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News Release

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平成10年3月12日

視覚障害者向けにWindows(R)画面を音響 および音声で表現するシステムを開発

―三次元音響生成技術の利用により、画面を見ずにPCの操作が可能に―

                                                                               株式会社日立製作所
                                                                               東京電機大学


  日立製作所と東京電機大学工学部情報通信工学科音響情報研究室(代表:浜田晴夫教授)は、こ
のたび、位置、距離、方向などを両耳に到達する音の大きさや時間差などに基づいて計算する三次
元音響生成技術を用いて、通常、視覚によって認識しているWindows(R)画面上のカーソル位置やア
イコン、ウィンドウなどを音響および音声で表現するシステムを開発しました。本システムにより、視覚
障害者のPCの操作が、より簡単にかつ自由に行えます。
  なお、本システムの一部は、通産省工業技術院の医療福祉機器技術研究開発制度の一環として、
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託により開発されたものです。

  現在、PCやワークステーションの画面表示は、複雑な画面情報を多用するGUI*システムによるもの
が主流となっています。しかし、GUIシステムよる画面表示は、簡単に非視覚的なメディアに変換する
ことができないため、視覚障害者にとって非常に操作が難しく、情報機器利用を阻害する要因となっ
ています。

  今回開発したシステムは、東京電機大学工学部情報通信工学科音響情報研究室が長年にわたっ
て研究してきた三次元音響生成技術を応用して、Windows(R)画面を音響および音声といった非視覚
的表現によってPC操作を可能にしたもので、主な概要は下記の通りです。
(1) マウス操作によるカーソル移動を、サウンドで出力する。
(2) カーソルが、アイコンやウィンドウなどオブジェクトの領域内に入ったときに、サウンドを出力する
     とともに名称を読み上げる。
(3) オブジェクトのサイズや形状は、輪郭にそって音像を移動して表現し、また音の強弱で奥行きを
     表現する。
(4) キー操作によりオブジェクトへの選択を行ったり、カーソルがオブジェクトに近づくと吸着するよう
    にして、非視覚的な操作性の向上を図る。

  なお、本成果は、3月17日から19日まで、中央大学理工学部で開催される情報処理学会全国大会
にて発表する予定です。

*:Graphical User Interface    


「三次元音響生成技術」について
  人間は、音の方向や距離を両耳に到達する音の大きさや時間差などを基準に認識しています。こ
の違いは、音源から直接左右の耳に到達する音波のほか、壁や床などにぶつかって両耳に到達す
る反射波などの周囲空間の伝達系と、頭部伝達関数と呼ばれる人間の頭部や肩、耳介での反射や
屈折、共振による伝達系によって決定されます。
  三次元音響生成技術は、ある位置から左右の耳までの音の伝わりを、これら伝達特性に基づいて
計算し、その特性を用いて適当な音源から音波を合成するもので、あたかもその位置に音源がある
かのように聞くことが可能となります。

【他社商標注記】
・Windowsは、米国およびその他の国における米国MicrosoftCorporationの登録商標です。

                                                                                    以  上


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