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平成9年3月31日
32ビットRISCプロセッサ「SH−3」のCPUコアを内蔵した
セルベースIC「SH−3コア HG73Cシリーズ」を製品化
―16ビットマイコン「H8Sシリーズ」のCPUコア内蔵版も併せて
製品化し、携帯情報機器やマルチメディア機器向けの高性能システム
オンチップを容易に実現―

日立製作所は、このたび、0.35ミクロンCMOSセルベースICとして、32
ビットRISCプロセッサ「SH−3」をCPUコアとした「SH−3コア
HG73Cシリーズ」を製品化し、平成9年7月より受注を開始します。
60MIPSの高性能を低消費電力で実現する「SH−3」の全機能をコアとして
搭載しており、ハンドヘルドPCやPDAなどの携帯情報機器、マルチメディア機
器向けの高性能システムオンチップを容易に実現します。
また、当社の16ビットマイコンの最上位機種「H8Sシリーズ」のCPUをコ
アとし、3.3Vで20MHz動作を実現した「H8Sコア HG73Cシリーズ」も併
せて製品化し、本年4月から受注を開始します。
今回の2シリーズでは、A/Dコンバータ、D/Aコンバータなどのアナログモ
ジュールも搭載可能です。
近年、電子機器における小型化、高速・高性能化、および低消費電力化のニーズ
に対応するため、システムの1チップ化が求められています。さらに、マーケット
ニーズに合った機器を早急に製品化するために、高性能・高機能システムをより短
期間でコンパクトに実現する必要があります。
このため、高性能なCPUコアを核とし、各種の機能をモジュールとして搭載で
きるセルベースICが、次世代の電子機器のキーデバイスとして幅広い分野で活用
され始めています。
当社では、このようなニーズに対応するため、高性能マイコンをCPUコアとし
たセルベースICを「μCBIC(Micro Cell Based IC)」として、製品展開して
います。
すでに、16ビットマイコン「H8/300Hシリーズ」のCPUコアを搭載し
た0.8ミクロンCMOSのμCBIC「HG71Cシリーズ」と、32ビット
RISCマイコン「SH−1」CPUコアを搭載した0.5ミクロンのμCBIC
「HG72Cシリーズ」を製品化しており、様々な分野に採用されています。
さらに、昨年7月には、0.35ミクロンのセルベースIC「HG73Cシリー
ズ」を市場投入しています。
一方で、さらなる演算処理の高速化の要求に加え、急速に市場を拡大している携
帯情報機器やマルチメディア機器では、CPUに対して、プログラムやデータ保護
のためのメモリ管理や細かな電力制御が求められています。
そこで、今回、マルチメディア機器向けに、60MIPSの高性能を低消費電力
で実現し、さらにメモリ管理機構(MMU)や、きめ細やかなパワーマネージメント機
能を内蔵した当社の32ビットRISCプロセッサ「SH−3」のCPUをコアと
した、0.35ミクロンセルベースIC「SH−3コアHG73Cシリーズ」を製品
化しました。「SH−3」は、米国マイクロソフト社のOS「Windows(R)CE(注1
)」にも対応し、同OSを搭載した携帯情報機器「ハンドヘルドPC」では、製品化
した7社中5社に採用されるなど、携帯情報機器やマルチメディア機器に適したマ
イコンです。
本シリーズでは、「SH−3」の特徴を活かし、ハンドヘルドPCやPDAなど
の携帯情報機器、マルチメディア機器向けの高性能システムオンチップを容易に実
現することができます。
また、当社16ビットマイコンの最上位機種「H8Sシリーズ」のCPUをコア
とし、3.3Vで20MHz動作と、高性能かつ低消費電力を実現した「H8Sコア
HG73Cシリーズ」も併せて製品化しました。
今回の2シリーズは、ゲート長0.35ミクロン、3層メタル配線技術(配線ピッ
チ1.4ミクロン)を採用したセルベースICで、3.3V/2Vの低電圧化による低
消費電力動作が可能です。ゲート遅延時間が200ピコ秒のセルと250MHz動作の
