日立製作所 家電グループ(グループ長&CEO:宇根山 祥久)は、冷蔵室の温かい食品を自動的に狙っ
て従来の約半分の時間で冷却し、保鮮性の向上や食材の粗熱取り*1を実現した「ねらいうち冷却システム」
を業界で初めて塔載したPAM*2高速冷蔵庫『ねらってビュン2』*3シリーズ(6機種)を、10月
10日から順次発売します。
「ねらいうち冷却システム」は、冷蔵室背面に「高速循環ファン」と左右にスイングする「冷風吐出ルーバ
ー」を設け、約3℃の冷風を従来の約10倍の風速(当社比)で高速循環させ、両側壁等に設けた7個の「ねら
いうちセンサー」で庫内温度を監視しルーバーを温かい食品に自動的に向けることで、高速PAM運転とあ
わせ、食品を凍らせることなくパワフルに冷却します。
これにより、温かいポテトサラダなら約35分、手作りのゼリーは約40分と、従来の約半分の時間*4
で食べ頃の温度に急速冷却します。さらに、ハンバーグ用の炒め玉ねぎなら約25分と、従来の約半分の時
間で「粗熱取り」をします。また、扉の開閉後や多量の食品が入った場合もルーバーを自動的に左右に振っ
て急速に冷やすので、より新鮮な状態で保存できます。
加えて、冷凍食品の解凍時間を半減した(当社比)急解凍機能も備え、「おいそぎ冷蔵」ボタンを押せば
「ねらいうち冷却」と同じ約3℃の冷風を吹き出すことで冷凍食品を素早く解凍でき、調理の省時間、省力
化ニーズにも応えました。
環境保全については、昨年10月に世界で初めて冷蔵庫に採用したPAM制御を、さらに高効率化したワ
イドレンジPAM制御などにより、年間消費電力量を470Lで400kWh/年とし、80kWh/年の省エネ化
を実現しました。
さらに、冷蔵庫業界初の鉛フリーはんだを電子制御基板に適用するほか、易分解構造、樹脂材料の統合化
と再生材の活用、梱包用発泡スチロールの削減など多角的に環境保全に努めました。
*1:調理過程で、加熱食材を次の調理作業のために室温近くまで冷ます冷却行為。例えば、ハンバーグ用の
炒め玉ねぎは、手で挽き肉などと練り合わせやすく、雑菌の繁殖も極力抑えるため室温程度まで冷ま
す。
*2:パルス電圧振幅波形制御方式(Pulse Amplitude Modulation)
*3:『ねらってビュン2』=『ねらってビュンビュン』
*4:昨年発売の当社R−S44PAM比
■価格及び発売時期
製品名 | 型 式 | 有 効 内容積 | 標準価格 (税別) | 発売時期 | 当初月産台数 |
冷凍冷蔵庫 | R−S47EPAM | 470L | 260,000円 | 10月10日 | 15,000台 |
R−S41EPAM | 410L | 225,000円 | 10月20日 | 15,000台 |
R− 41EPAM | 410L | 200,000円 | 10月20日 | 5,000台 |
*:各機種に設定の左開きタイプ(内容積、標準価格は同一)を加え、合計6機種
家庭用冷蔵庫の総需要(冷凍庫を除く)は1998年10月〜1999年9月で約490万台が見込まれ、
中でも内容積351L以上の需要は約5割に達しています。
大容量化につれ、一度に多量の食品を収納するまとめ買いや、家庭での食品凍結(ホームフリージング)も
普及し、冷却力アップと省エネの両立が課題となっています。
日立では、このようなニーズに対応し、昨年10月、インバーター制御に代えて省エネとハイパワーの両
立がより理想的に実現できるPAM制御を、世界で初めて冷蔵庫に採用し、一層の省エネ化を図る一方で、
業界最短の食品凍結時間*1により高品質冷凍を実現した「PAM急冷凍」機能を搭載し、好評を得ました。
*1牛肉(150g・15mm厚)の最大氷結晶生成帯(−1〜−5℃)通過時間:約25分
今回の製品では、メニューの多様化や主婦の社会進出で高まる調理の省時間・省力意識を踏まえ、調理過
程の食材の冷却や解凍時間を半減したいというニーズに応えて、冷却方式の改善により、冷蔵室の冷却力を
一挙に約2倍*2に高める「ねらいうち冷却システム」を開発しました。昨年採用の「PAM急冷凍」機能
を加え冷蔵・冷凍両域の高速冷却で、調理にも積極的に参加して多忙な主婦を支える新たな価値を備えた冷
蔵庫を実現しました。
*2:昨年発売の当社R−S44PAM比
新開発の「ねらいうち冷却システム」は、多量の食品も速やかに所定の温度まで冷却し、さらにその後は
扉開閉や新規収納食品による熱的影響を抑えながらその温度を保つことで、冷蔵食品の鮮度・風味の低下を
抑えます。
また、手作りのゼリーを速やかに冷やし固めたり、温かいポテトサラダを冷やす「食べごろ冷却」だけで
