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平成8年6月13日
世界最高のデータ転送速度を実現する
DRAM/論理回路混載技術を開発
−マルチメディア機器の性能の飛躍的な向上に寄与−

日立製作所は、この度ハーフミクロンの微細加工技術を用いて、世界最高
のデータ転送速度を実現するとともに、内蔵するメモリ容量の自由度を大幅
に高めたDRAM/論理回路の混載技術を開発しました。今回、本技術を活
用し、8メガビットの記憶容量を持つDRAMを内蔵し、6.4ギガバイト/
秒のデータ転送速度をもつ3次元グラフィックスチップを試作し、基本動作
を確認しました。
今回の技術開発により、パソコンでの3次元画像の処理等、マルチメディ
ア機器の飛躍的な性能の向上が期待できます。
DRAMは高集積化に優れた半導体メモリとして、パソコンやワークステ
ーションなどに広く使われています。また、マルチメディア時代を迎え、パ
ソコン、ゲーム機をはじめとするさまざまな機器において、画像や映像など
処理データの大容量化が急速に進んでいます。しかしながら、DRAMと演
算処理を行なう論理回路間のデータ転送速度の不足が顕在化しつつあります。
こうしたなか、その解決手段として、DRAMと論理回路を1チップに混載
したLSIチップが期待されていますが、これまでの技術では、構成の自由
度を高めること、また転送速度の向上と高集積性とを同時に実現することが
困難でした。
そこで、当社では、モジュール設計方式を開発することにより、256キ
ロビットを一単位として最大16メガビットまで、容量の自由度を大幅にか
つ容易に高めることが可能となりました。また、最大1,024本の入出力
線を持ち、各単位が同期してデータを読み書きできるため最大12.8ギガバ
イト/秒の高速データ転送が可能となりました。
さらに、DRAMと論理回路を高集積に接続するためのデータ転送回路を
新たに開発することにより、チップ面積の増大を抑えることが可能になりま
した。
今回、これらの技術を用い、その検証のために約122平方ミリ(8.35mm
×14.6mm)の3次元CG(コンピュータグラフィックス) 用の8メガビット
DRAM内蔵チップ(メディアチップ)を試作しました。
[技術の詳細]
<モジュール化設計方式の導入>
論理回路と共に混載されるDRAMは、DRAMマクロと呼ばれる小単位
で構成されます。しかし必要とされる記憶容量は用途によって千差万別であ
り、さまざまな記憶容量を持つDRAMマクロを簡単に構成できるようにす
ることが課題でした。
そこで、メモリアレー(バンク)部と制御用の周辺回路部という2つのモジ
ュール(部品)の組み合わせでDRAMマクロを構成する「モジュール化設計
方式」を開発しました。1つのバンクは256キロビットの記憶容量を持ち
ます。これらのモジュールの寸法を規格化することにより、バンク部と周辺
回路部を並べるだけでDRAMマクロを構成することが可能になります。1
個の周辺回路部で8個のバンクまで制御することができ、バンクの個数を変
えることにより256キロビットから最大2メガビットまでの所望の記憶容
量を持つDRAMマクロを容易に設計することが可能です。
さらに、DRAMマクロは1チップに8個まで搭載でき、これにより1チ
ップで最大16メガビットの記憶容量を得る事ができます。また、1つの
DRAMマクロは128本の入出力線をもち100メガヘルツのクロック
(タイミング信号)に同期してデータを読み書きすることができるため、8マ
クロ搭載時のデータ転送速度は12.8ギガバイト/秒に達します。
このため、本DRAMマクロを用いると様々なマルチメディア処理を高速
に行なうことが可能です。
<データ転送回路の開発>
開発したDRAMマクロは、128本もの入出力線を持つため、通常の配
線を用いて論理回路と結合したのでは、チップ上に占める配線の領域が大き
くなるという問題が生じます。そこで、DRAMマクロと論理回路を直接結
合するデータ転送回路を開発しました。このデータ転送回路は、128本の
入出力線に読み書きされるデータの順番を論理回路の動作に応じて高速に入
れ換えることが可能です。データ転送回路の幅はわずか150ミクロンと小
さいため、面積の増大を招くことなくDRAMマクロと論理回路とを直接結
合することが可能です。
これらの開発技術を検証するため、ハーフミクロン微細加工技術によりメ
ディアチップと名付けた3次元CG実験チップを試作しました。このチップ
は、約122平方ミリ(8.35mm×14.6mm)の中に8メガビットのDRAMと転
送回路、並列画素処理回路を集積したもので、αブレンド(注1)、Z比較(注
2)などの3次元コンピュータグラフィックス処理を4画素分、並列に処理す
ることが可能です。
なお、今回のDRAM技術の開発に関する研究成果は、6月13日からハ
ワイで開催されるVLSI回路シンポジウム(Symposium on VLSI
Circuits)にて発表します。
<DRAMマクロの仕様>
構 成:バンク、周辺回路からなるモジュール構造
加 工 技 術 :ハーフミクロンCMOS
動作周波数 :100メガヘルツ
入 出 力 線 :128本
電 源 電 圧 :3.3ボルト
<用語説明>
(注1)αブレンド:透明な物体を表現するための3次元CG処理
(注2)Z比較:近くの物体が遠くの物体を隠す様子を表現するための3次
元CG処理
以 上