株式会社日立製作所 ディスプレイグループ(グループ長&CEO 丸山 紘一)は、このたび、急
拡大するTFT液晶市場に対応するため、千葉県の茂原製造本部に新たに製造ライン(V3ライン)
を建設することを決定しました。
V3ラインでは、液晶デスクトップPC用、デジタルメディア対応モニタ用、液晶TV用、ノー
トPC用の大形TFT液晶や携帯情報端末用の中小形TFT液晶など、今後成長が期待される分野
向けのTFT液晶の量産を行います。
まず、平成11年度下期に約140億円の投資を行い、建家の建設と生産設備・装置の開発を行
います。V3ラインの建家は、187m×80mの3階建であり、本年10月末に着工し、平成
13年度下期から量産を行う計画です。
近年、液晶市場では、ノートPCの大画面化の進展及び液晶デスクトップPCの急激な立上がり
のため、36cm(14型)以上の大形TFT液晶の需要が急拡大しています。しかし、各社の設
備投資抑制の影響により供給能力が不十分であり、平成10年第4四半期から、特に大形サイズを
中心に、TFT液晶の需給がタイトになっています。
当グループでは、このような状況に対応し、茂原製造本部にあるTFT製造ライン(V1ライン、
V2ライン)の生産効率の向上による能力拡大を図ってきています。平成11年度上期には、V2
ラインに追加投資を行い、生産効率の更なる向上により大形TFT液晶の生産能力を大幅に拡大し、
現在、V1ライン、V2ラインを合せて、月産約23万台(アウトプットベース)の生産体制を整
えています。
今回、更なるTFT液晶の市場拡大に対応するため、新たにV3ラインを建設し、生産能力の増
強を行うことを決定しました。
V3ラインでは、パネル多面取りによる高生産効率性の観点から、ガラス基板サイズはV2ライ
ンの650mm×830mmで培われてきた技術をベースに、できる限り大きな基板を採用する予
定であり、現在のところ、730mm×920mmという業界最大クラスのガラス基板も候補のひ
とつです。
当グループでは、大形TFT液晶に、当社独自のSuper-IPS(In-plane Switching:横電界)技
術を順次採用し、超広視野角や高速応答により他社製品との差別化を図っています。また、液晶事
業の更なる拡大と安定化を図るため、パソコン以外で今後成長が期待される携帯端末用の中小形の
TFT液晶の生産も行っていきます。
V3ラインは、これら大形TFT液晶や中小型TFT液晶を混流生産することが可能であり、市
場の状況に応じてフレキシブルな生産対応を行っていきます。
今後の投資計画としては、現時点での市況見通しから大きく変動がなければ、平成12年度上期
に約200億円規模の量産設備の追加投資を行い、平成13年度下期から量産を開始する予定です。
なお量産開始後も市況をみながら段階的に追加投資を行い、更なる生産能力の拡大を図っていき、
最終的にはフル稼動時で月当たり4万枚のガラス基板投入能力にする予定です。
<V3ラインの概要>
○ 場所 :(株)日立製作所 ディスプレイグループ 茂原製造本部(千葉県茂原市)
○ 投資額 : 平成11年度下期に約140億円。その後、市況見合いで平成12年度上期に
約200億円規模の追加投資を予定。なお平成13年度下期の量産開始後も、
市況をみながら段階的に追加投資を行う予定。
○ 着工時期: 平成11年10月末
○ 生産時期: 平成13年度下期から量産開始の予定
○ 生産能力: フル稼動時で月当たり4万枚(ガラス基板の投入能力ベース)
○ 生産品目: 液晶デスクトップPC用、デジタルメディア対応モニタ用、液晶TV用、ノート
PC用の大形TFT液晶、携帯情報端末用の中小形TFT液晶
<日立のTFT液晶事業について>
V2ラインでは、現在稼動している中で業界最大のガラス基板(650mm×830mm)を採
用しており、ガラス基板1枚あたり31cm(12.1型)では9枚、38cm(15型)では
6枚、46cm(18型)では4枚と大形TFT液晶の多面取りができ、高効率の生産ができるこ
とが特徴です。
また、ノートPCのコンパクト外形に対応するChip on Glass実装技術、カラーフィルター、駆
動用LCDドライバー、バックライトなどキーコンポーネントを内作化することで、高性能な部品
を安定して自社に供給できることも当グループの強みです。
当グループは、業界で初めてIPS方式により超広視野角を実現したスーパーTFT液晶を平成8
年に製品化しており、現在、液晶デスクトップPCのモニタ用途として、36cm(14.1型)、
38cm(15.0型)、46cm(18.1型)を生産中です。また本年10月からは、スーパー
TFT液晶の画質を向上させるSuper-IPS方式を採用し、全視野角にわたり色変化がきわめて少な
く、ブラウン管に匹敵する高画質なTFT液晶を生産し、他社製品との差別化を図っています。
以上
|