株式会社 日立製作所 電力・電機グループ(グループ長&CEO:斉藤 荘蔵)は、 MD Andersonガンセンターが建設する陽子線治療設備の運営会社であるPTC−H(Proton Therapy Cancer−Houston)より、2002年12月に陽子線ガン治療装置を受注しました。本日、同センターの建設に関し、起工式が行われましたのでお知らせします。
陽子線ガン治療は、ガン細胞のみに照射を集中させるよう陽子ビームを制御し、ガン細胞を破壊させる新しい治療方法です。陽子線の効果はガン細胞に集中するため、従来の電子線やX線の放射線治療より副作用が少なく、ガン細胞だけを選択的に治療することができます。このため、切除手術では周りの重要な臓器の機能を大きく損なう可能性のある臓器のガンや、体の深部にあるガン細胞にも有効な治療方法として注目されています。そして、患者への負担も外科的治療や薬の投与による治療より低減できるなど、これまでの臨床でも大きな成果を上げています。
MD Andersonガンセンターは、米国テキサス州ヒューストンに位置し、年間外来患者数65,000人、従業員数11,000人を誇る世界最大規模のガンセンターです。これまでも最先端の技術で治療を行うなど、同センターはガン治療における中心的役割を果たしてきましたが、年々高まりつつある陽子線を使ったガン治療へのニーズに応えるべく、このたび新しい陽子線ガン治療施設を建設することとなりました。
今回同センターが建設を開始する陽子線ガン治療設備での治療は、2005年12月より部分実施し、2006年6月より本格的に開始される予定です。2006年の本格治療開始後は、年間3,400人規模のガン治療が行われる予定です。
当社はこれまで原子力発電事業に従事する中で、核融合装置や加速器等の開発、設計といった原子力関連技術を培ってきました。そして、陽子線を始めとする粒子線を活用した治療が注目される中、当社はこれまでの経験と技術を活かし、PET(Positron Emission Tomography : ポジトロン断層撮影法)検査用装置や陽子線ガン治療用装置事業を行ってきました。陽子線ガン治療設備事業では、筑波大学陽子線医学利用研究センターや若狭湾エネルギー研究センターへ設備を納入するなどの実績を持っています。
今後も市場の成長が見込まれる治療装置事業において、当社は日立グループ内の関連部門と連携を図り、事業の拡大を目指します。 |