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News Release

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平成9年9月9日

マルチスキャンモニタ対応の高精細TFT液晶ドライバセットを製品化

−マルチスキャン機能に対応し、業界で初めて表示データの拡大やセンタリングを液晶ドライバで実現− 

 日立製作所は、このたび、XGA(注1)、SXGA(注2)などの高精細TFT液
晶ディスプレイ用として、多様なモードを表示可能なマルチスキャン機能に対応し、
業界で初めて画面サイズに合わせて表示データの拡大やセンタリングを実現する
TFT液晶ドライバセット「HD66321(ゲート線ドライバ(注3))」、
「HD66326(データ線ドライバ(注4))」を製品化、平成9年10月よりサン
プル出荷を開始します。

 TFT液晶は、高コントラストや高速応答により、高品質の表示が可能なため、
ノートパソコンをはじめとした各種OA機器に幅広く用いられており、さらに最近
ではモニタとしての用途も拡大しています。
 また、画面の大型・高精細化に伴い、液晶ドライバにもXGA、SXGAに対応
した多出力や高速データ転送が要求されています。
 そのため、当社では、カラーTFT液晶ディスプレイ用として、すでに384出
力のデータ線ドライバ「HD66322」を製品化し、大画面化に対応してきまし
た。

 一方、ワークステーションのモニタや、モニタ一体型のデスクトップパソコンで
は、マルチスキャンモニタが主流になりつつあり、XGAやVGA(注5)など様々
な表示モードに対応した画面表示が必要となっています。例えば、1,024×
768ドットのXGA対応TFT液晶ディスプレイで、640×480ドットの
VGAデータを表示する際には、画面サイズに合わせて縦横のデータを拡大し、セ
ンタリングが必要となります。
 しかし、このためには、表示制御回路部に画面容量分のフレームメモリを内蔵し、
あらかじめCPUなどで拡大、センタリング等の画像処理を施してから、TFT液
晶やその駆動用回路に転送する必要があります。そのため、TFT液晶画面の大容
量化に伴い、大容量のフレームメモリが必要となるとともに、拡大やセンタリング
処理のためにCPUに負荷がかかるという問題がありました。
 そこで今回、当社では、新たに画面サイズに合わせて表示データの拡大やセンタ
リングを実現するTFT液晶ドライバセット「HD66321」、
「HD66326」を製品化しました。

 「HD66321」は、258出力のゲート線ドライバで、XGAのゲート線を
3個、SXGAのゲート線を4個で駆動できます。そして、マルチスキャン用に外
部コントロール信号に応じて縦方向の拡大、センタリング表示を行います。また、
大画面化に対応し、ゲートオンレベルは最大+25V、オフレベルは−15Vと広
範囲の設定が可能です。さらに、オフレベルを2レベルまで発生できるため、ドッ
ト反転方式以外に、対向電極反転方式や前段ゲート線へのカップリング容量を利用
した駆動方式にも対応します。
 パッケージはTCP(注6)の35mm幅テープで、液晶ディスプレイと接続するリ
ードの幅(アウターリードピッチ)は90umです。


 「HD66326」は、384出力のデータ線ドライバで、XGAのデータ線を
8個、SXGAのデータ線を10個で駆動できます。そして、マルチスキャン用に
外部コントロール信号に応じて横方向の拡大、センタリング表示を行います。また、
高精度の12V耐圧高速オペアンプにより、60pFの負荷容量を持つデータ線負
荷を10usで充電でき、高精細のディスプレイを鮮明に表示します。さらに、出力
端子毎に正極性と負極性電圧を交互に出力するドット毎反転駆動により、クロスト
ークの少ない高画質を実現します。
 パッケージはTCPで、チップと接続するリード(インナーリード)に業界最小の
50umピッチ技術を採用しているため、チップサイズ、TCPサイズともに面積
の最小化が図れ、低コストを実現しています。
TCPは35mm幅テープで、アウターリードピッチは65umです。

 本ドライバセットにより、マルチスキャン機能に対応したデータの拡大、センタ
リング表示用に、従来必要であった外付けのフレームメモリや専用の制御回路が不
要となり、システムの簡素化が図れます。
 今後も、今回開発したマルチスキャン方式、高速オペアンプ回路、多ピン化技術
をベースに、低電圧品などのTFT液晶ディスプレイの製品動向に合わせた製品ラ
インナップの充実を図っていきます。

(注1)XGA(Extended Graphics Array):
  ディスプレイの精細度の規格の一つ。XGAはIBM社の商標で、ドットサイ
    ズは1,024×768ドット。
(注2)SXGA(Super Extended Graphics Array):
  ディスプレイの精細度の規格の一つ。ドットサイズは1,280×1,024
    ドット。
(注3)ゲート線:
    TFT液晶ディスプレイのライン走査をする配線で、選択ライン上のTFT素
    子のゲートに電圧を印可して、TFT素子のオン、オフを制御する。通常横方
    向の配線である。
(注4)データ線:
    TFT液晶ディスプレイの各ドット毎の表示色を決定するため、電荷を与える
    ための配線で、通常縦方向である。各ドットは、与えられる電荷の量で階調表
    示が実現される。
(注5)VGA(Video Graphics Array):
  ディスプレイの精細度の規格の一つ。VGAはIBM社の商標で、ドットサイ
    ズは640×480ドット。
(注6)TCP(Tape Carrier Package):
  1mm厚以下の超薄型実装が可能な薄膜テープ上にマウントしたパッケージ。

<応用機器例>
   ●ワークステーションのモニタ 
   ●モニタ一体型のデスクトップパソコン 
   ●ノートパソコン

<価 格>
     製 品 名         サンプル価格(円)
   HD66321TA0       1,200
   HD66326TA0       1,700


                                              以 上


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