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平成11年11月4日

半導体製造装置の光学部品や半導体、液晶用素材の評価に特化した
分光光度計「U−4100」を製品化

−ArFエキシマレーザステッパの光学部品の高精度測定を実現−

  日立製作所 計測器グループ(グループ長&CEO 猪俣 博)は、この度、半導体製造装置に使用さ
れる光学部品や半導体、液晶用素材等の高精度の評価、品質管理を実現する分光光度計(注1)
「U−4100」を製品化し、平成11年11月9日から販売を開始します。
  本製品は、特にArF(フッ化アルゴン)エキシマレーザステッパのレンズやミラー等の光学部品
の光学特性の評価に対応するため、半導体製造装置の光学部品、半導体、液晶用素材等の評価に特
化し、従来の分光光度計では困難な短波長領域での反射率や透過率の高精度測定を実現しました。

 近年、高集積化が進む半導体デバイスは、製造プロセスの微細化が進展しています。特に、ステ
ッパにおいては、線幅を細くするために短波長の光源が要求されており、光源の露光波長は、従来
の水銀ランプi線(365nm(注2))、KrF(フッ化クリプトン)エキシマレーザ(248nm)から、さらに
短波長領域のArFエキシマレーザ(193nm)に移行しつつあります。露光波長が短くなると、レンズ
やミラー等の光学部品に、より精密な性能が要求されるため、反射率や透過率といった光学特性の
厳密な評価が重要になってきます。ArFエキシマレーザステッパの光学部品の光学特性を分光光
度計で評価するためには、ArFエキシマレーザと同波長の光を当て、反射率や透過率を測定する
ことが必要です。しかしながら、従来の分光光度計では、このような短波長域での高精度測定がで
きず、ArFエキシマレーザ対応光学部品の光学特性の評価は困難でした。

 そこで、この度、当社は、200nm以下の波長域で高い効率を持つ回折格子(注3)の搭載、紫外域で
の反射率劣化を抑えたミラー表面の蒸着処理技術、反射率の高い材料をコーティングした高感度積分
球の採用、ノイズレベルを低減した信号処理技術などを組み合わせることによって、175nmから200
nmの短波長領域での反射率や透過率の高精度測定を実現した分光光度計「U−4100」を製品化し
ました。
 本製品は、カメラ用レンズ、ミラーなどの一般光学部品の品質管理に適した「標準タイプ」のほか、
液晶の大型ガラス基板をそのまま測定可能な大形試料室を持つ「大形試料測定タイプ」、ArFエキ
シマレーザステッパ用光学部品の評価に適した「短波長域測定タイプ」を用意しました。
 当社では、「U−4100」を半導体製造装置メーカー、製造装置に組み込まれる光学部品メーカ
ー、液晶メーカー及び液晶用ガラス基板メーカーを中心に、平成12年に100台の出荷を目指して
います。

(注1):分光光度計は、特定の色(波長)の光を物質に当てた時に得られる透過率、反射率などから、
    物質中に含まれる成分の、種類、濃度などを分析する計測器であり、医薬品製造、化学工
    業、環境汚染測定など、幅広い分野で使われています。
(注2):nmは、百万分の1mm。
(注3):回折格子(グレーティング)は、光の回折現象を利用して、白色光(太陽光のように紫から
    赤などたくさんの色を重ね合わせた光)を、単色光に分けるための素子。


■分光光度計「U−4100」の特徴
(1)200nm以下の波長域で高い効率を持つ回折格子を搭載
  回折格子は、表面に1mm当たり約1000本の溝が刻まれており、この一本一本の溝の形状によって、
 どの波長域でどの程度の効率を持つかが決まってきます。日立はこのような極微細な溝を精密に
 加工する技術を持っており、この技術を使って200nm以下の波長域で特に効率の高い回折格子を製
 作しました。

(2)紫外域での反射率劣化を抑えたミラー表面の蒸着処理技術の開発
  ミラー表面には反射材としてアルミニウムが蒸着されています。この反射率は、アルミニウム
 蒸着面の酸化によって低下するため、酸化防止膜としてフッ化マグネシウムを蒸着しています。し
 かし、特に短波長域(紫外域)では、従来の酸化防止膜ではこの反射率低下を抑えられませんでし
 た。このため、この酸化防止膜をより強くし、紫外域でも反射率低下を抑えたミラー製作技術を
 開発しました。

(3)反射率の高い材料をコーティングした高感度積分球の採用
  積分球内面には、紫外域で反射率の高いフロロカーボンをコーティング材料に採用しました。

(4)ノイズレベルを低減した信号処理技術
  ノイズには、ゆっくりと変化するものと、極短時間に変化するものとがあります。従来の装置
 でも、ゆっくりと変化するノイズについては、一定時間ノイズを積算、平均化するなどの処理に
 より低減することができましたが、短時間に変化するものについては、ノイズ低減が困難でした。
 このため、新たに高速A/D変換技術を応用し、信号処理間隔をノイズの変化する時間より短くした
 上で、一定時間のノイズを積算、平均化することにより、これまで困難だった短時間に変化する
 ノイズの低減も可能としました。

■分光光度計「U−4100」価格および出荷時期
製 品 名価 格出荷時期
・標準タイプ(一般光学部品評価用)780万円〜平成12年3月10日〜
・短波長域測定タイプ1,300万円〜
・大形試料測定タイプ820万円〜

■主な仕様(標準タイプ)
項 目内 容
測定波長範囲175〜2,600nm
分 光 器プリズム・グレーティング
またはグレーティング・グレーティングのダブルモノクロメータ
波長正確さ紫外・可視域 ±0.2nm、近赤外域 ±1.0nm
光   源紫外域 重水素ランプ、可視・近赤外域 50Wハロゲンランプ
検 出 器紫外・可視域 光電子増倍管、近赤外域 冷却型PbS
測定モード吸光度(Abs)、透過率(%T)、反射率(%R)
データ処理部PC、OS:Windows(R)98
大 き さ光度計本体:(幅)730×(奥行)800×(高さ)880(mm)
試料室内部:(幅)480×(奥行)470×(深さ)200(nm)
消 費 電 力AC100、115、220、240V  50/60Hz 500VA
質    量120kg

■他社商標表記
  Windowsは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標です。


                                                                           以  上


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