日立製作所は、この度、国際的なビルシステム標準規格であるBACnet(TM)
に準拠した中・大規模ビル向け自律分散協調型ビル管理システム
「BUILMAX−AD」を発売します。
このシステムは、ビル内設備LAN(Local Area Network)の
設備間通信規約として国際標準化が進められているBACnet(TM)に準拠し、日
立製作所のオリジナルの技術である自律分散制御を採用することにより、システム
の信頼性や、保守性、拡張性が向上しています。
ビル内には、電気、空調、防災、防犯、昇降機など多くの設備があり、これらの
設備を監視・制御するビル管理システムは、ビル内の環境を快適に保つための設備
の制御や省エネルギー、省力化を図る制御を行うためのシステムであり、ビル管理
には欠かせないシステムです。
各設備を監視、制御するためには、各設備間でデータの授受が必要になりますが、
従来はメーカ毎に通信の方法が異なるため、ビル管理システムを構築する際には、
その都度通信方法を合わせていました。このためには、大きな労力や費用がかかる
ため、ユーザーからは標準化に対する強いニーズがありました。
通信方法の標準化が図られることにより、ビル内の各設備間の接続が容易となり、
ユーザーにとって設備メーカーの選択幅が広がり、価格低減にもつながるものと期
待されています。
通信方法の標準化については、世界に先駆けて、アメリカで1995年に
「BACnet(TM)」が*ANSI/ASHRAE 135として規約化されまし
た。現在、日本でも標準化が進められているところです。
* A N S I : 米国標準仕様 (the American National Standards
Institute)
* ASHRAE : 米国冷暖房空調工業会 (the American Society of Heating,
Refrigerating and Air-conditioning Engineers, Inc.)
そこで、日立では、アメリカで既に標準規格として規約化された「BACnet
(TM)」に準拠したビル管理システム「BUILMAX−AD」を発売します。
本システムは、ビル内設備LANの業界オープンシステム化動向に対応するとと
もに、「自律分散制御」を採用しているため、より高いシステム信頼性と、装置の
小型化を実現しました。
また、ユーザーにとってより使いやすいシステムとするため、ユーザーの手元に
あるパーソナルコンピューターからも、例えばエレベーターの状態の監視や、空調
機の運転・停止を行うなど、イントラネットを活用したシステムとしています。
日立としては、年間12億円の販売を目標とし、ビル管理システム
「BUILMAX−AD」の拡販に取り組んでいきます。
《BUILMAX−ADの特長》
1.マルチベンダー化に対応したオープンなシステム
・ビル管理システムは、メーカー・設備が異なるいわゆるマルチベンダーで構
成されます。
・オープンシステムの狙いは、設備間のデータ交換の約束事(通信プロトコル)
を共通とすることにより、設備同志の"会話"が標準化されます。
・本システムでは、オープンシステム構築のため「BACnet」規約に準拠
しており、ビルの計画、管理が容易となるメリットが生まれます。
2.自律分散制御の採用により 信頼性・保守性・拡張性を向上
・ビル管理システムは、ビル設備を24時間監視・制御するため、より高い信
頼性が求められます。
・本システムでは、通信相手を意識せずにデータ通信が可能であり、各設備は
"自律的に"データ授受を行うため、一部設備が停止してもシステム全体に波
及することがなく、信頼性が向上します。
また、「システムへの自由な参入・離脱」機能を有しているため、システム
稼働のままでも、一部設備の保守・拡張ができ、保守性・拡張性が向上しま
す。
3.装置の小型化
・ビル管理システムは、中央監視装置と現場側に設ける端末装置により構成さ
れています。
・中央監視装置は、汎用性を重視しパーソナルコンピューターを採用しました。
端末装置は、従来中央監視装置で処理していた制御機能、及び通信制御機能
を搭載するとともに、分散配置による省配線化を可能とし、配置スペースを
とらないように小型化(当社従来比 1/25)しました。
4.ユーザーにとっても使いやすく
・ビル管理システムは、中央監視室での監視・制御が主体でした。
・ビル設備の故障監視や運転/停止操作などを、ユーザーの手元のパーソナル
コンピュターで行うこともできるようにしました。
・これにより、ユーザーが使いやすく、管理者の負担低減につながるシステム
としました。
以 上
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