日立製作所(執行役社長:庄山 悦彦/以下、日立)は、このたび、世界最小クラス0.4mm角のアンテナ内蔵型の非接触ICチップ「ミューチップ」を開発しました。「ミューチップ」には、128ビット(1038桁)のID番号が書き込まれており、従来の「ミューチップ」では、ID番号を読み取るための外部アンテナが必要でした。今回開発した「ミューチップ」にはアンテナが内蔵されており、0.4mm角のチップのみで、受信した電波を動作電力として非接触でID番号を読み取り機に送信することができます。このため、紙幣や商品券をはじめとする有価証券にそのまま埋め込むことが容易になるほか、これまでの非接触のICタグでは難しかった非常に小さなもの、薄いものに装着することも可能です。
2001年7月に日立が開発した「ミューチップ」は、0.4mm角の世界最小クラスのICチップです。製造工程でデータをROM(読取専用メモリ)に書き込むことから書き換えができず、高い真正性が保証されます。これまでに、これらの特徴を活かして、鋼材流通の現場における現品管理システムや2005年3月25日から開催される「2005年日本国際博覧会(愛・地球博)」の入場券などに採用されています。
今回開発したアンテナ内蔵型「ミューチップ」の特徴は、下記の通りです。
(1)0.4mm角の非接触ICチップにアンテナを内蔵
0.4mm角の超小型のチップにアンテナを内蔵することで、外部アンテナを使用せずに、非接触(密着レベル)で外部と通信することができます。
(2)特殊な生産設備は不要
アンテナ形成技術は半導体産業で広く使われている金バンプ形成技術(ICチップの電気的接点をつける技術)を用いているため、特殊な生産設備は一切不要です。
(3)従来のミューチップとの完全互換性を実現
ID番号およびそのサポートシステムは従来のミューチップと完全互換性があり、既存のシステムを活用することができます。
日立では、今回開発したアンテナ内蔵型「ミューチップ」を活用して、今後も有価証券などに埋め込むことで高度な真贋判定(偽造防止)を実現したり、トレイサビリティ機能を生かして農作物に使われた農薬などの使用を把握し、食品などの生産・流通過程での履歴を消費者に提供するためのツールとして活用したり、伝票に埋め込むことで物流管理の自動化を図るなど、特徴を活かして、さらなる市場の開拓を進めます。
なお、アンテナ内蔵型「ミューチップ」は、 9月10日から12日に東京ビックサイトで開催する第5回自動認識総合展に参考出展する予定です。