日立製作所は、このたび、当社のRISCマイコン「SuperH(TM)ファミリ(注1)」の
最上位機種として、セットトップボックスやカーナビゲーション等のマルチメディ
ア機器向けに、360MIPSの高性能と1.4GFLOPS(注2)のグラフィックス処理性能を実
現したSH-4「SH7750シリーズ」を製品化し、平成10年1月よりサンプル出荷を開始
します。
本シリーズは、複数の命令を同時に実行できるスーパースカラ(注3)方式の採用
により、組込み型RISCマイコンでは業界最高性能の200MHz時360MIPSを実現、
Windows(R)CE(注4)にも対応しています。さらに、128ビットのグラフィックエン
ジン内蔵による1.4GFLOPSの実現と、64ビットデータバスにより、今後の本格的な
マルチメディア時代に適した高性能プロセッサです。
なお、167MHz時300MIPS品も併せて製品化し、平成10年1月よりサンプル出荷を
開始します。
「SuperH(TM) RISC engineファミリ(SuperH(TM)」は、平成4年に業界初のシン
グルチップRISCマイコンとして登場して以来、すでにSH-1、SH-2、SH-3、SH-3E、
SH-DSPと、5つのCPUコアによる21製品をラインアップしています。高性能、低消
費電力、および16ビット固定長によるコード効率の良さから、デザインイン件数は
累計2000件を超え、情報・OA、産業、民生等の幅広い分野で採用されています。
なかでも、SH-3「SH7700シリーズ」は、昨年米国マイクロソフト社から製品化
されたOS「Windows(R)CE」に対応するなど、マルチメディア機器のメインエンジ
ンに成長しています。
今後の本格的なマルチメディア社会では、通信機能や音声認識の機能を備えたカ
ーナビゲーション、双方向通信が可能なセットトップボックス等のように、画像・
音声・通信などの諸機能を合わせ持つ高性能で多目的な機器が登場すると思われま
す。
このような機器は、コンパクト化や低コスト化のため、従来では専用のハードウ
ェアで実現していた画像や通信などの機能のソフトウェアでの実現や、さらに音声
認識、音声合成などによる使い勝手の向上が求められており、組込み型マイコンに
もさらなる高性能化、高機能化の要求が高まっています。
そこで、当社では、このような市場ニーズを先取りし、当社従来品に比べ約3倍
の性能である360MIPSと、約7倍のグラフィック処理性能である1.4GFLOPSを実現し
たSH-4「SH7750シリーズ」を製品化しました。
本製品は、0.25μmプロセスとスーパースカラ方式の採用により、組込み型マイ
コンとしては業界最高性能の200MHz時360MIPSを実現しています。また、リアルな
3Dグラフィックスを可能とする浮動小数点演算機能(注5)を内蔵し、200MHz時に浮
動小数点のピーク性能で1.4GFLOPSを実現しました。すでに製品化している浮動小
数点演算機能内蔵の「SH7718R」(200MFLOPS)に対して約7倍の性能となり、約500
万ポリゴンの画像を実現可能です。
浮動小数点演算機能としては、単精度および倍精度演算をサポートするとともに、
グラフィック機能を強化するため、浮動小数点データからなる最大4×4の行列の演
算ユニットを内蔵しています。このため128ビットの演算処理が可能となり、2D/3D
グラフィックスに対応した、よりリアルな画像を実現できます。
なお、浮動小数点演算機能は、IEEE-754仕様(注6)に準拠しています。
また、命令キャッシュを8kバイト、データ・キャッシュを16kバイト内蔵してい
ます。メモリとのインタフェースは、従来からのRAM、SRAM、DRAM、SDRAM、
PCMCIA以外に、今回は64MビットSDRAM4バンク方式と64ビットデータバスに対応し
ています。このため最大800Mバイト/秒以上の高速、大容量のデータ転送が可能で
す。
その他、メモリ保護や仮想記憶を行うOSをサポートするメモリ管理機構(MMU)や
4チャネルのDMAコントローラなど、豊富な周辺機能を内蔵しています。さらに、従
来の2、3、4逓信機能に加え、6、8逓信機能も搭載しています。
パッケージは、167MHz版が208ピンのHQFP、200MHz版が256ピンのBGA(Ball Grid
Array)です。
なお、本製品は、従来のSuperHファミリの上位互換品であり、ソフトウェア財産
を活かしたシステム設計が可能です。
今後、SH-4シリーズでは、次世代携帯機器向けの製品を開発するなど、ラインア
ップの拡充を図ります。また、SuperHファミリでは、1000MIPSをめざすSH-5を製
品化する予定です。
(注1)SuperH(TM):SuperHは(株)日立製作所の商標です。
(注2)FLOPS:Floating-point operations per secondの略で、科学技術計算で
の性能を表わす指標。
1秒間に実行可能な浮動小数点演算の回数で表現する。1.4GFLOPSでは1秒間
に14億回の浮動小数点演算が実行できる。
(注3)スーパースカラ方式:1クロックで複数の命令を同時に実行することにより、
プロセッサを高速に動作させる方式。
(注4)Windows(R):Windowsは、米国マイクロソフト社の米国およびその他の国に
おける登録商標です。
(注5)浮動小数点演算機能:ダイナミックレンジの広い数値を精度良く表現するた
めに使用される表現法で、最近ではグラフィック処理のための座標計算や精
度が要求される機器制御等の分野において、浮動小数点演算機能が必要とさ
れている。
(注6)IEEE-754仕様:IEEE(Institute of Electrical and Electronics
Engineers,Inc.(米国電気電子技術者協会))が規格化した浮動小数点につい
ての仕様。
<応用機器>
(民生)
マルチメディア機器、セットトップボックス、デジタルTV、
ゲーム等のアミューズメント機器
(産業/自動車)
カーナビゲーション、計測器、 FA/ロボット
(情報/OA機器)
LBP、FAX/モデム、インターネット端末
<価 格>
製 品 名 動作周波数 パッケージ 1万個ロット時の価格(円/個)
HD6417750BP200 200MHz 256ピンBGA 4,000
HD6417750F167 167MHz 208ピンHQFP 3,000
以 上
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