分散オブジェクト推進協議会
分散オブジェクト推進協議会(*)は、昨年10月の設立以来、分散オブジェクト技術の普及促進と関
連製品の相互接続性の実証を主な目的として、IIOP(Internet Inter-ORBProtocol)レベルの相互運
用を検討する相互運用分科会、その上位サービスであるトランザクション連携について検討するト
ランザクション分科会、アプリケーション分科会、プロモーション分科会の4つの分科会を設置し、さ
まざまな活動を行なってまいりました。
(*) 分散オブジェクト推進協議会メンバ(12社、50音順):株式会社 オージス総研、株式会社 東芝、
株式会社 東洋情報システム、日本アイ・ビー・エム株式会社、日本オラクル株式会社、日本サン・
マイクロシステムズ株式会社、日本電気株式会社、日本ビー・イー・エー・システムズ株式会社、
日本ユニシス株式会社、株式会社 日立製作所、富士通株式会社、三菱電機株式会社
相互運用分科会の活動成果として昨年 12 月に発表した IIOPレベルの相互接続実証実験に引
き続き、このたび、トランザクション分科会(主査:富士通株式会社)において、第一回トランザクショ
ン相互接続の実証実験に世界で初めて成功しました。今回検証を行なったトランザクション製品は、
日本電気株式会社のObject Spinner Transaction Service(仮称)、株式会社日立製作所の
TPBroker(**)、富士通株式会社のINTERSTAGE(ObjectDirector)で、クライアントとサーバで異なる
トランザクション製品を使い、正常系および異常系あわせて8パターンの検証を行ないました。これ
まで、IIOPレベルの各社製品の相互運用性については数多く実例がありますが、トランザクションレ
ベルの製品間の相互運用性としては世界で初めての成功例になります。
(**)日立のトランザクション技術とボーランド社のORB技術(VisiBroker)を用いた2社の共同開発品
今後、オブジェクト技術を用いたシステムが、基幹系情報システムなどのより強く信頼性を求めら
れる分野にも使われるようになる考えられていますが、その場合マルチベンダ環境でトランザクショ
ン連携を実現することが非常に重要なポイントになります。トランザクション分科会は、このような
IIOPレベルの相互運用の上位サービスに位置づけられるトランザクションサービスレベルの相互接
続を実現するために設立されました。そして、マルチベンダ環境を利用するユーザを想定した連携
モデルをいくつか検討し、実運用での代表的なモデルを使って実証実験を行ないました。
この実証実験の内容は、本日(3月31日)英国マンチェスターで行われるOMG (ObjectManagement
Group) 技術委員会 (Technical CommitteeMeeting)、ならびに4月に幕張メッセで開催される
OBJECTWORLDJapan'98のコンファレンス(「CORBA IIOP接続とトランザクションの相互運用性」4月
7日11:45〜12:45)でもご紹介する予定です。
OMG会長 リチャード・M・ソーリー氏より、今回の実証実験について以下のコメントをいただいてお
ります。
「分散オブジェクト推進協議会の相互運用性試験がかくも早く、また成功裏に行われたことは、OMG
のIIOPとオブジェクト・トランザクションサービス(OTS)が完全なソリューションであり、トランザクション
処理を必要とする企業の分散アプリケーションの構築に、現に利用できるソリューションであることを
立証するものです。しかし、それ以上に重要なことは、同協議会の共同プロジェクトの迅速で目覚しい
成果が、企業の重要な意思決定における合意の達成に成功しているという事実です。」
今後は、今回の実証実験の成果をOMGにフィードバックしたり、Javaを使ったシステムへの適用な
ど実証実験の機能範囲を拡大するとともに、日本ユニシス株式会社のSYSTEMν[nju:]など広くトラン
ザクション製品との相互接続実証実験を予定しております。
以 上 |