PLL(注2)を内蔵し、さらに各種メモリコンパイラを開発することで、大規模、
高速論理を実現しています。
「SH−3コア HG73Cシリーズ」は、携帯情報機器、マルチメディア機器向
けに、高性能、低消費電力を実現した当社32ビットRISCプロセッサ
「SH−3」のCPUをコアとし、標準品マイコンの「SH7708」と同様に8k
バイトのキャッシュメモリ、乗算器、MMU、そしてPCMCIAや各種メモリとの
インタフェース機能を内蔵しています。また、電源電圧3.3V時に、60MIPS/
60MHzの高性能、高速動作を実現できます。さらに、CPU周辺機器として、タイ
マ、シリアルインタフェース、ウォッチドッグタイマも内蔵しています。
「H8Sコア HG73Cシリーズ」は、16ビットマイコンでは業界最高レベル
の高性能・低消費電力を実現した「H8Sシリーズ」のCPUをコアとし、標準品
マイコンの「H8S/2655シリーズ」の周辺機能をすべて個別モジュールとし
て搭載しています。また、スタティック設計手法の採用により、電源電圧3.3V時
に20MHzと、従来の「H8/300Hシリーズ」のCPUコア製品と比較し、約5
倍の性能と1/3の低消費電力を実現しています。
さらに、2.2Vの低電圧、32kHzの低速動作も可能で、なお一層の低消費電力も
実現します。また、内部バス直結メモリとして、RAM16kバイト、ROM256
kバイトまでの各容量のメモリを揃えています。周辺機能モジュールは、当社独自
のマイコンコンパイラにより、必要な機能のみを選択できるため、チップの最適化
が可能です。
今回の2シリーズでは、これらの高性能CPUコアとともに、アナログモジュー
ルも搭載できます。
D/Aコンバータとして、高速(30MHz、10ビット)、中速(500kHz、10ビッ
ト)、汎用(100kHz、8ビット)の3タイプと、グラフィック用として超高速
(220MHz、8ビット)タイプを品揃えしています。
また、A/Dコンバータとしても、高速(18MHz、10ビット)、中速(3MHz、
10ビット)、汎用(50kHz、10ビット)の3タイプを品揃えしています。
パッケージは、プラスチックパッケージとして、標準のQFP100〜296ピン
に加え、高密度/高速タイプとしてBGA256ピン、352ピンを揃えています。
セラミックパッケージとしてはPGA135〜401を用意しており、ヒートシンク
付きも対応できます。
また、より小型/薄型実装が可能なパッケージCSP(Chip Scale Package)
136〜262ピンも準備しています。
今後の展開としては、従来のマイコンコア製品の0.35ミクロン化や、
「SH−4」や「SH−DSP」といった次世代高性能マイコンを軸に、オーディオ
用のアナログ機能(44kHz、16ビット)の充実、フラッシュメモリや各種の機能モ
ジュールの品揃えを予定しています。また、設計環境でも、ハードウェア、ソフト
ウェアの統合化設計環境を構築していく予定です。
なお、当社は米国VLSIテクノロジー社に、「SH−3」および「SH−4」
のCPUコアをライセンス供与することで合意しており、今回の「SH−3」
CPUコア製品は、VLSIテクノロジー社からも製品化する予定です。また、今
後は、「SH−4」CPUコア製品に関しても同様に製品化を進めていきます。
(注1)Windowsは、米国Microsoft Corp.の登録商標です。
(注2)PLL:Phase Locked Loopの略。周波数の位相を同期させるループ回路を構成
することにより、任意の周波数を発振させる回路技術、およびその回路。
<応用製品例>
ASICのため、応用分野を限定しません。応用例としては、
●マルチメディア機器:ゲーム、高性能画像処理、DVD、セットトップボックス、
楽器
●情報機器 :ハンドヘルドPC、PDA、携帯通信機器、ATM−LAN
●産業機器 :ロボット、制御装置
<価 格>
製 品 名 パッケージ 搭載ゲート数 1万個時の価格
(円)
SH−3コア HG73C QFP256 150kG 3,600
H8Sコア HG73C QFP208 100kG 2,450
以 上