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平成11年6月17日 |
世界最高速のアクセス時間を実現する新型SRAMの試作に成功 |
−バイポーラトランジスタとMOSトランジスタを融合した新型回路により、
当社従来品比約1/2のアクセス時間550ピコ秒を実現− |
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日立製作所は、このたび、世界最高速のアクセス時間550ピコ秒(1ピコ:1兆分の1)を実現するSRAMを試作
しました。今回のSRAMは、高速性に優れた「バイポーラトランジスタ」と高集積化に適した「MOSトランジス
タ」を融合した新型回路で構成しており、0.2μmの微細加工技術により、当社従来品の約1/2サイズとなるセ
ル面積12平方μmで、約2倍の動作周波数900メガヘルツを実現しています。
今後、メインフレームなどのコンピュータ製品に本SRAMを搭載することで、飛躍的な性能の向上が期待で
きます。
現在、メインフレームの記憶部では、大量の情報を記憶するために用いられる集積度の高いDRAMと、情報
を高速に伝達するアクセス時間の短いSRAMの2種類のメモリが使用されていますが、今後メインフレームの高
性能化を追求する上では、SRAMの性能向上が必要不可欠となっています。
当社では、これまで、高速性が優先される「周辺回路」にはバイポーラトランジスタを、小型化が必要な
「メモリセル」にはMOSトランジスタを使ったSRAMを開発し、現在のメインフレーム「MP-5800シリーズ」
に採用してきました。しかし、現行のSRAMでは、高集積化するためにMOSトランジスタを微細化すると、MOS
トランジスタの耐圧が低下するため、原理的に、大きな電圧を発生するバイポーラトランジスタを周辺回路
に使用できないという課題が発生します。つまり、メモリセルを小型化すると、高速なバイポーラトランジ
スタが使用できなくなり、一方で、高速性を重視すると高集積化が不可能になってしまいます。
そこで、当社の中央研究所とデバイス開発センタは、MOSトランジスタとバイポーラトランジスタの双方の
特徴を最大限に発揮できる新しい回路を開発し、その回路を採用した超高速・高集積な新型SRAMを試作しま
した。
新型SRAMの特徴は以下の通りです。
(1)微細化を実現するために、メモリセル部(MOSトランジスタ)と周辺回路(バイポーラトランジスタ)との間に
「電圧変換回路」を内蔵した新規回路を導入しました。この電圧変換回路は、バイポーラトランジスタが
発生する大きな電圧を小さな電圧に変換するため、耐圧の低下を気にすることなくMOSトランジスタを微細
化することができます。また、電圧変換回路自体をバイポーラトランジスタで構成することにより、電圧
の変換を高速に行います。
(2)動作周波数を向上するために新しい「モード切り換え方式」を開発しました。この方式は、メモリセルを接
続する信号線(ビット線)の負荷をバイポーラトランジスタで構成しました。バイポーラトランジスタの非線
形性(抵抗素子のように電流と電圧が正比例しない)を利用し、「書き込みモード」と「読み出しモード」
での電流値の違いにより、インピーダンス(抵抗値)が自動的に切り換わるようにします。このため、従来
「書き込みモード」と「読み出しモード」を切り換えるために必要であった時間を削減できます。
これらの技術を用いて試作したSRAMは、当社従来品と比較して約1/2以下となる世界最高速550ピコ秒のア
クセス時間やメモリセル面積、さらに約2倍となる900メガヘルツの動作周波数を実現しました。
高速性と高集積性を合わせ持つ今回のSRAMは、今後の超高速・高集積メモリに新しい途を開き、メインフ
レームの高性能化を一層促進する有力な技術として期待できます。
なお、この新型SRAM技術の詳細については、6月17日(木)から京都で開催される「1999 Symposium on
VLSI Circuits」において発表する予定です。
<今回開発したSRAMの性能比較>
| 今 回 | 従 来 |
アクセス時間 | 550ピコ秒 | 1,200ピコ秒 |
動作周波数 | 900メガヘルツ | 500メガヘルツ |
メモリセル面積 | 12平方μm | 30平方μm |
集積度 | 1メガビット | 72キロビット |
消費電力 | 42.7ワット | 3.3ワット |
プロセス技術 | 0.2μm BiCMOS | 0.3μm BiCMOS |
発表時期 | 1999年 Symposium on VLSI Circuits | 1994年 Symposium on VLSI Circuits |
以 上
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