日立製作所は、このたび、当社16ビットマイコンの最上位機種である「H8Sシリーズ」のラインアップ
強化として、車内LAN規格であるコントローラエリアネットワーク(CAN(注1))のインタフェースと256kバ
イトの大容量フラッシュメモリを内蔵したF−ZTAT(TM)版(注2)シングルチップマイコン「H8S/2623F」を
製品化し、平成10年12月からサンプル出荷を開始します。
近年、FA等の産業機器や車載機器の制御分野においては、従来の汎用シリアル通信を使用したネ
ットワークから、高速で信頼性の高い車内LAN規格「CAN」を採用したネットワークへの移行が進んで
おり、CANインタフェースを内蔵したマイコンの需要が高まっています。CANインタフェースにより、ボデ
ィ系、オーディオ系、エンジンコントロール、ABSなどを容易にネットワークで繋ぐことができます。なか
でも、欧州の車内LANはCANが標準化されており、徐々に日本や米国においても標準化への動きが進
んできています。
一方、プログラム規模の増大や製品開発期間の短縮、機器仕様の改善、制御データの調整のため、
マイコンに対しても、開発から試作、生産立ち上げ、量産の各工程においてプログラムの書き換えや調
整が容易なフィールドプログラマビリティが求められています。従来から、当社は、高性能、低消費電力
が特長の「H8Sシリーズ」へのフラッシュメモリ内蔵品を市場に投入してきましたが、今回さらなる幅広い
ユーザーニーズに対応するため、CANインタフェースと256kバイトフラッシュメモリを内蔵した
「H8S/2623F」を製品化しました。
本製品は、0.35μmプロセスを採用し、16ビットマイコン「H8S/2600」のCPUコアに、Bosch CAN
Ver.2.0B activeへ準拠し、高速で信頼性の高い通信が可能な日立コントローラエリアネットワーク(HCAN
(注3))インタフェースとともに、大容量256kバイトのフラッシュメモリを内蔵しました。同フラッシュメモリは、
一括消去のほかに、システム出荷時の調整データの書き込みに対応して、大/小のブロック(12ブロック)
に分割して消去/書き込みを行うことが可能です。内蔵RAMも大容量12kバイトで、発振器には4逓倍の
PLL発振回路(注4)を採用しています。
CPUをはじめとした内部ロジックの電源電圧は、3.0〜3.6Vと低消費電力化を図りつつ、周辺I/O端子の
電源電圧を4.5〜5.5Vとすることで、従来の周辺回路を使用可能としており、本製品を用いた場合のシス
テム再構築の手間を最小限にすることができます。
その他の周辺機能としては、割り込みによってDMA転送が可能なDTC(注5)、シリアルコミュニケーショ
ンインタフェース×3チャネル、16ビットタイマ×6チャネル、ウォッチドックタイマ×1チャネル、16チャネル
の10ビットA/D変換器などを内蔵しています。
パッケージは、100ピンQFP(14mm×14mm)を採用しています。
今後は、「H8S/2623F」のメモリ展開、さらにはボディ制御系、安全制御系などの車載のニーズに応じて、
CANインタフェース内蔵マイコンの製品展開を行ないます。
(注1)CAN(Controller Area Network):コントローラエリアネットワーク
(注2)F-ZTAT(TM)(Flexible Zero Turn Around Time):日立製作所の商標です。
(注3)HCAN(Hitachi Controller Area Network):日立コントローラエリアネットワークFULL CAN対応/16メッ
セージバッファ
(注4)PLL発振回路(Phase Locked Loop 発振回路):位相同期ループ
(注5)DTC(Data Transfer Controller):割り込みによって起動され、CPUに代わってデータ転送が可能。
転送情報を内部RAMに配置することで、チャネル数の増加を実現。
<応用例>
・産業分野:FA、NC
・自動車分野:ダッシュボード、パワーステアリング
<価 格>
製 品 名 パッケージ サンプル価格(円)
H8S/2623F F-ZTAT(TM)版 HD64F2623FA QFP-100 2,200
以 上
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