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2003年5月19日
 

有機ELディスプレイの画質を大幅に向上する
「発光期間制御回路技術」を開発

― 平面ディスプレイで初めて“ピーク輝度制御”を実現 ―
 
 
 
  日立製作所中央研究所(所長:西野  壽一)は、このたび、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイの画質を大幅に向上する「発光期間制御回路技術」を開発しました。本技術は、画面上の局所的に明るい部分を、白色ベタ面よりも2倍以上輝かせる"ピーク輝度制御"を、平面ディスプレイとして初めて実現した回路技術であり、"26万色の高精度な発光"や"なめらかな動画表示"が同時に可能です。

  現在、平面ディスプレイの分野では、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイが市場を牽引しています。有機ELディスプレイは、これらの方式に比べ、液晶ディスプレイのような背面光源や、プラズマディスプレイのような高電圧駆動回路が不要なため、薄型・軽量化が可能です。また、各画素自身が自ら発光するため、明暗のコントラストが大きく、広い視野角が実現するなど優れた特性を持っています。成長が期待されるデジタル放送時代におけるパーソナルディスプレイ市場では、こうした有機ELディスプレイの特性に対する期待は大きく、材料、プロセス、制御回路技術の開発が進められています。

  このたび、当社は、有機ELディスプレイの高画質化を実現する「発光期間制御回路技術」を開発しました。技術の詳細は以下の通りです。

(1)発光期間制御回路技術
有機ELの発光は、従来有機発光体の輝度を制御する方式でした。これに対し、当社は、有機発光体の発光する時間幅(発光期間)を画素毎に制御して階調を表現する技術を開発しました。本技術は、厚さ0.7mmのガラス基板に、画素あたり4個のトランジスタを用いた回路を形成し実現しています。
(2)ピーク輝度制御
上記回路技術の、有機発光体の時間幅(発光期間)を画素毎に制御する、という特性を活かし、画面上の局所的に明るい部分を白色ベタ面の輝度よりも2倍以上の輝度で輝かすことができる"ピーク輝度制御"を実現しました。本制御は、従来ブラウン管のみが持っていた特性を、平面ディスプレイとして初めて実現しました。
(3)デジタルテレビ向け高画質特性
デジタルテレビに対応し、"26万色(64階調)の高精度発光"や"なめらかな動画表示"などの高画質特性を同時に実現しました。

  本技術を用いて、薄さ1.8mm、画素数230,400(320×240×RGB)の3.5形有機ELディスプレイを試作し、効果を検証しました。本技術はデジタルカメラや携帯電話向けの小型ディスプレイ、将来は家庭用のTV用モニタなど幅広い適用が可能であり、新しい薄型軽量ディスプレイの世界を拓くものと考えています。

  なお本内容は、米国ボルチモアで開催中の「情報ディスプレイ国際学会(Society for Information Display)」にて、5月20日に発表の予定です。

 
 
 
以上
 
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