日立製作所は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製造プラントで、1バッ
チ当たり最大25トンまで生産できるバッチ(回分式)プラントを開発し、9月4
日より受注を開始します。これまでに行った実液実験及びシミュレーションの結果
から、プラントにおいて1日あたり4バッチの作業ができることが確認されており、
本プラントでは、1日あたり100トンのPETの生産が可能です。
今回開発したプラントでは、新たに開発したプロセッサー(反応器)を採用する
ことにより、従来のプラントに比べ約40%反応時間を短縮することができます。
開発したプロセッサーは、縮重合系の重合機の円筒状容器を従来の縦置きから横置
きにすることにより、容器内の処理液を低動力で、且つ短い反応時間で効率よく撹
拌処理できる特殊なプロセッサー ( High Speed Batch Processor, 仮称 )です。
また、このプラントはPET以外の縮重合系ポリマーの製造にも対応することが
できます。
PETは、Yシャツ等のポリエステル繊維、飲料用PETボトル等の原料であり、
アジアを中心に需要が大きく伸びていますが、最近は生産設備の大容量化、プラン
トのコスト競争の激化から、コストパフォーマンスに優れたプラントの開発が望ま
れていました。
日立は、笠戸工場(山口県下松市)内にPET製造のパイロットプラントを所有
しており、これまでにもPET製品の品質確認、スケールアップデータ、運転ノウ
ハウ等の技術を蓄積し、PET製造のバッチプロセスとして確立してきました。
今回開発したプラントは、日産100トンを可能にするバッチプラントで、同容
量の連続式プラント、または従来の回分式プラントを数系列建設することに比べて、
大幅に設備費用を削減することができます。また、1バッチでの生産量を増加させ
ることによって、大容量多品種生産体制に適した設備を提供することができます。
日立では、昭和30年代初期よりバッチ(回分)式重合機の製作を始めました。
連続重合プラントでは優れた重合特性を持つメガネ翼式重合機を有し、国内で約
70%のシェアを持っています。今後は、従来プロセスに、今回開発した新型プロ
セッサー及びプロセスを加えることにより、アジアの繊維、フィルム、ボトル製造
企業などからのプロセス込みのパッケージでの受注拡大を目指します。
以 上
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