカンパニー(カンパニー長&CEO:木下 泰三)を2004年1月1日付で設立します。本カンパニーは、11月20日に発表した、無線LAN位置検知システム"日立 AirLocationTM"*1を核とするソリューションパッケージを、様々な市場セグメントの顧客向けに販売していきます。
日立の調査によれば、位置情報システム事業は、2008年までの5年間で、国内市場で2,400億円、海外市場まで含めると2兆円という、大きな潜在市場を持っています。その用途は(1)位置管理、(2)探索、(3)情報配信、(4)緊急安全の4つに大きく分類されます。また、市場セグメントとしても、当社の顧客である公共、電力・プラント、交通、都市、産業、流通・店舗、オフィス、警備・防災など、多岐に亘ります。
そこで、日立では、このような市場動向を踏まえ、位置情報システム事業の拡大を促進する「ワイヤレスインフォベンチャーカンパニー」の設立を決定しました。本カンパニーでは、先般提供を開始した日立AirLocationTMを核として、各種業種別サービスに合せた共通のミドルウエアやアプリケーションを開発し、ソリューションパッケージとして様々な市場セグメントの顧客向けに販売推進を行います。具体的には、
(1) |
空港運行管理の効率化:作業車・カートや作業員スタッフの一元的位置管理と業務指示を同時に行うソリューション、 |
(2) |
倉庫・物流業務の効率化:パレットやフォークリフトの位置探索による新しい物流ロジスティクスソリューション、 |
(3) |
流通:大型店舗におけるショッピングカートの動線解析による商品レイアウト戦略や位置にリンクした広告配信によるe-shopping、さらには店員位置管理による最適配置等といったソリューション、 |
(4) |
建設現場や発電所、消防:位置と各種センサを組合せた作業員や隊員の安全管理ソリューション、 |
などを提案していきます。これらの業種別、顧客別ソリューションパッケージの提供によって、2008年度には、日立グループ全体の売上高で172億円を目標としています。
将来的には、業種セグメント拡大や海外展開のみならず、(1)次世代高速無線LAN標準への対応、(2)GPS
*2による屋内外連動サービス、(3)RFID
*3による個体認識デバイスとの連携、(4)IP無線LAN電話を対象にした展開、(5)各種センサと位置検知を融合したセンサネットへの発展を視野に入れていきます。
日立は、「位置情報システム」を、日立グループのシナジーを生かせる新事業と捉え、ユビキタスサービス社会を支える基盤事業として成長させることを目指します。