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                                                  平成8年2月8日

64MビットAND型フラッシュメモリを開発

−3.3V単一電源で50nsの高速読み出しを実現−

 日立製作所はこのたび、三菱電機(株)との共同開発により、3.3V単一
電源で50nsの高速シリアルアクセスタイム(読み出し時間)(注1)と512
バイト単位での書き込み、消去を実現した64MビットAND型フラッシュメ
モリを開発しました。
 フラッシュメモリは電気的にデータの書き換えが可能な不揮発性メモリで、
DRAM(注2)、SRAM(注3)に代表される揮発性メモリのように電源を
切ってもデータが消失することはありません。このため、データ保持用のバッ
テリーバックアップが必要なく、機器の低消費電力化や小型化が図れます。
 主な用途としては携帯電話のコードストレージや大容量品ではPCカード
等の外部記憶装置、スチルカメラのデータストレージ等があり、マルチメデ
ィア市場の拡大に伴い、今後ますます需要が高まるものと期待されています。
 こうした中、64Mビットクラスのフラッシュメモリは、外部記憶装置とし
て機器のシステム内に搭載、またはメモリカードに搭載することで、従来の
ハードディスクドライブ(HDD)を用いた場合よりもコンパクトで低消費
電力のシステムを構成できることから、注目を集めています。そして、こう
したシステム実現のために高速アクセスと高速書き換え、さらに低消費電力
であることが要求されています。
 従来のフラッシュメモリには大きく分けて、NOR型(注4)とNAND型
(注5)と呼ばれる2つのタイプの技術がありました。NOR型は、読出し速
度が100 ns 前後と高速ですが、メモリセルサイズが NAND型の約2倍の
大きさで高集積化に向いていません。また、セルへの書き込みも CHE方式
(注6)を用いており、比較的大きな電流を流すため、外部に高電圧電源が
必要となります。一方、NAND型は高集積が可能で、高速なシリアルアクセ
スを実現でき、単一電源動作に向いていますが、消去単位が大きく、書き込
み単位と同じにできないという問題点がありました。
 今回開発した64MビットAND型セルは、高集積化、高速シリアルアクセ
スと単一電源動作を実現できます。セルの書き換えにトンネル方式(注7)
という大電流を必要としない書き換え方式を採用したため、チップ内で書き
換えに必要な高電圧を発生でき、3.3Vの単一電源動作が行えます。アクセス
方式はシリアルで、50nsの高速シリアルアクセス(読み出し時間)を実現し
ています。また、ビット線を主ビット線と副ビット線を設ける階層構造とし、
各々のメモリセルを副ビット線に並列に接続したアレイ構成とすることによ
り、ワード線毎に消去可能としました。これにより、512バイトという小単
位での消去を実現でき、高速書き換えが行えます。
 その他に、コマンドをいれるだけで書き込み・消去の複雑なアルゴリズム
を自動的に行なう自動ページ書き込み、消去機能、ステータスポリング機能
(注8)を内蔵しています。また、16バイトの管理領域を各々の消去単位に
もっています。これらの機能により、データの書き換え、管理が容易となり、
システムのソフトウェアの開発が容易になります。
 プロセスは0.4ミクロンCMOS プロセスを採用しています。
 当社と三菱電機 (株) は平成6年1月にDINOR型(注9)のフラッシュ
メモリ、AND型のフラッシュメモリの共同開発について合意し、16Mフラ
ッシュメモリについては三菱電機 (株) が独自に開発したDINOR型、そし
て64Mフラッシュメモリについては当社が独自に開発したAND型のセル
方式技術をベースに共同開発を行っています。
 今回の開発は、その共同開発第2弾にあたり、本年2月8日から米国で開
催される「国際固体素子回路会議(ISSCC)」でも開発成果を発表します。
(注1)シリアルアクセス:データをまとまった単位で連続的に読みだす
    アクセス方式
(注2)DRAM:Dynamic Random Access Memoryの略
(注3)SRAM:Static Random Access Memoryの略
(注4)NOR型:米国インテル社を中心として殆どの企業が採用。セルが
    ビット線に対し並列に接続されているところからその名がある。
(注5)NAND型:(株)東芝が提唱。セルがビット線に対し直列に接続さ
    れているところからその名がある。
(注6)CHE方式:Channel Hot Electron方式の略。ゲート、ドレインに
    高電圧を印加し、チャネルを通る電子のエネルギーを高め、フーティ
    ングゲートへ注入して書き込む方式。大電流を必要とする。
(注7)トンネル方式:薄い酸化膜に高電界を与えることにより、電子が
    酸化膜を通り抜ける現象を利用する方式。
(注8)ステータスポリング機能:フラッシュメモリが書き込みまたは消
    去中であることを外部からリアルタイムで確認できる機能。
(注9)DINOR型:DIvided bit-line NOR型の略
<応用製品例>
・デジタルカメラの画像記憶
・パームトップPC、ノートPC等の補助記憶装置
                            以 上


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