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平成8年10月17日
SuperHファミリ用グラフィックス・アクセラレータ
「クイックシリーズ」第一弾、2次元グラフィックス・レンダラー
LSIを製品化
−情報家電向けグラフィックス表示システムの
画像用メモリ容量を低減でき、3次元グラフィックス的表示も
可能なレンダラーLSIを実現−

日立製作所は、このたび、カーナビゲーションやインターネットTVなどの情報
家電向けに、当社の32ビットRISCマイコン「SuperH RISC engineファミリ」
(以下SuperHファミリ)とのチップセットで用いることにより、グラフィックス処
理をコンパクトなシステムで高速に実現できるグラフィックス・アクセラレータ
(注1)「クイックシリーズ」(Qシリーズ)を開発し、市場投入します。
第一弾として、画像用メモリ容量を50%以上低減でき、3次元グラフィックス的
表示も可能な2次元グラフィックス・レンダラーLSI(注2)(Quick 2D
Graphics Renderer:Q2)「HD64411」を製品化し、本年10月からサ
ンプル出荷を開始します。
Qシリーズは、SuperHファミリとのチップセットによりグラフィックス表示シス
テムに必要なジオメトリ処理(注3)、レンダリング処理、表示処理をコンパクト
なシステムで高速に実現するものです。
「シンプル」「リアルタイム」「アップグレード」をコンセプトとし、SuperHファ
ミリに対応したレンダリング処理と表示処理を行います。
近年、家庭用ゲーム市場において、マンマシン・インタフェースに対応する高い
表示即応性と表現力を兼ね備え、かつ安価なゲーム機器が発売されたことに伴い、
カーナビゲーションやインターネットTVなどの情報家電市場全体にも、グラフィ
ックスによる飛躍的な表現力の向上が望まれています。
これらの処理を高性能かつシンプルに実現したいという要求に加えて、ソフトウ
ェアおよびデータベースの上位互換性を維持したいという要求が強くなる一方、複
雑化が進むグラフィックス・アルゴリズムにどのように対応するかが課題となって
います。
この対応策として、従来のグラフィックス処理は、高速メモリを大容量で用いて
CPUでジオメトリ処理とレンダリング処理の両方を行なったり、その時点ででき
る限りのグラフィックス・アルゴリズムを組み込んだグラフィックスLSIで行う
などしていたものを、ジオメトリ処理をCPUで行い、レンダリング処理と表示処
理を専用ハードウェアで行うという構成にすることが望まれており、マイコンとレ
ンダリングおよび表示を行うLSIとの組み合わせによるチップセットが求められ
ています。
そこで、当社ではSuperHファミリとのチップセットで高速のレンダリング、およ
び表示処理を行うグラフィックス・アクセラレータ「Qシリーズ」を開発しました。
Qシリーズは、「シンプル」「リアルタイム」「アップグレード」をコンセプト
とし、SuperHファミリでの座標変換などのジオメトリ処理に対応した線描画、面描
画などのレンダリング処理を高効率、低コストで実現します。
当社では従来より、表示制御用LSIの様々な製品展開を行っており、高速グラ
フィックス処理と画像処理を行うグラフィックスプロセッサ「HD64400」
(GDP:Graphics Data Processor)や高速グラフィックス処理とプログラミン
グ機能を内蔵したグラフィックスプロセッサ「HD64410」(ARTOP:Art
Operating Processor)などを量産しています。今回、これらの高速グラフィッ
クス技術をもとに、Qシリーズの第一弾として、外付けの画像用メモリ容量を50%
以上低減でき、3次元グラフィックス的表示も可能な2次元グラフィックス・レン
ダラーLSI「HD64411(Q2)」を製品化しました。
「Q2」は、高速2次元描画機能に、ソフトウェア3次元グラフィックス処理に
有効な4頂点図形にあわせて色情報を張り付ける機能(テクスチャマッピング)を
追加した、高性能レンダリング機能を内蔵しています。また、SuperHファミリに対
