日立製作所は、このたび、先端半導体の薄膜観察や計測、分析などの高スル
ープット処理に対応するため、走査電子顕微鏡(SEM)レベルの簡単操作性で、高
分解能を実現し、200万倍像を可能とした新コンセプトの半導体プロセス超薄膜
評価装置「HD−2000」を製品化し、3月4日より販売を開始します。
本装置は、新しい電子光学系の採用により、0.4nmの分解能を実現しつつ、
十分な明るさを得ることも可能なため、半導体デバイスのゲート酸化膜のような絶
縁膜も高コントラストで観察できます。また、透過型電子顕微鏡(TEM)法と比較
して、2倍以上の高感度元素分析を行えるため、先端半導体デバイスの開発を可能
とし、歩留まりの向上も実現します。
近年、半導体プロセスの微細化技術の進展により、欠陥原因の解析や製造プロセ
スのコントロールのため、半導体の微細構造の高倍率観察や、微少部の高感度分析
が重要になっています。
従来は、半導体デバイスのゲート膜などの観察・解析手段として、高分解能
SEMが広く使用されてきました。しかし、デザインルールが0.18μm、さら
には0.13μm以下へと微細化されると、ゲート酸化膜は数nmとなり、プロセ
ス制御にも1nm以下の精度が必要となるにもかかわらず、現状のSEM法は性能
の限界に近づいており、微細構造を十分に評価できない例が出てきています。
一方、SEM法よりも高分解能であるTEM法は、最近デバイス観察に用いられ
始めているものの、研究用装置として設計されているため、操作に熟練したエキス
パートが求められます。さらに、デバイスの切り出しや研磨などの手作業も多く、
観察に数日間かかるため、開発スピードに対応できないという課題がありました。
そこで当社は、簡単操作で、ナノメーターレベルの高感度分析を可能とする新コ
ンセプトの半導体超薄膜評価装置として、「HD−2000」を製品化しました。
本装置は、試料をセットするだけで、本体の調整を行うことなく目的とする場所
の観察・評価が可能です。その上、試料を透過した電子線を高感度検出器で電気信
号としてモニタに表示し、画像をデジタルで記録するため、モニター画面上で迅速
に計測や各種画像処理、ネットワーク通信による画像の送受信が可能となり、
TEM法と比較して大幅に操作性を向上しています。
また、サブナノメーターレベルまで電子線を縮小しても、十分な明るさを得るこ
とができる新しい電子光学系を採用したことで、高分解能を実現し、TEM法と比
較してコントラストの高い画像観察・計測が可能です。
さらに、当社が開発した試料を精密に作製する集束イオンビーム加工装置と、本
装置の専用共用試料ホルダーの併用により、試料厚み0.1μmのピンポイント領
域ターゲットを保存したまま、断面試料をセミオートで正確に作製することが可能
です。また、加工した試料を専用共用試料ホルダーで本製品にセットすることで、
高分解能観察とナノメーターレベルの元素分析結果を迅速に得られます。これによ
り、試料加工から結果提出までを4〜5時間で実現できるため、TEM法と比較し
て20〜30倍のスピードアップが可能です。
なお、本装置は、3月4、5日に科学技術館で開催される日製産業(株)創立50周
年記念展示講演会で展示する予定です。
<価格および出荷時期>
製品名 標準価格 出荷時期
HD−2000 1億6,000万円 平成10年8月
以 上
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