なく、従来はウチワや、場合によっては冷凍室で冷ましていた弁当やハンバーグ用の炒め玉ねぎなどの「粗
熱取り」も業界で初めて可能としました。さらには、就寝時間を遅らせてまでも冷めてから冷蔵していた残
り物のカレーや味噌汁などの「残り物冷却」も、温かいまま(約50℃以下*3)収納可能としました。
さらに、同じ高速冷風の利用で、冷凍食品の解凍時間を従来の約半分とする「急解凍」機能で、午後に献
立を考えて解凍を始めても夕方には利用可能としました。
加えて、昨年採用した業界トップレベルの食品凍結時間(約25分)による高品質冷凍機能も引き続き備え、
PAM制御によるハイパワーを冷蔵・冷凍両域で駆使する高速冷却冷蔵庫を実現しました。
*3:ナベごと入れる場合を想定し、手を触れても危険が少ない温度を上限とした
◆ 冷却・解凍時間の新旧比較
| | | 冷却・解凍時間(分) | 冷却条件(冷却温度、冷却食品量) |
従 来 | 新製品 |
急冷却 | 食べ頃冷却 | ゼリー | 約70 | 約40 | 30℃→10℃、100cc×4個 |
ポテトサラダ | 約70 | 約35 | 30℃→15℃、600g |
粗熱取り | ハンバーグ用炒め玉ネギ | 室温での冷却 約45 | 約25 | 75℃*5→40℃、玉ネギ350g |
弁 当 | 室温での冷却 約120 | 約55 | 75℃*5→40℃、700g(・ご飯400g・副菜300g) |
残り物冷却 | カレー・シチュー | 約120*4 | 約35*4 | 500g |
急解凍 | ステーキ用牛肉 | 約180 | 約100 | −18℃→―3℃(半解凍)、150g |
マグロのさく | 約220 | 約120 | −18℃→―3℃(半解凍)、200g |
〈試験条件〉 ・従来機種:R−S44PAM 新製品:R−S47EPAM ・試験室温:30℃
・庫内には、全室に食品相当の模擬負荷を配置
*4:冷蔵庫に入れられるまでの待ち時間。 従来は室温で75℃→30℃まで120分かけて冷ました後、冷蔵庫
に入れるとした。新製品では、75℃→50℃まで35分で冷ました後、冷蔵庫に入れられるので、待ち時間
が85分短縮できる。
*5:皿や弁当箱に入れて冷却開始した時の食品温度。
大容量化に応える省スペース化では、新製品はいずれも従来同等タイプとほぼ同じ外形寸法で、庫内容積
を30L拡大しました。
地球環境保全については、地球温暖化防止の点で急務の省エネ化を、低速回転域をさらに拡大したワイド
レンジPAM制御と、それに対応した新形コンプレッサーの開発とで高効率化を図り、470Lタイプでは
400kWh/年として、当社10年前の450Lタイプ*1の約1/3の消費電力量を実現しました。また、製品自
体の「ハード省エネ」だけでなく、食品が少ない時などにセットすればコンプレッサーを低速域で運転する
「ソフト省エネ」機能「おさえめ」運転モードも採用しています。加えて、PAM制御により冷蔵庫の力率
(電力の有効利用率)を約3割向上し、電力設備の負担
を軽減する「社会的省エネ」と、総合的に省エネ化を追求しました。
さらに、冷蔵庫業界では初めて、内分泌撹乱作用を疑われている*2鉛を含まない、鉛フリーはんだを電
子制御基板に採用しました。
このほか、内容積拡大と両立を図りながらの易分解構造の採用、樹脂の再生材の活用や梱包用発泡スチロ
ールの削減など、環境保全にも多角的に努めました。
*1:R−45XT (450L) 年間消費電力量=1130kWh/年
*2:環境庁発表
■主な仕様
型 式(左開き) | R−S47EPAM (R−S47EPAML) | R−S41EPAM (R−S41EPAML) | R−41EPAM (R−41EPAML) |
内容積(L) | 合 計 | 470 | 410 |
冷 蔵 室 | 243 | 218
| 野 菜 室 | 100 | 86
(L) |
冷 凍 室 | 127 | 106 |
外形寸法(mm) (幅・高さ・奥行き) | 675・1770・698
| 600・1770・698 |
ワイドレンジPAM制御 | ○ | ○ | ○ |
自動製氷機 | ○ | ○ | − |
消費電力量* | 1 400/400kWh/年 | 390/390kWh/年 |
本体の色 | 右開き | CC:カスタードベージュ、H:パールグレー、T:パールブラウン |
左開き | CC:カスタードベージュ、H:パールグレー |
*1:「JIS C9801・消費電力量試験」による。(周囲温度25℃、扉開閉あり)
以 上
|