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News Release

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平成10年10月8日

移動体通信機器向けでは業界最大の128×80ドットのグラフィック
表示を実現したグラフィック液晶コントローラドライバを製品化

−5倍昇圧電源も内蔵し、コンパクトサイズの移動体通信機器
での電子メールサービスなどを実現−

  日立製作所は、このたび、「グラフィック液晶コントローラドライバシリーズ」のラインアップ強化として、
デジタル携帯電話、PHS、メッセージページャなどの移動体通信機器の液晶表示システム用に、1チッ
プ型としては、クラス最大の128×80ドットに対応可能なグラフィック表示(注1)用液晶コントローラドライ
バ「HD66741」を製品化し、平成10年10月からサンプル出荷を開始します。
  本製品は、1チップで128×80ドットまでの大画面液晶パネルを駆動できるため、携帯機器の小型液
晶パネル上で漢字メッセージや電子メール、さらにはWWWコンテンツなどの情報配信サービスに容易
に対応できます。実装形態としてCOG(注2)やCOF(注3)、TCP(注4)などを品揃えしており、ユーザーの
様々なニーズに対応することが可能です。

 近年、デジタル携帯電話やPHSなどの移動体通信機器は、さらなる薄型・軽量化と、低コスト化が追
求されています。一方、多機能化や高付加価値化のニーズに対応し、小型液晶表示パネルにも、従来
の電話番号表示や電話帳機能だけではなく、漢字メッセージや電子メール、WWWコンテンツなどの情
報配信サービス等の付加機能を実現するため、大画面サイズのグラフィック表示が必要となっています。

  従来、このクラスでの一般的な1チップ型グラフィック液晶コントローラドライバは、縦方向が65ドット程
度の表示サイズでした。この表示サイズでは、12×13ドットの漢字フォントの場合、5行分の漢字表示し
かできず、漢字メッセージ通信や電子メールなどの新規の情報配信サービスへの対応は不十分でした。

  そこで、当社は、携帯電話などの構造上、比較的実装領域に余裕のある縦方向に表示サイズを80ドッ
トまで拡張し、128×80ドットの大きな液晶画面で、多くの情報を一括表示できるグラフィック液晶コントロ
ーラドライバ「HD66741」を開発しました。これにより、12×13ドットの漢字フォントを使用した場合は最大
10桁6行の60文字、さらに10×11ドットのコンパクトな漢字フォントを使用すると最大12桁7行の84文字の
漢字をまとめて液晶画面内に表示できるため、漢字メッセージや電子メール、WWWコンテンツなどの新し
い情報配信サービスの提供が容易になります。

  一般的に128×80ドットクラスまで液晶画面サイズを大きくすると、液晶駆動電圧の上昇、表示画質の
低下、消費電流の増大などを伴いますが、本製品では、これらを最小限に抑える仕様を搭載しています。
 まず、液晶駆動電圧の上昇に対しては、システムの電源電圧から最大5倍の液晶駆動電圧を発生する
昇圧回路を内蔵しました。これにより、3V電源のシステムでは、約15Vの液晶駆動電圧を確保することが
できます。また液晶駆動バイアス比をソフトウェアでプログラマブルに設定できるため、オン/オフ過渡特
性に優れた液晶材料を使用すると、液晶駆動バイアス比を低く抑えることができ、液晶駆動電圧そのもの
を下げることが可能です。
  また、表示画質の低下を防ぐために、液晶駆動電圧発生用オペアンプの駆動能力を高めるとともに、各
ドライバの出力オン抵抗を低く抑えました。さらに、液晶画面上で発生するクロストークノイズ(糸引きノイズ)
を低減させるため、大型液晶表示システムで用いられているCパターン液晶駆動方式を採用しました。
  Cパターン液晶駆動方式により、複数ラインに一度、液晶の交流駆動を行うことで、液晶表示の点灯部
分と非点灯部分での交流化周波数を均一化し、交流化周波数の偏差に伴うコントラスト変動を低減できま
す。


  さらに、低消費電力対策として、低消費電力型の液晶駆動電源用昇圧回路やオペアンプ、画面の一部の
表示領域のみを部分的駆動できるパーシャル表示機能を内蔵しました。パーシャル表示機能を使用すると、
携帯電話などの待ち受け時間中に、ピクトグラムや時刻などを限定的に表示させることで、液晶駆動デュー
ティや液晶駆動電圧を下げ、消費電流を大幅に削減することが可能です。例えば、全画面をフルに表示す
る場合、トータル消費電力は420μW(3V動作時)ですが、パーシャル表示機能で一部の表示エリアのみを選
択駆動することにより、210μW(3V動作時)に抑えることができます。これにより、待ち受け時間中の消費電
力を約50%削減することができ、長時間のバッテリー駆動が可能です。
 また、システムの電源電圧の低電圧化に対応しており、1.8Vの単一電源で最大5倍までの昇圧電圧を発生
させることができます。1.8Vの電源電圧で画面全体をフル表示した場合、トータル消費電力は110μWとなり、
3V動作時の消費電力の約1/4にまで、低く抑えることが可能です。

 一方で、マイコンとのインタフェース用に、高速クロック同期式シリアルインタフェース機能、および68系/80
系の8ビットまたは4ビットのバスインタフェース機能を内蔵しています。内蔵レジスタやRAMへのアクセスは、
内部の動作クロック周波数に依存せず、高速に連続書き込みが行えるため、シリアルインタフェースでも十
分な高速データ転送を実現できます。

  実装方法としては、LCDガラスに直接フェースダウンで実装するCOG実装やフレキシブルフィルム基板上
にフェースダウンで実装するCOF実装、LCDガラスとヒートシールを介して接続するTCP実装に対応します。
COG実装時は、実装するガラス面積を最小限に抑え、チップ幅を2.78mmのスリム形状にしています。

 今後は、今回の新製品をベースに、さらに大画面サイズに対応した製品や階調表示に対応した製品を開
発し、より一層のラインアップの充実を図っていきます。

注1)グラフィック表示:ビットマップ状の表示RAMを内蔵し、漢字やゲームなどの任意の図柄を表示できる。
注2)COG(Chip On Glass):金バンプ付きチップをLCDガラス上に直接フェースダウンで実装する方法。
注3)COF(Chip On Film):金バンプ付きチップをフレキシブルフィルム基板に直接フェースダウンで実装する
      方法。
注4)TCP(Tape Carrier Package):薄膜テープ上にチップをマウントしたパッケージ。超薄型実装が可能。

<応用製品例>
・デジタルセルラー(PDC、GSM、CDMA他)、PHS
・メッセージページャ、双方向ページャ、漢字/中国語ページャ
・ハンディGPS端末、ハンディPOS端末、電子ウォレット 等

<価 格>
製 品 名表示サイズ出荷形態実装形態サンプル価格(円)
HCD66741BP128×80ドット金バンプ付きチップCOG、COF600
HD66741TB0128×80ドット折曲げTCPTCP850

                                                                                                                        以  上


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