日立製作所 半導体グループ(グループ長&CEO 石橋 正)は、このたび、XGA(注1)、SXGA(注2)サイ
ズの大画面、高精細TFT液晶パネルの駆動用ドライバとして、液晶駆動電圧発生用のDAC回路に、出力
階調電圧レベルを抵抗(R)のみで生成するFull-R DAC(注3)を採用した256階調TFT液晶ドライバ
「HD66352」を製品化し、平成12年2月からサンプル出荷を開始します。
本製品は、クロック周波数70MHzの高速動作を実現した上、2画素並列による液晶データの高速取り込
みが可能なため、SXGAまでの高精細パネルを高品質な表示で実現できます。
近年、ノートパソコンや省スペース型デスクトップパソコン、モニターなどに搭載されるTFT液晶
パネルは、XGA、SXGAサイズの大画面、高精細製品の需要が拡大しており、TFT液晶パネルのデータ線
を駆動する液晶ドライバの需要も大きな伸びが期待されています。そして、液晶ドライバに対しては
64階調から256階調への多階調化、高速化、低消費電力化のニーズが高まっています。
当社は、従来、XGA、SXGAサイズのカラーTFT液晶パネル向けに、液晶駆動電圧15Vで65MHz動作の
256階調TFT液晶ドライバ「HD66350」を製品化してきましたが、今回、さらに256階調TFT液晶ドライ
バのラインアップ強化として、液晶駆動電圧10Vで70MHz動作の高速データ取り込みを実現す
「HD66352」を製品化しました。
本製品は、液晶駆動電圧発生用のDAC回路に抵抗のみで構成したFull-R DACを内蔵しています。
従来、当社のDAC回路はコンデンサを搭載しており、このコンデンサに蓄積される電荷を放電するな
どの制御をしていました。しかし、Full-R DACではコンデンサがなく、制御時間が不要なため、DAC
出力波形の立ち上がり時間を当社従来比約60%に短縮しました。これにより、液晶駆動出力信号も立
ち上がり時間が速くなり、大画面、かつ高精細でムラのない表示を実現できます。
さらに、1画素あたり8ビットのデジタルデータで256階調の出力電圧を発生し、64階調よりきめ細
かいγ-特性(注4)となるため、色再現性が良くなり、最大1,677万色のカラー表示を実現できます。
また、当社独自のオフセットキャンセル方式の採用によって、駆動電圧のばらつきを±2mVに抑えて
おり、ムラのない高品質のパネル表示が実現可能です。
また、内部回路の動作電圧を2.3Vまで低電圧化し、さらに液晶駆動タイミングコントローラなど
の外部回路とのインタフェースは、CMOSインタフェースとして2.3Vから動作できるようにしたため、
システム全体の低電圧化、低消費電力化を実現できます。
表示駆動出力数は384本あり、液晶パネルのデータ線駆動においては、XGAでは本製品を8個、
SXGAでは10個で駆動できます。パッケージはTCP(注5)であり、インナーリードに50μmピッチ技術
を採用しています。
今後もTFT液晶パネルの動向に合わせて、製品ラインアップの強化を図っていきます。
(注1)XGA(Extend Graphic Array):ディスプレイの精細度規格の一つ。
XGAはIBM社の商標で、ドット数は1,024×768ドット。
(注2)SXGA(Super Extend Graphic Array):ディスプレイの精細度規格の一つ。
ドット数は1,280×1,024ドット。
(注3)Full-R DAC:出力階調電圧レベルを抵抗(R)のみで生成するDAC(Digital to Analog
Converter:デジタル/アナログ変換器)。
(注4)γ-特性:液晶駆動電圧を発生するDAC回路の入力コードデータに対する出力電圧を表した非直
線性の特性。一般的には、カメラ・テレビなどの映像関係で感光材料や撮像デバイスなどの特
性を表わす。
(注5)TCP(Tape Carrier Package):1mm厚以下の超薄型実装が可能な薄膜テープ上にマウントした
パッケージ。
■応用製品例
TFT液晶パネル(ノート型パソコン、省スペース型デスクトップパソコン、モニター)
■価 格
製 品 名 サンプル価格(円)
HD66352 1,300
■仕 様
項 目 | 仕 様 |
機 能 | 256階調TFTデータ線ドライバ |
電源電圧 | 2.3〜3.6V(ロジック) 7.0〜10.0V(アナログ) |
動作温度 | −30〜+75℃ |
パッケージ | 457ピンTCP |
データ入力 | 48ビットデジタル入力 (8ビット×6画素) |
表示駆動出力数 | 384出力 |
出力電圧精度 | ±2mV |
クロック周波数 | 70MHz(Vcc=3.0〜3.6V) 45MHz(Vcc=2.3〜3.0V) |
その他の機能 | オフセットキャンセル ドット反転機能 Nライン反転機能 データ反転機能 |
以 上
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