株式会社 日立製作所(執行役社長:庄山 悦彦/以下、日立)と株式会社ルネサス テクノロジ(会長&CEO:長澤 紘一)は、このたび、ミューチップのIDデータを読み取る専用ICを開発しました。
電子タグ用ICミューチップは、受信した電波を動作電力とし、128ビットのユニークなIDデータを非接触で送信することができます。このユニークなIDデータは製造工程でROM(再生専用メモリ)に書き込まれることから、書き換えができず、高い真正性が保証されます。これまでに、極小性、真正性、非接触などの特徴を活かして、鋼材流通の現場における現品管理システムや2005年3月25日から開催される「2005年日本国際博覧会(愛・地球博)」の入場券などに採用されています。しかし、ミューチップを更に手軽に使うためには、リーダ装置の小型化、低コスト化が望まれていました。そこで、今回、ミューチップのソリューション提供の一つとして、日立とルネサス テクノロジは共同でミューチップのIDデータ読み取り用ICを開発しました。
本ICはミューチップIDデータの読み取りに必要な回路の高周波部を1チップに集積しています。わずかな外付け部品を追加することで、低コスト、小実装面積(4平方cm程度)なリーダ装置の高周波部を実現でき、例えば携帯電話やPDA等の携帯機器にミューチップのリーダ機能を付加することが可能となります。このように携帯機器へのリーダ機能の組み込みが可能になると、身の回りの多くの物に付けられたミューチップのIDデータを手軽に読むことができるようになります。そして、物につけられた個品番号を確認できることから、品質や真正性の確認、ミューチップをベースにした情報の取り出しといったシステムを構築することができます。これにより、本ICはミューチップとともに、安全で便利なユビキタス社会の実現をさらに推進します。
今回開発しましたミューチップのIDデータ読み取り用ICの特徴は、以下の通りです。
- CO(Voltage Controlled Oscillator)、PLL(Phase Locked Loop)、PA(Power Amplifier)など、ミューチップIDの読み取りに必要な主要高周波部を1チップに集積化。
- 小実装面積を実現する小型パッケージの28ピンQFN(5.2×5.2×0.9mm)を採用。ICの出力端で10mWの出力が可能であり、近距離でのミューチップIDの読み取りが可能。また外付けパワーアンプが不要であるため、システムトータルでの低コスト化を実現可能。
- 本ICの制御を容易にする3線式シリアルインタフェースを採用
両社は、今後もミューチップのソリューションを提供できる製品の開発に協力していきます。
なお、 本製品は、9月10日から12日に東京ビックサイトで開催される第5回自動認識総合展に出展する予定です。
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