応したインタフェース機能やメモリインタフェース、表示制御機能を1チップに内
蔵したLSIです。例えば25×20ドットの矩形を、1秒間に1万5千ポリゴン
(注4)(16ビット/画素時)で描画できます。
また、画像用メモリを管理する方法として、ユニファイド・グラフィックス・メ
モリアーキテクチャ(注5)を採用しています。これにより、従来の「ARTOP」
では、自然画などのカラー図形や、フォントとパターンなどのデータ形式の異なっ
たデータをそれぞれ分けて管理していたのに対し、本製品では、1つのメモリです
べてのグラフィックス・データを管理することが可能になりました。さらに、フレ
ームバッファ(画像表示用メモリ)としてコストパフォーマンスの良いEDO
(Extended Data Output)タイプのDRAMを採用することで、従来16Mビッ
ト以上の高速DRAMで構成していたシステムをEDOタイプの4Mビット
DRAM1個で構成可能で、システムコストを低減できます。
そして、自然画またはグラフィックス画像の自由変形可能な4頂点ポリゴン描画
コマンドなど、厳選した4種の描画コマンドにより、2次元グラフィックスを高速
で実現でき、3次元グラフィックス的な表示も可能としています。
このようなグラフィックス処理を、動作周波数を33MHzに高速化したこととや、
1画素あたりの処理サイクルを従来の17サイクルから3サイクルに改善したことで、
従来の「ARTOP」と比較し、13倍の高速描画で実現しています。
さらに「Q2」は、ダブルバッファアーキテクチャ(注6)の採用により、リア
ルタイム描画を実現できます。
その他、基本機能としてDRAMダイレクト接続、TVに同期して表示する機能
や同期信号の生成機能、カラーパレットの内蔵、色空間変換(YUV→RGB、
RGB→YCrCb)など、従来システムおよび今後のシステムとの継承も容易と
なっています。
これらの特徴から、カーナビゲーションやネットワークコンピュータなどの中精
細OA機器、産業用機器の表示システム、インターネットTV、カラオケなどの
AV機器など、広範囲のマルチメディア端末のグラフィクス処理システムをコンパ
クトかつ、高い描画性能で実現できます。
プロセスは0.6ミクロンアルミ2層CMOSプロセスを採用しています。
また、パッケージは144ピンQFPプラスチックパッケージを使用することで、
安価で高性能な表示システムを構成することができます。
今後の展開としては、今回の33MHz動作版に加え、66MHz動作対応版を
計画しています。
(注1)アクセラレータ:マイコンを補佐し、処理時間を短縮するための仕組みを
備えたLSI。
(注2)レンダラーLSI:レンダリング処理を行うLSI。レンダリング処理と
は、画像用メモリ上に線や面の描画を行い、目的の図形を表現する処理の
ことをいう。
(注3)ジオメトリ処理:頂点の平行移動、回転処理などの座標変換における数値
処理をいう。
(注4)ポリゴン:描画処理時間を表現する上で用いる図形の単位。図形により1
単位のポリゴンの大きさは異なる。例えば、面の場合、20×25画素の
矩形領域を1単位のポリゴンとし、単位時間あたりにこのサイズのポリゴ
ンをどれくらい処理できるかを示す指標として用いる。
(注5)ユニファイド・グラフィックス・メモリアーキテクチャ:形式の異なるデ
ータを一つのメモリに入れ、それらを管理する方法。形式の異なるデータ
には、自然画等のカラー図形、フォントパターン、ディスプレイスト(描
画コマンド列のこと)、描画により作成された図形がある。
(注6)ダブルバッファアーキテクチャ:画像用メモリ上に、描画に用いる領域お
よび、表示に用いる領域の二つの領域を設け、それらを一定時間ごとに役
目を入れ替える方法をいう。本アーキテクチャにより、表示処理とレンダ
リング処理を交差して行うことが可能になる。
<応用製品例>
* 小画面OA機器(ネットワークコンピュータ等)
* カーナビゲーションシステム
* AV機器(インターネットTV、カラオケ)
* 産業機器の表示システム
<価 格>
製 品 名 サンプル価格(円)
HD64411 3,000
以 上