日立製作所は、このたび、XGA(注1)サイズの大画面、高精細TFT液晶パネルの駆動用ドライバとし
て、当社が独自に開発したオフセットキャンセル方式の採用により、出力電圧のばらつきを±1mVに
低減した「HD66324S」を製品化し、平成10年12月20日からサンプル出荷を開始します。
本製品は、出力電圧のばらつきを低減したことで、ムラのない高品質のパネル表示を実現し、さら
に消費電力を当社従来品の約75%に低減することが可能です。
最近、ノートパソコンや省スペース型デスクトップパソコン、モニターの好調な伸びにより、TFT液晶
パネルはXGA、SXGA(注2)サイズなど大画面かつ高精細品に需要がシフトしています。これに伴い、
高精細TFT液晶パネルの垂直方向のデータ線を駆動する専用ドライバ需要も大きな伸長が期待され、
当社は、すでにXGAサイズのカラーTFT液晶用として、384出力、ドット反転タイプのドライバ「HD66322」
を製品化し、市場投入してきました。
しかし、TFT液晶パネルの大型化のさらなる進展により、データ線を駆動するドライバには、パネル
負荷に対応した高い駆動能力と駆動電圧の均一化、低消費電力化が求められています。そこで、今
回、出力電圧のばらつきを低減し、かつ低消費電力も実現した「HD66324S」を製品化しました。
「HD66324S」は、XGAサイズの大画面、高精細カラーTFT液晶に適したデータ線ドライバです。1画素
あたり6ビットのデジタルデータを受け取り、64階調の電圧を発生し26万色表示を実現します。6ビット
のDAコンバータとオペアンプを384個内蔵した384出力のため、XGAデータ線を8個で駆動できます。
また、データ線ドライバの重要な特性の一つに駆動電圧の均一性があり、当社従来品では、同一チッ
プ内に内蔵した384個のオペアンプにおける入出力オフセット電圧のばらつきが±10mV程度発生して
いました。しかし、本製品では、当社独自のオフセットキャンセル方式を用いることで、入出力オフセッ
ト電圧の極性をフレーム間で反転させることが可能となり、駆動電圧のばらつきを±1mVに抑えること
ができます。そのため、ムラのない高品質のパネル表示が実現できます。
さらに、小チップ面積、低消費電力に有効な方式として、隣接出力間でオペアンプ回路を共有するペ
アアンプ方式を採用、さらに改良を加えたため、当社従来品の「HD66322」と比較し、チップ面積を約80
%、消費電力を約75%に低減しました。
パッケージはTCP(注3)で、インナーリードに44μmピッチ技術を採用し、チップサイズ、TCPサイズと
もに面積の最小化を図りました。
今回開発したオフセットキャンセル駆動方式の他、ペアアンプ方式、多ピン化技術をベースに、今後
もTFTパネルの動向に合わせて、製品ラインナップの強化を図っていきます。
(注1)XGA(Extended Graphics Array):
ディスプレイの精細度に関する規格の一つ。XGAはIBM社の登録商標で、ドットサイズは1,024×768
ドット。
(注2)SXGA(Super Extended Graphics Array):
ディスプレイの精細度に関する規格の一つ。ドットサイズは1,280×1,024ドット。
(注3)TCP(Tape Carrier Package):
1mm厚以下の超薄型実装が可能な薄膜テープ上にマウントしたパッケージ。
<応用機器>
TFT液晶パネル対応(ノート型パソコン、省スペース型デスクトップパソコン、モニター)
<価 格>
製 品 名 | サンプル価格(円) |
HD66324S | 800 |
<仕 様>
項 目 | 仕 様 |
機 能 | 64階調TFT液晶データ線ドライバ |
電源電圧 | 3.0〜3.6V(ロジック) 6.0〜11.0V(アナログ) |
動作温度 | −20〜75℃ |
パッケージ | 443ピンTCP |
データ入力 | 36ビットデジタル入力(6ビット×6画素) |
駆動出力数 | 384出力 |
出力電圧精度 | ±1mW(オフセットキャンセル時) |
データ線充電時間 | 7μS |
クロックスピード | 45MHz |
その他の機能 | オフセットキャンセル ドット反転機能 Nライン反転機能 データ反転機能 |
以 上
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