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2003年7月28日
ブロードバンド環境に対応した、
実写とCG映像をリアルタイムに融合する技術を開発
−ウォークスルー型(*1)アプリケーションにも対応−
日立製作所システム開発研究所(所長:小坂満隆 以下日立)は、マルチカメラで撮影した人物の上半身の実写映像を、ネットワークを通して転送し、下半身部分のCGモデルと合成して、リアルタイムにCGで作られた背景映像の中に表示するビデオアバタ(*2)の技術を開発しました。さらに、この融合したCG映像の中で、より自然な形で、人物映像に任意の歩行運動をさせるためのネットワーク制御技術についても、検討開発を行いました。本技術の開発は、通信・放送機構の委託研究によって行われたものです。
日立では、複数のプロジェクタを利用して、任意形状の大型スクリーンに超高解像度映像を表示するプロジェクタアレイRを開発し、これを活用した映像空間ソリューションを提唱しています。今回開発した技術についても、さらに完成度を高め、このソリューションの中に取り入れることによって、学校や企業内での教育用コンテンツや、コミュニケーション分野への応用、エンターテインメント分野への展開などを図っていく予定です。
なお、本内容は、米国サンディエゴで開催される国際会議「SIGGRAPH2003」にて、7月30日に発表する予定です。
(*1) |
ウォークスルー |
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3次元コンピュータグラフィックスで作られた仮想空間の中を、人間の視点で歩くように動くこと。あらかじめ定められたコースのみをたどる動画上のものと、利用者の指示に基づいて動く双方向型のものがあるが、今回の発表においては後者を指す。 |
(*2) |
ビデオアバタ |
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仮想空間内にユーザの意図を反映する視覚的キャラクタ(アバタ)として、利用者のリアルタイム映像を用いる手法。 |
- ビデオアバタ作成技術
複数のカメラで人物の上半身を撮影し、リアルタイムにCG画像内に転送するともに、あらかじめCGで作成した下半身の映像と融合することによってビデオアバタを作成します。従来、人物映像をCG画像内に取り込むために全身の映像を撮影してきましたが、今回の技術では、撮影対象を上半身に絞ることによって、比較的狭い空間でも人物映像の取り込みが可能となりました。全身の映像を転送する場合に比べて、ネットワークを介して転送するデータの量も小さくなります。また、下半身部分にCGアニメーションを使うことで、任意の広さの仮想環境の中を自由に動くことができるようになるため、ビデオアバタ技術を応用できる分野が大きく広がります。
- ネットワーク制御技術
実写に基づいたビデオアバタのようなライブ映像と、3次元CG映像とを同期させて用いる場合、例えばビデオアバタの表示の大きさとCG映像とが不自然なバランスにならないようにするなど、映像を表示する際に必要な映像品質が時々刻々と変化します。この変化に的確に対応するためには、ネットワークを流れる情報の種類に応じて優先度をつけるなど、よりきめ細かいネットワーク制御の実現が求められます。日立では、多段階QoS(Quality of Service)の観点から、これまで開発してきた技術を適用することで、実現のメドをつけました。
■ ビデオアバタを取り込んだCG画像 |
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以上