株式会社 日立製作所
バブコック日立 株式会社
日立製作所(以下日立)とバブコック日立は、このたび、茨城県ひたちなか市の支援を受け、同市清
掃センター内で、日立キルン式ガス化溶融システムの実証試験を行うための、実証炉を建設します。
ガス化溶融システムは、ごみエネルギーの有効利用による総CO2抑制、ダイオキシン発生の低減、
焼却残さの減容化、廃棄物の再資源化等に有効であり、従来型の焼却炉が抱えていた問題を解決
できる次世代型廃棄物処理システムとして注目されています。
日立とバブコック日立では、平成10年度中に建設を完了し、平成11年度に実証試験を行い、厚生
省の認可を得たうえで、平成12年度から受注を開始する予定です。
日立グループでは、社会環境保全のニーズに応えるべく、グループ30社が集まり、総合環境事業で
ある「エコ2000」活動を展開中です。特にガス化溶融システムについては、総合環境事業の柱の一
つに位置付け、日立とバブコック日立が、共同でシステムの開発にあたっています。現在、バブコック
日立がこれまでごみ焼却炉のビジネスを展開する中で得てきたノウハウを活かしながら、バブコック
日立の持つボイラ、排ガス処理技術と、日立の石炭ガス化技術およびスラグ溶融技術を組合せ、開
発を進めています。
キルン式ガス化炉の基本技術は、フランスのTHIDE(ティド)社が開発し、パイロットプラントで 4,000時
間以上の実績を持っています。日立はTHIDE社との間で、技術導入契約を交わし、バブコック日立が
サブライセンス契約を結んでいます。
ガス化炉では、ごみを蒸し焼きにし、発生したガスをガス化炉加熱燃料および発電用蒸気の過熱燃
料にします。一方、炭状の残さ(チャー)は、金属を回収した後に、溶融炉に送られます。
溶融炉は、石炭ガス化炉として開発した縦型旋回炉を改良し、開発しました。チャーを高温で燃焼さ
せ、灰を溶融スラグ化すると共に、ダイオキシン等有害物質を低減します。廃熱は、発電に活用するこ
とができます。
さらに、日立のシステムでは、ガス化炉で製造したチャーを精製することによって、微粉炭と同程度の
性状とカロリーを有する燃料として再利用することも可能です。
[日立キルン式ガス化溶融システムの特長]
(1) 乾燥機を導入することにより、ガス化炉を従来のキルン式に比べ、約半分の長さに小型化できると
共に安定な運転ができる。
(2) ガス化炉で発生させた可燃ガスには塩素がほとんど含まれないため、可燃ガスには腐食の心配が
なく、燃焼熱をガス化炉の熱源にすると共に、高温高圧(500℃、100気圧)の過熱蒸気を発生させる
ことができ、高効率発電ができる。
(3) ガス化炉では、金属が酸化されないため、金属を回収してリサイクルができる。
(4) 溶融炉では、縦形旋回溶融炉を採用することによって、約9割の高スラグ化が図れる上、飛灰を最
小限にし、ダイオキシンを低減することができる。また、低温活性触媒により、排ガス中のダイオキ
シンを、0.01ng-TEQ/Nm3以下に抑制できる。
【THIDE(ティド)社の概要】
会社名:THIDE ENVIRONNEMENT SA (ティド 環境 株式会社)
所在地:フランス パリ市 郊外
設立年月:1994年(SAGED社(サージェット)より環境事業部門を独立)
代表取締役:Rene Willemin(ルネ ウィルマン)
事業内容:キルン式ガス化システムによる廃棄物処理施設の建設
パイロットプラントでの実証を完了し、ヨーロッパ市場を中心に展開中。
以 上
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