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News Release

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平成9年11月17日

スループットの大幅な向上を実現した 量産対応の直描用電子線描画装置を開発

-一括セル露光機能の強化などにより、従来の3倍以上の高速描画を実現-

 日立製作所は、このたび、先端半導体向けに、一括セル露光機能の強化等を図る
ことで、従来比3倍以上の高速描画を可能とし、大幅なスループットの向上を実現
した量産対応の直描用電子線描画装置を開発しました。これにより、従来困難であ
ったメモリなどの大量生産にも対応することが可能です。また、本装置は従来比約
70%に小型化するとともに、ステッパとのハイブリッド使用を考慮した操作性を
取り入れており、生産現場での生産性向上を実現します。
 
 現在、パソコン等の情報機器や民生機器などにおいて、マイコンやメモリなどの
半導体製品が数多く採用されています。そして、これらの半導体の回路を作成する
際には、写真を焼き付ける手法と同様に露光技術を用いて、ウェハ上に回路パター
ンを焼き付けます。
 しかし、近年、半導体の微細化が進み、回路パターンの寸法も0.25μm以下
となってきました。今後、さらに微細化が進むと、回路を焼き付ける際に用いる光
の波長より小さくなり、正確にパターンを焼き付けるためには、複雑な工程が必要
となるため、大きな課題となっています。

 電子線描画装置は、電子ビームを用いてウェハ上に回路パターンを焼き付ける装
置です。電子顕微鏡などに採用される電子ビームを採用しているため、0.15
μm以下の微細な回路パターンでも十分に対応することが可能です。しかし、従来
の電子線描画装置では、短時間に多量のウェハを焼き付ける能力が不足しており、
先端半導体の研究開発やASICのような他品種少量生産の分野で採用されるに留
まっていました。

 当社は、1970年より電子線描画装置の研究開発を開始し、81年に高速描画
に適した可変成形ビーム技術を採用した製品を市場投入しています。さらに、
LSIの高速描画を可能とする一括セル露光技術を開発、92年に同技術を採用し
た製品を投入しており、現在では先端半導体の開発やASIC生産で幅広く採用さ
れ、直描装置分野ではトップシェアとなっています。
 一方、マスク・レティクル描画装置も、可変成形ビーム技術を基に高スループッ
ト装置を投入し、市場ニーズに対応しています。


 本装置は、新たに電子ビームを高精度で広角度に偏向することが可能な転写偏向
系技術を開発し、回路に含まれる繰り返しパターンを一括転写する場合、従来の5
種類から今回は最大21種類のパターンまで1回で焼き付けることが可能となりま
す。また、繰り返しパターンも約2,000種類まで自動設定できるなど、一括セ
ル露光機能を大幅に向上しています。さらに、電子ビームを振るための演算および
偏向回路を約1.4倍高速化しており、従来の電子線描画装置と比較し、描画速度
を3倍以上に高速化でき、大幅なスループットの向上を実現できます。
 また、耐振構造に優れた軽量、高剛性の電子光学系カラムの採用により、安定し
た描画精度を確保することが可能です。さらに、制御システムとの一体化構造によ
り、装置サイズも従来の約70%に小型化し、省スペース化を実現しており、塗布
・現像装置とのシステム化で一層の生産性向上を図ることが可能です。

 本技術は、通産省の新エネルギー・産業技術組合開発機構(NEDO)の委託を受
け、超先端電子技術開発機構(ASET)で研究されたシングルコラム電子線描画装
置の成果を取り入れて実現しています。

 なお、本装置は、12月3〜5日に幕張メッセで開催されるセミコンジャパンに
て紹介する予定です。

<基本仕様>
        項 目          仕 様
    適用デザインルール     0.18μm
    最小線幅           130nm
    寸法精度                   30nm
    重ね合わせ精度              50nm
    スループット            10枚/時(*)
*カラム1台あたり、ウェハサイズ8インチ、ホール層描画時

                              以 上


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