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平成11年5月24日

鋳造シミュレーションシステム「ADSTEFAN」を発売

                                                                              株式会社日立製作所
                                                                        株式会社東北テクノアーチ
                                                                                  東北大学大学院
     
     
  日立製作所は、この度、東北大学 新山英輔元教授、同大学院工学研究科安斎浩一助教授らが中心となって
平成4年に発足した産学共同プロジェクト「鋳造CAE研究会(Stefan)」で開発した鋳造時の液体金属の流
動現象と伝熱現象を数値解析するための鋳造シミュレーションシステム「ADSTEFAN」を5月28日から発売
します。
 本システムは、大学の研究成果を事業化するために設立された技術移転機関(TLO:Technology  Licensing
Organization)である株式会社東北テクノアーチ(本社:仙台市,社長:渡邉 眞)を通じて事業化するもの
で、企業への技術移転として、東北テクノアーチ初のケースとなります。
     
 鋳造は、高温の溶融金属を型内に流し込み,冷却させることにより所定の形状の製品を製造するプロセス
で、自由な形状の製品を低コストで生産できることから自動車部品をはじめとして幅広い産業分野で利用さ
れています。
 しかし、鋳造時には流れと凝固の過程で製品として致命的な欠陥が発生することがあり、これを避けるた
めの製造方法(方案)の検討が重要となります。従来、方案の最適化は技術者の「経験」と「勘」に頼った
試行錯誤的な手法が主流であり、最も重要な作業の定量化が課題となっていました。
     
 このようなニーズにいち早く注目した東北大学 新山英輔元教授(現小山ポリテクノカレッジ校長)、東北
大学大学院工学研究科 安斎浩一助教授らは、企業・大学会員25名で構成される「鋳造CAE研究会 
(Stefan)」を平成4年発足させ、鋳造シミュレーション技術を開発するとともに、開発技術を生産現場に
普及させる活動を行ってきました。約7年間の研究会活動において各会員の生産する鋳造品やダイカスト部
品の方案設計にシミュレーション技術を適用し、実際の製品に発生する鋳造欠陥と解析結果を比較すること
により、解析結果の信頼性を確認するとともに、初期設計段階での不良撲滅,製品の高品質化に大きく寄与
してきました。
またこの間、会員の意見や要望をもとに、解析プログラム高精度化、操作性の向上、解析速度の向上、使用
メモリの低減などシステムに様々な改良を加えてきました。
 本システムは、従来ブラックボックスであった型内への溶融金属の流入の様子や凝固する過程を数値解析
によりコンピュータ上で可視化するものであり、有効な実験方法のない鋳造法においては極めて強力な設計
支援CAEツールとなります。鋳造シミュレーションシステムを利用することにより初期設計段階で最適な
鋳造方案をコンピュータ上で検討・策定することができ、試作回数の低減、製作期間の短縮、コスト低減な
どの効果が期待できます。
     
 こうした大学での研究成果を、民間企業に移転して新事業を創出するための機関(TLO)である株式会社東北
テクノアーチを通して株式会社日立製作所日立研究所が製品化し、茨城日立情報サービス株式会社が販売す
ることになりました。当研究所では、製品化にあたり、東北大学で開発した解析技術をベースに更なる高機能
化を目指し、解析プログラムの高速化・高精度化・解析安定性の強化,操作性の向上、 CADデータダイレ
クトトランスレータの追加などの改造を施し、より実用性の高いシステムへと改良を行ないました。
     
     
■ADSTEFANの特徴
  〇幅広い鋳造プロセスに対応:重力鋳造からダイカストにいたるまで幅広い鋳造プロセスにおける湯
  流れ・凝固現象を正確に解析することができます。
  〇簡単な操作体系:通常CAEシステムは専門のオペレータが担当しますが,本システムは半日程度
  の講習で誰でもすぐ使いこなせるようになります。
  〇安定した解析アルゴリズム:7年間の研究会で培ってきた数値解析技術駆使し,鋳造時の非定常,
  非線形現象を短時間に,しかも安定的に解析することができます。
  〇信頼できる自由表面解析:独自の自由表面解析アルゴリズムにより3次元的に複雑な自由表面の変
  形,移動現象を精度良く解析することができます。
  〇3次元CADデータの利用:CADデータから直接メッシュデータを作成可能であり,形状データ
  の入力作業を大幅に効率化することができます。
  〇ダイナミックメモリアロケーション機能:解析実行時解析モデルの大きさに応じて必要なメモリ領
  域をダイナミックに確保します。
     
■システム構成
  〇3次元形状データ作成・修正モジュール
  〇自動メッシュ作成・修正モジュール
  〇CADデータダイレクトトランスレータ
  〇解析パラメータ設定モジュール
  〇湯流れ解析実行モジュール
  〇凝固解析実行モジュール
  〇周期的定常熱収支解析モジュール
  〇解析結果表示モジュール
     
■使用環境
  ハードウェア   メモリー       :128MB以上(推奨)
                 ハードディスク :4GB以上(推奨)
  対応機種 ・HITACHI 9000シリーズ(HP-UX 10.X)
           ・HP Workstation(HP-UX 10.X)
           ・Sun Workstation(Solaris 2.6)
           ・SGI Workstation (IRIX 6.X)
           ・COMPAQ-α(UNIX版)
           ・Linux(redhat 5.2)
     
■商標表記
 ・HPは、米国Hewlett-Packard Companyの商標です。
 ・HP-UXは、米国Hewlett-Packard Companyのオペレーティングシステムの名称です。
 ・Sunは、米国Sun Microsystems,Inc.の商標です。
 ・Solarisは、米国Sun Microsystems,Inc.のオペレーティングシステムの名称です。
 ・SGIは、米国SiliconGraphics,Inc.の商標です。
 ・IRIXは、米国SiliconGraphics,Inc.のオペレーティングシステムの名称です。
 ・COMPAQは,米国COMPAQ COMPUTER CORPORATIONの商標です。
 ・UNIXは、X/Open Company Limitedが独占的にライセンスしている米国ならびに他の国における登
  録商標です。
 ・Linuxは、Linus Torvaldsの米国およびその他の国における登録商標あるいは商標です。
 ・redhatは,米国Red HatSoftware, Inc.の商標です。
 ・その他、記載されている会社名、商品名は、各社の商標あるいは登録商標です。
     
■予定販売価格および出荷時期
     買い取り価格(税別)       :400万円 年間保守料80万円
     年間ライセンス価格(税別) :240万円(初年度)
                                200万円(2年目以降)年間保守料含む
     出荷時期                 :5月28日
     

     
                                                        以  上


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