日立製作所は、このたび、携帯情報機器やマルチメディア機器に適したRISCプロセッサ、SuperH
(TM)(注1) RISC engine(以下、SuperH(TM))「SH-3」の上位機種として、133MHzの高速動作と低消費
電力を実現し、オンチップデバッグ機能(注2)を搭載した「SH7709A」と、さらに画像データの圧縮伸長
などを高速に実現するDSP演算機能を追加した「SH7729」を製品化、平成10年7月からサンプル出荷
を開始します。
「SH-3」は平成7年3月に60MHz動作の「SH7708」と45MHz動作の「SH7702」を製品化して以来、
100MHz動作の「SH7708R」、「SH7718R」や周辺機能を強化した80MHz動作の「SH7709」を市場投入、
ユーザの多様なニーズに対応し、携帯情報機器やカーナビゲーション、デジタルカメラなどのマルチメ
ディア機器に数多く採用されています。
しかし、近年、携帯情報機器やマルチメディア機器における高性能化の進展は著しく、CPUに対する
さらなる高速、高性能のニーズが高まっています。
今回製品化した「SH7709A」と「SH7729」は、このようなニーズに対応し、「SH7709」互換の周辺機能を
内蔵、133MHzの高速動作を可能にするとともに、キャッシュメモリを16kBに大容量化することで高性
能化を図っています。また、電源を内部用とI/O用に分け、内部用の電源電圧を1.8Vと低電圧化するこ
とで、より低消費電力を実現しています。
さらに、オンチップデバッグ機能を搭載しているため、開発ツールとしてPCカードエミュレータ「E10A」
を使用することで、最高動作周波数でのリアルタイムエミュレーションを実現できます。
また、「SH7729」は、DSP演算機能をサポートしています。当社では、これまでに「SH-1」「SH-2」に
DSP演算機能を追加した「SH-DSP」をCPUコアとした製品をラインアップしていますが、「SH7729」はそ
の上位として「SH3-DSP」をCPUコアとしています。DSP演算機能を追加したことにより、携帯情報機器
上でボイスメモ、画像データの高速処理などのニーズにも対応可能です。
さらに、JPEG、ADPCMなどのDSP処理に必要なデータ格納用として、16kバイトのRAMも内蔵してい
ます。133MHz動作時もキャッシュ上の命令と内蔵メモリ上の2つのデータを1サイクルでアクセスでき、
高速処理が可能です。
「SH7709A」、「SH7729」はCPU以外の機能として、メモリ保護や仮想記憶をサポートするOSを搭載す
る場合に必須となるMMU(注3)のほか、DMAC(注4)、A/D変換器、D/A変換器、32ビットタイマ、リアル
タイムクロック、シリアルコミュニケーションインタフェース(SCI)、シンクロナスDRAMをはじめ各種メモ
リとの直結インタフェースなどを内蔵しています。なお、パッケージはLQFP208ピンおよびCSP216ピン
を採用しており、電源の電圧を除いて「SH7709」とピン互換になっています。
さらに、SuperH(TM)ファミリとソフト互換になっており、ユーザは従来のハードウェア、ソフトウェア財
産を再利用できるため、早期のシステム開発が可能です。
今後は、SuperH(TM)ファミリとして、「SH-3」の高速対応品やASSP品、「SH-4」の低消費電力品など
製品バリエーションの拡充を図っていきます。
また、次世代の高性能CPUとして、「SH-5」の開発も進めていきます。
(注1)SuperH(TM):SuperHは(株)日立製作所の商標です。
(注2)オンチップデバッグ機能(Hitachi-User Debug Interface):従来エミュレータに搭載していたデバッ
グ回路の一部。この機能を内蔵することでシステム評価時にマイコン本来の動作周波数でのリ
アルタイムエミュレーションが可能。
(注3)MMU:Memory Management Unit
(注4)DMAC:Direct Memory Access Controller
<応用機器>
(情報OA機器)
ハンドヘルドPC、携帯情報機器、LBP、ストレージ機器、情報端末
(民生)
セットトップボックス、ビデオプリンタ、マルチメディア機器、ワープロ
(産業/自動車)
カーナビゲーション、計測器、FA
<価 格>
製 品 名 動作周波数 サンプル価格(円/個)
HD6417709AF133 133MHz 2,100
HD6417709AF100 100MHz 2,000
HD6417729F133 133MHz 2,200
HD6417729F100 100MHz 2,100
以 上
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