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2003年11月21日
 

小泉 英明 日立製作所技師長が
『ローマ法王庁科学アカデミー創立400周年記念シンポジウム』で講演

 
 
 
  日立製作所研究開発本部(本部長:中村道治)の小泉英明技師長は、創立400年の節目を迎えたローマ法王庁科学アカデミーから招聘を受け、11月7日から11日までバチカン市国で開催された記念シンポジウムで、講演を行いました。本アカデミーは世界で最も古い科学アカデミーで、今回の創立400周年記念シンポジウムのテーマは「心・脳と教育」及び「幹細胞技術と他の革新的治療法」でした。
  小泉技師長は「心・脳と教育」に関し、脳機能イメージングのめざましい成果と、期待されている教育分野への応用展開について講演を行い、さらに、ローマ法王に謁見して、直接お話しさせていただく機会を得ました。
  ローマ法王庁科学アカデミーは、1603年に、ローマ法王クレメント8世(Pope Clement VIII)の庇護のもとでガリレオ・ガリレイが中心となり、科学者たちの議論の場として設立された、世界最古の科学アカデミーです。約80名のアカデミー会員のうち、現時点でも30名近いノーベル賞受賞者を擁し、人々のための総合科学を目指して活発な活動を続けています。日本からは昨年より、野依良治理化学研究所理事長(2001年ノーベル化学賞受賞)がアカデミー会員となりました。
  今年は創立400周年記念にあたり、現在の最も重要な科学上のテーマについてアカデミー会員が議論した結果、「心・脳と教育」及び「幹細胞技術と他の革新的治療法」の二つのテーマが選定されました。そして、400周年記念ミサ並びに各国科学アカデミー代表列席の記念式典を挟んで、5日間にわたって徹底した討議が行われました。
  小泉技師長の講演題目は、「脳を育む:脳機能計測による学習と教育科学に向けたアプローチ(Developing the Brain: an Approach towards Learning and Educational Sciences by Functional Imaging)」でした。小泉技師長のグループが開発した、日本オリジナルの脳機能計測装置「光トポグラフィ」(R)を用いた脳科学と教育への取り組みについて40分にわたって講演し、さらに、アカデミー会員と討議を行いました。
 
1.日立製作所技師長小泉英明のコメント
  今回、ローマ法王庁科学アカデミー創立400周年記念シンポジウムで、講演する栄誉に恵まれました。
  これは、日本から新たな概念として「脳科学と教育」を世界に発信していること、また、米国のMITテクノロジーレビュー誌が、当社で開発した安全に脳活動を計ることのできる「光トポグラフィ」を、「社会を変える世界の4つの新技術」として紹介くださったことをきっかけに、ハーバード大学の諸先生が、記念講演者の一人として私を推挙してくださったことによるものです。
  講演後に、ローマ法王ヨハネ・パウロ2世(Pope John Paul II)に謁見させていただいた際、アカデミー事務総長のソレンド大司教が、本講演の内容を日立の仕事を含めて丁寧に説明して下さいました。この時、私は思い切って「人々に本当の意味で役立つ研究を目指します」と英語で申し上げました。すると、法王は私の手を握って「有難うございます」とはっきりとした日本語でお答えになりました。また、レーザーの発見・発明者であるタウンズ教授からは、「レーザーがこのような形で人々のために利用されることは、とても嬉しく思います」と言っていただきました。これらの体験を通じて、日本から発信している「脳科学と教育」は、21世紀の大変重要なテーマになることを強く感じました。
 
2.創立400年記念シンポジウムについて
名称   :   "The 400th Anniversary of the Foundation of the Pontifical Academy of Sciences"
主催   :   ローマ法王庁科学アカデミー(Pontifical Academy of Sciences)
開催期間   :   2003年11月7日〜11日
開催場所   :   Casina Pius IV, Vatican Gardens (バチカン市国)
テーマI 「心・脳と教育」 "Mind, Brain, and Education" (講演件数:16件)
テーマII 「幹細胞技術と他の革新的治療法」
"Stem Cell Technology and Other Innovative Therapies" (講演件数:9件)
 
 
 
以上
 
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