株式会社 日立製作所
フランス国立研究所INRIA
株式会社日立製作所(以下 日立)とフランス国立研究所INRIA(The French
National Institute for Research in Computer Science and Control)は、情報技術の
分野における研究・開発の協力に関する包括契約を締結しました。この契約により、日立と
INRIAは、共同の研究開発プロジェクトを計画しており、標準化と事業化を視野に入れつ
つ、インターネット関連の新技術を開発します。日本の大手企業がフランスの公共研究機関と
情報技術の分野で提携するのは、今回が初めてです
協力の第一弾として、両者は、協同作業型ワークフロー管理システムの開発プロジェクト
「コルベット」をスタートすることで合意しています。
「コルベット」について:
企業の競争力を高めるためには生産や設計などのエンジニアリング分野でも業務の効率化や
生産性の向上が求められています。今回のプロジェクトで両者が開発する協同作業型ワークフ
ローは、機械設計やソフトウェアの開発など、多人数が協調しながら共同で作業を行うエンジ
ニアリング業務での利用を目的としています。
設計や開発業務では開発製品毎にワークフローを頻繁に作成し、作成したワークフローは作
業の進行状況により変更され、これに伴って参照する書類も変更されます。定型化されたワー
クフローを繰り返すことが多い従来のワークフロー管理システムでは、この様な変更が頻繁に
発生するワークフローを取り扱うことが困難でした。
今回開発する協同作業型ワークフロー管理システムでは、実行中のタスクの追加・削除など
の機能や書類へのアクセス管理などをワークフローの中で統一的に扱うことが可能で、これま
で取り扱いが困難と本されてきたエンジニアリング業務に対して有効な手段を提供します。
日立は日立のワークフローの管理製品であるWorkCoordinatorで培ったワークフロー管理技
術を、INRIAは協同作業に適したワークフロー制御の記述方式を各々提供し、1年間でプ
ロトタイプの開発と実験評価を行います。そして、本プロジェクトの成果を、日立のワークフ
ロー関連製品の機能強化に適用する予定です。
INRIAのラルトゥルー所長は次のように語っています。「この協力は、日立の技術開発
とINRIAの基礎研究を結びつける良い事例です。 情報化社会の進展に貢献したい。 この
協力関係を通じて、 INRIAは日立の情報システム開発での貴重な経験から利益を得ること
になります。」
日立の情報・通信グループの小平光彦グループ長付(事業戦略担当)は、 「今回の合意は、ヨ
ーロッパはもとよりグローバルに共同研究開発プロジェクトを推進しようとする日立の戦略を
示すものです。私どもは、情報技術の分野で幅広い貴重な知識と経験をもっているINRIA
との共同研究・開発活動に期待しています。」と述べ、「この研究・開発協力の成果が、イン
ターネット関連の技術分野に新たなインパクトを与えることを期待しています。」と付け加え
ました。
今回、協同作業型ワークフローの管理技術の開発の共同プロジェクトをスタートさせました
が、今後、衛星を利用したインターネット関連技術の開発及び知識管理技術の開発など、幅広
い分野での協力を目指して意見交換を推進します。 衛星を利用したインターネット関連技術の
開発では、情報配信の高速化と、受信者の大規模化への対応などがポイントになります。また、
知識管理技術の開発では、XMLベースのソフトウェアプロセス知識管理技術や,素材情報から
再利用しやすいより抽象的な知識を導出する知識学習技術がポイントになります。
INRIAは、情報技術の研究分野でトップレベルにあるフランスの国立研究・開発機関で、
1967年に設立されました。本部は、パリ近郊のロッカンクールにあり、研究所はフランス
国内の5ケ所(ロッカンクール、レンヌ、ソフィア・アンティポリス、 ナンシー、グルノー
ブル)にあります。 研究者は約1,700名で、 総勢人員約2,100名です。主要な研究分野は、ネ
ットワークシステム、ソフトウェア・エンジニヤリング、シンボリック・コンピューティング、
データ管理、知識システム、イメージ処理です。 ESPRIT(欧州委員会が主催する情報分
野での研究戦略プログラム)、W3C(Web関連のデファクト標準を推進する国際的なコンソ
ーシアム)、あるいはIETF(インターネット関連のデファクト標準を推進する国際的なコ
ミュニティ)のようなさまざまな研究開発計画及び標準化団体に数多く貢献するとともに、行
政および産業界に対するコンサルティングやノウハウの提供等、多くの経験を有しています。
詳しくはINRIAのホームページ(http://www.inria.fr)を参照下さい。
以 上
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