次の施策により業績を早急に立て直す。
1.日立連結ベースの強みを活かした積極施策
(1) 情報エレクトロニクス事業を中核に21世紀の社会インフラを提供:
(a)社会システムを築き上げてきたシステム・ソフト・ハードのノウハウと信頼性を活用するとともに、
情報エレクトロニクス技術を一層駆使し、21世紀における新しい社会インフラの提供を主要な事
業とする。
(b)新しい社会インフラの提供に付随し、連結ベースで年間約1.5兆円のソフト・サービス事業を、今
後5年間で社内シフト、M&A、外部人材の活用等により人員を増強し、年間約2.5兆円の事業に
し、ソフト・サービス事業を収益の柱として位置づける。
(2)グループ企業の再編および他社アライアンスの積極推進:
事業ビジョンの実現を加速するために、日立自身の再構築を行い、あわせて関連会社についても
事業の集約化を行う。同時に外部企業に対しても、必要に応じ投資、買収を含むアライアンスの構
築を積極的に推進していく。
2.業績回復のためのリストラクチャリング
従来より推進してきたリストラの計画を加速・実施する。
(1)営業、サービス等の最前線部門への人員シフトによる受注、売上の拡大・確保
(2)固定費の徹底削減:
(a)固定費を、平成11年度末までに、現状の約10%にあたる1,400億円(年額)削減する。
(b)主要具体策
・人員の縮減、残業縮減等の施策を実施するとともに、総合的に人件費関連の見直しを検討し、
600億円を削減する。人員については、定年退職等の自然減、事業再構築に伴う出向、転籍
や日立グループ内外での人材の活用等により、平成10年度年間4,000人を縮減し、就業人員
は約66,000人となる。また、今春改定した新資格制度、新賃金制度、さらには目標管理制度
等を活用し、成果・実力主義を一層徹底し、全社一丸となって業績回復に邁進する。
・設備投資については、当初計画は1,500億円であり、既に700億円実施したが、当面新規案件
を原則凍結し、内容を厳選する。
・研究開発投資について、当初計画の3,800億円を見直し、3,500億円を目標として一層の重点
化、効率化を図る。
(3)遊休資産の整理、処分の実施
(4)各事業部門のリストラクチャリング:
(a)半導体事業の徹底した再構築
・平成10年3月、米国TI社との合弁事業(ツインスター・セミコンダクタ社)を解消した。
・平成10年7月、半導体事業部門の組織を変更し、メモリ主体の組織から、システムLSI主体の組
織・人員の配置を完了した。
・平成10年4月、設計関連の関連会社2社の集約を完了した。
・日立セミコンダクタ(ヨーロッパ)社の後工程をマレーシアに集約した。
・日立セミコンダクタ(アメリカ)社の生産ラインを凍結するとともに、販売部門と設計部門を統合し、
市場のニーズに即した設計力の強化を図る。
・国内関連会社5社についても3社に再編し、事業のスリム化・効率化を図る。
・64MDRAMは、本年秋には0.18μmの製造技術を用いた製品の量産を開始し、平成11年度上期
中に日立日鉄半導体(シンガポール) 社を主要拠点として集中生産を行う。
・システムLSI開発センタを設置し、社内に蓄積されたシステムノウ ハウを有効活用するとともに、
人的リソースの集中投入、SH、H8 マイコン等他社優位技術の活用により、システムLSI事業を
急速に立ち上げ、2000年には現状の2倍の2,000億円の事業規模にする。
・これらの施策により、平成11年度の黒字浮上を目標とする。
(b) 家電事業部門における分社化
・既に製造部門、販売部門について軽量化、固定費削減を推進してきている。製造部門の固定費は、
平成10年度上期末には前年同期比85%に低減。また販売部門についても、家電販社を中心に平成
10 年度上期末には前年同期比500人削減した3,000人体制となる。
・今後はさらに一層の固定費削減を図るべく、今後1年以内に全製造部門について別会社化する。
・家電業界のインフラ革命に対応し、お客様個別のニーズに応える商品を提供する生活ソリューション
企業を目指した事業展開を図る。安定基盤を持つ事業のブラッシュアップに加え、デジタルとエコロジ
ー分野にリソースを集中した事業を強化し、高付加価値化分野への転換促進を図る。新商品開発に
あたっては、「セグメント」「システム」 「スタンダード」の「3S」によって、新しい需要を創造し、
新時代の生活をお客様に提案していく。
・これらの施策により、平成10年度下期の連結ベースでの黒字転換を実現するとともに、来年度以降
も安定的に収益を確保する。
(c)電力事業部門の徹底合理化
・売上規模に見合った徹底したリストラクチャリングを実施するために、事業部機能を日立地区に集約
する。
・日立工場関連8社については、年内に4社体制とし、軽量化を徹底する。
・ゼネラル・エレクトリック社、(株)東芝との協調関係をさらに深める。
・これらの施策により、平成11年度下期から、原子力部門を中心に売上は回復し、リストラクチャリ
ングの効果とあいまって、収益は好転する。
(d)電機システム部門の事業集約化
・モートル部門、事業用空調機部門を中心として、関連会社を含めた製造・販売・サービスの集約化
を図る。
(e)情報事業部門のソフト・サービス事業への集中展開
金融ビッグバン対応サービス、TWX-21等のネットワークサービス、アウトソーシングサービス等のサー
ビス事業を一層強化するために、情報事業部門に今年度中に1,000人程度の人員をシフトする。
(5)市場変化に即したスピード経営実現のための経営改革の実行:
(平成11年4月から実行)
・各事業部門を実質独立会社とし、大部分の事業決定権限及び責任を持たせる。
・常務会、副社長会議等を廃止し、全社的事項は本社経営会議のみで実質決定する。
・本社機能は最小限とし、半減させる。
・本年10月から日立グループ全体の重要な経営施策を協議する日立グ ループ協議会を設け、グルー
プ経営の効率向上を図る。
以 上
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