日立製作所は、このたび、XGA(注1)サイズの大画面TFT液晶パネルのデータ線駆動用ドライバとして、
独自に開発したオフセットキャンセル方式の採用により、出力電圧のばらつきを±2mVに低減した
「HD66323/325」を製品化し、平成11年7月からサンプル出荷を開始します。
本製品は、出力電圧のばらつきを低減することにより、ムラのない高品質のパネル表示を実現し、さ
らに消費電力を当社従来品の約75%に低減しました。
最近、ノートパソコンや省スペース型デスクトップパソコン、モニターの好調な伸びにより、TFT液
晶パネルはXGA、SXGA(注2)サイズなど大画面かつ高精細品に需要がシフトしています。これに伴い、高
精細TFT液晶パネルのデータ線を駆動する専用ドライバも大きな需要が期待されています。
また、TFT液晶パネルの大型、高精細化に伴い、垂直方向のデータ線を駆動するドライバに対しては、
液晶パネルの負荷に対応した高い駆動能力と駆動電圧の均一化、低消費電力などが要求されています。
当社は、すでにXGAサイズのカラーTFT液晶用として、384出力、ドット反転タイプのドライバ「HD66322」
を製品化し、市場に投入してきましたが、このたび、さらに駆動電圧の均一化、低消費電力を実現した
ドライバとして「HD66323/325」を製品化しました。
「HD66323/325」は、XGAサイズの大画面、高精細カラーTFT液晶に適したデータ線ドライバです。
1画素あたり6ビットのデジタルデータを受け取り、64階調の電圧を発生することで、26万色表示を実
現します。また、XGAの液晶パネルのデータ線駆動には、3,072(1,024ドット×3)出力が必要ですが、
本製品は6ビットのD/Aコンバータとオペアンプを384個内蔵した384出力のため、8個搭載するだけで
駆動することが可能です。
また、データ線ドライバの重要な特性の一つに駆動電圧の均一性があり、当社従来品ではチップに内
蔵した384個のオペアンプは、入出力オフセット電圧のばらつきが±10mV程度ありました。しかし、本
製品では、当社独自のオフセットキャンセル方式を用いることで、駆動電圧のばらつきを±2mVに抑え
ています。さらに、入出力オフセット電圧の極性をフレーム間、およびライン間で反転させることが可
能となり、そのため、ムラのない高品質のパネル表示が実現できます。
その上、小チップ面積化、低消費電力化に有効な手段として、隣接出力間でオペアンプ回路を共有す
るペアアンプ方式にさらに改良を加えており、当社従来品と比較し、チップ面積を約80%、消費電力を
約75%に低減しました。
「HD66323/325」の2製品は、入力ピンの配置およびインタフェース仕様が異なっていますが、従来製
品との互換性を図るため、機能およびTFT駆動回路の性能は同じです。パッケージは、インナーリード
に50μmピッチ技術を採用したTCP(注3)を準備しており、チップサイズ、TCPサイズともに面積の小型
化を実現しています。
今後は、当社独自のオフセットキャンセル駆動方式の他、ペアアンプ方式、多ピン化技術をベースに、
TFT液晶パネルの動向、多様化に合わせて、製品ラインナップの強化を図っていきます。
(注1)XGA(Extended Graphics Array):
ディスプレイの精細度に関する規格の一つ。
XGAはIBM社の登録商標で、ドットサイズは1,024×768ドット。
(注2)SXGA(Super Extended Graphics Array):
ディスプレイの精細度に関する規格の一つ。ドットサイズは1,280×1,024ドット。
(注3)TCP(Tape Carrier Package):
1mm厚以下の超薄型実装が可能な薄膜テープ上にマウントしたパッケージ。
■応用機器
TFT液晶パネル搭載製品(ノート型パソコン、省スペース型デスクトップパソコン、モニター)
■価 格
製 品 名 サンプル価格(円)
HD66323 750
HD66325 750
以 上
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