日立製作所 半導体グループ(グループ長&CEO 石橋 正)は、このたび、「H8Sシリーズ」の最上位機種として
、OA機器、PC周辺機器のコントローラ向けに、256kバイト大容量フラッシュメモリを搭載した高速・高性能
F-ZTAT(TM)(注1)マイコン「H8S/2678シリーズ」を開発しました。
今回は、第一弾として、動作周波数33MHz時に18.9MIPSの高性能と33Mバイト/秒の高速データ転送を実現し
た「H8S/2676F」を製品化し、平成11年11月からサンプル出荷を開始します。本製品は、0.35μmプロセスを
採用し、16ビットCISCマイコン(注2)としてはトップクラスの高性能を実現します。これにより、高性能・多
機能化、およびデータの高速転送化が進むプリンタ等のOA機器、CD、DVD等のPC周辺機器を制御することが
可能です。
また、CD、DVD等のPC周辺機器向けに、必要最小限の周辺機能で構成したローコスト版「H8S/2318シリーズ」
の第一弾として、フラッシュメモリなしの「H8S/2312」を製品化し、平成11年10月からサンプル出荷を開始し
ます。
当社は、16ビットマイコン「H8Sシリーズ」として、タイマやA/D、D/A変換器などの周辺機能を豊富に内蔵
した「H8S/2633シリーズ」、256kバイトフラッシュメモリを内蔵した「H8S/2338、2328シリーズ」、低消費電
力用途に32KHz発振器を内蔵した「H8S/2238シリーズ」を製品化してきました。
一方、近年のプリンタ、コピー機などのOA機器は、多彩な機能を融合させたMFP(Multi Function
Product)化の方向に進み、また印字品質も格段に向上しています。さらに、イーサネットインタフェースや
周辺装置接続用のUSBインタフェース等の高速通信機能が標準搭載されるため、OA機器、PC周辺機器のコント
ローラ用LSIは高性能化と大量データの高速転送化が要求されています。
そこで、今回、これらのニーズに対応するため、動作周波数33MHzの高速動作かつ33Mバイト/秒の高速デ
ータ転送を実現する「H8S/2676F」を製品化しました。
「H8S/2676F」は、以下の特徴により、コントローラ用LSIとして最適です。
(1)3.3V時に33MHzの高速動作を実現
フラッシュメモリ、RAMに1クロックでアクセス可能のため、CISCマイコンでは動作周波数33MHz時に
18.9MIPSという業界トップクラスの性能を実現しています。また、従来、システム制御用、通信制御用
の各チップで構成していたシステムを本製品のみで制御することが可能です。
(2)33Mバイト/秒という高速転送性能のEXDMAC(注3)を4チャネル内蔵
CPUとの完全並列動作が可能なEXDMACにより、データ転送を行いつつ、CPU処理を独立で行うことが可能
となり、1チップでシステムのトータルパフォーマンスを向上させることができます。
また、USBなどの通信データの転送を最大4チャネルまで制御可能のため、転送チャネルが複数必要な通
信システムの制御に最適です。
(3)256kバイトの大容量フラッシュメモリを内蔵
大規模プログラムの格納ができ、さらに3.3Vの単一電源での書き込みが可能です。
(4)各種メモリとの直結、およびきめ細かいウエイト制御が設定可能なバス
コントローラを内蔵バスコントローラとしては、バーストROMインタフェース、64Mビット EDO DRAMイ
ンタフェースなどをサポートし、さらに、I/Oとの接続性を考慮したきめ細かいウエイトコントロールも
可能で、容易にシステム設計を行うことができます。
(5)豊富な周辺機能を内蔵
内蔵したPLL発振回路は、4/2/1逓倍機能をプログラマブルに変更でき、低速な発振周波数でフル動作
を実現できます。また、データ転送機能としてEXDMACのほか、従来のDMAコントローラ、DTC(注5)
も内蔵しており、従来の製品とのコンパチビリティが維持できます。その他の周辺機能としては、各種
タイマ、A/D、D/A、シリアルコミュニケーションインタフェースを標準搭載し、機能拡張として17本の
外部割り込みをサポートしています。
なお、「H8S/2312」は、フラッシュメモリを内蔵せず、また必要最小限の周辺機能で構成した電源電圧
3.3V、動作周波数25MHzのローコスト製品です。
パッケージは、「H8S/2676F」では多ピン化によりピンの使用効率を向上させた、使い勝手の良い144ピン
QFPを採用しています。また、ローコスト版の「H8S/2312」は、100ピンのQFPおよびTQFPを採用しています。
(注1)F-ZTAT(TM)(Flexible Zero Turn Around Time)は、(株)日立製作所の商標です。
(注2)CISC:Complexed Instruction Set Computerの略。複雑な命令セットをもつマイコン。
16ビットマイコンクラスでは、CISCアーキテクチャが採用されている。
(注3)EXDMAC:External Direct Memory Access Controllerの略。DMACは、
一般的にマイコンに内蔵された、データ転送を行う周辺機能。Externalとは、マイコンの外部バス
上でおもにデータ転送を行うことを意味する。
(注4)PLL発振回路:PLLは、Phase Locked Loopの略で、同期位相ループ。低い発振周波数を倍周し、
高速動作を可能とする回路。
(注5)DTC:Data Transfer Controllerの略。DMACと同様な機能を持つが、DMACに比べ、低速。
DMACは大量データを高速に転送する用途に主に使用されるが、DTCは少量データをランダムに
転送できる特長を有する。
■応用機器
●コピー機、プリンタなどのOA機器、MFP機器
●CD、DVDなどのPC周辺機器
●その他通信分野
■価 格
製 品 名 パッケージ サンプル価格(円)
H8S/2676F HD64F2676VFC QFP-144 2,700
H8S/2312 HD6412312VTE TQFP-100 950
HD6412312VF QFP-100 850
以 上
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