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平成11年12月20日

環境ホルモンや食品中の残留農薬などの精密分析を可能にした
ガスクロマトグラフ質量分析システム「M−9000形」を製品化

−Windows(R) NT 日本語版を採用し、快適なオペレーティング環境も提供−

 日立製作所 計測器グループ( グループ長&CEO  猪俣 博 )は、この度、業界トップクラスの高感
度(0.1pgHCB・・注1)を実現し、またWindows(R) NT日本語版を採用することで、より快適な操作環
境を実現したガスクロマトグラフ質量分析システム(以下、GC/MS(Gas Chromatograph Mass 
Spectrometer))「M−9000形」を12月22日から販売を開始します。
 本製品は、GC/MSの質量分析部に当社独自の3DQMS(注2)を採用し、環境ホルモンなどの複
雑で微量な試料のより高感度な分析を実現しました。また、MS/MS機能(注3)の搭載により、河
川水等の複雑な混合物の中から目的とする有害物質を容易に選別可能なため、より精密な分析を実現
しました。
  
 水質や大気などの環境保全に対する関心が高まっており、環境中にある化学物質の微量レベルでの
分析が要求されています。これまでは、河川水中に含まれる有害物質、大気中に含まれるベンゼンな
どの有機化合物や食品中に含まれる残留農薬などの分析には、GC/MSが幅広く用いられてきまし
た。最近では、化学物質の安全基準よりはるかに低い濃度で影響が出るといわれる環境ホルモンの分
析などのために、極微量なレベルでの精密分析を可能とする高感度なGC/MSが求められています。
さらに、専門知識を持たない人が、GC/MSを扱う機会が増えていることから、操作性の向上も求
められています。
 
 今回、製品化した「M−9000形」は、微量なイオンを質量分析部内に保持させてから、目的と
するイオンを選別して分析を行う3DQMSを採用しています。さらに、イオンを検出する手段とし
て新たに開発した高感度検出器を採用することにより、従来の分析装置が困難であった微量試料の質
量や内容等の分析情報を高感度で同時に得ることができます。
 また、河川水に含まれる有害物質の分析などを行なう場合、河川水中の混合物質が目的とする有害
物質の測定を妨げていましたが、本製品では、MS/MS機能を搭載することにより、妨害物質を除
去することが可能となり、高度な定性情報と定量情報を備え、精密で豊富な分析情報をスピーディに
提供することができます。
 また、OSにWindows(R) NT日本語版を採用しました。トータルシステムの管理から分析条件の設
定、データの自動定量、自動レポート印刷まで、すべて日本語で対応でき、快適な操作環境を提供
します。

 当社では、本製品を環境分析や食品分析などの分野に拡販を図り、平成12年度に100台の出荷
を目指しています。

<注釈>
 (注1)0.1pgHCB :感度をあらわす数値で、0.1×10−12gの ヘキサクロロベンゼンの意味です。
 (注2)3DQMS   :Three Dimensional Quadrupole Mass Spectrometer(3次元QMS)
           分析部にイオンを保持した後、目的としたイオンを選別する方式。従来のフィル
         タ方式と比較し、イオンを保持する分だけ高感度になります。 
 (注3)MS/MS   :Mass Spectrometry/ Mass Spectrometry(マススペクトリ/マススペクトロメト
            リ)従来は複数のMSで行っていた分析測定を1台のMSで行う機能。MS/MS機能を用い
                 ると、妨害物質の中から目的とする試料を高感度に測定できます。

■「M−9000形」の特長
  (1)微量な試料でより高感度な分析情報を取得可能な「3DQMS」を採用
     質量分析部は「イオン」を分析部に保持させて分析させる「3DQMS」を採用しており、fg(フェ
     ムトグラム)領域(10−15g領域)で、試料の量と試料の内容を高感度で安定した分析情報が得
     られます。
  (2)河川水等、妨害物質の多い試料から目的試料の分析が可能な「MS/MS機能」を搭載
     河川水など環境中に残留する汚染物質の中には、同じ質量数を持つ成分が目的試料の妨害物質と
     して存在します。このような場合、妨害物質と目的試料の質量数が同じでも、それぞれの分子構
     造が異なることから「MS/MS機能」を用いることで、妨害物質の中から、高感度に目的試料
     を測定することができます。
    また、「MS/MS機能」を用いることにより、目的物質がどのように構成されているか調べる
     ことも可能です。
 (3)Windows(R) NT日本語版に対応
      Windows(R) NT日本語版を採用しているため、ガスクロマトグラフの管理から分析条件の設定、
      ヘルプ機能、自動レポート印刷まですべて日本語で対応でき、使い勝手の良いシステムを実現
      します。 

■価格および出荷時期
        製 品 名             価  格    出荷時期
ガスクロマトグラフ質量分析システム「M-9000形」   1,340万円 〜  平成12年3月

■主な仕様
項 目仕  様
質量分析計形式3DQMS(3次元Qマス)
感度ヘキサクロロベンゼン1pg S/N≧10
ヘキサクロロベンゼン0.1pg S/N≧10(高感度検出器付)
ユーザー操作環境Windows NT日本語対応
ガスクロマトグラフシステムトータルコントロール対応
大きさ3DQMS本体:(幅)660×(奥行)560×(高さ)510(mm)
ガスクロマトグラフ:(幅)660×(奥行)600×(高さ)510(mm)
質量3DQMS本体:50kg
ガスクロマトグラフ :42kg
所要電源3DQMS本体:単相100V 2.0KVA
ガスクロマトグラフ:単相100V 2.5KVA

■他社商標
 ・Windowsは、米国およびその他の国におけるMicrosoft Corp.の登録商標です。 

          
                                                                              以  上



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