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「BluetoothTM」対応チップセット |
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上段:RFトランシーバLSI「HD157100」、 |
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下段:ベースバンド機能搭載マイコンSuperHTM「SH7630」 |
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日立製作所 半導体グループ(グループ長&CEO 伊藤
達)は、このたび、近距離無線ネットワーク規格「BluetoothTM」(注1)に対応する高機能機器向けのチップセットとして、ベースバンド機能を備えた32ビットSuperHTM(注2)RISCマイコン「SH7630」およびRFトランシーバLSI「HD157100」を製品化し、2002年10月からサンプル出荷を開始します。
本2製品と制御ソフトウェアを含めた「Bluetooth」対応のトータルソリューションの提供により、ユーザは、容易に「Bluetooth」対応機器の開発を行なえます。さらに、「SH7630」は高性能なSuperHマイコンにベースバンド機能を搭載しているため、「Bluetooth」対応の処理に加え、音声処理など他のアプリケーションの同時処理が可能です。これにより、従来、「Bluetooth」のベースバンド処理とアプリケーション処理にそれぞれ必要であった2つのLSIを1つの「SH7630」で対応でき、機器の高性能化を実現できるとともに、低価格化、小型化を図れます。
また、本2製品は、「Bluetooth」のロゴ認証を2002年5月に取得しています。
「Bluetooth」は、2.4GHz帯域の電波を使用する近距離無線通信規格です。最大伝送距離が100メートルで、データの最大通信速度は1Mビット/秒であり、他の無線通信技術に比べて低消費電力のシステムが構築可能な無線技術であることから、携帯電話やパソコンおよびその周辺機器、またデジタル家電などを接続する無線ネットワーク技術として、業界標準になりつつあります。一方、機器への「Bluetooth」搭載については、省スペース化や低価格化が図れ、かつ容易な開発へのニーズがあります。
当社は、このようなニーズに対応するため、SuperHマイコンに「Bluetooth」対応のベースバンド機能を搭載した「SH7630」およびRFトランシーバLSI「HD157100」の2製品を製品化しました。本2製品は、「Bluetooth」規格のversion
1.1に対応しており、特長は以下のとおりです。
<特長>
1. 高性能で豊富な周辺機能を内蔵したベースバンド機能搭載SuperHマイコン「SH7630」 |
(1) |
「SH7630」は、SuperHマイコンの携帯機器向けCPUコア「SH-3」からMMU(Memory Management
Unit)等を除いたコアを搭載。高処理性能により、「Bluetooth」プロファイルに加え、HCI(ホストコントロール・インタフェース)より上位の音声処理などのアプリケーションを、1つの「SH7630」で処理することが可能。
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(2) |
音声/オーディオ CODECを各々直接接続できるインタフェースを内蔵。これにより、音声や音 楽等を扱うAV機器の開発が容易であり、「Bluetooth」搭載のハンズフリー端末機器やヘッドセットなどに最適。
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(3) |
16Kバイトのキャッシュメモリと128Kバイトの大容量RAMの内蔵により、処理性能の向上や アプリケーションプログラムの格納を実現。さらにUSB(Universal
Serial Bus)のホストまたはファンクション機能、最大速度921Kビット/秒の高速非同期シリアルインタフェース、D/Aコンバータ等豊富な周辺機能を搭載。高処理性能と豊富な周辺機能により、高機能な「Bluetooth」対応機器を実現可能。パッケージは、小型の208ピンCSP(12mm×12mm)を採用。
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2. コストパフォーマンスの良いRFトランシーバLSI「HD157100」 |
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「HD157100」は、SOI(Silicon On Insulator)を採用した0.35μm BiCMOSプロセスを使用。当社の高周波信号処理LSIで培ってきた技術によるVCO(Voltage
Controlled Oscillator)の内蔵化。レシーバ部についてはSAWフィルタを使わない方式の採用。また、トランスミッタ部に関しても、回路規模の低減、消費電流の低減が図れるVCO直接変調方式を採用。これにより、チップサイズの小型化および低消費電流化ができ、コストパフォーマンスの良いLSIを実現。パッケージは、小型の36ピンQFNパッケージ(6.2mm×6.2mm)を採用。
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3. 本チップセットの制御ソフトウェア提供により、「Bluetooth」対応の高機能機器開発をサポート。さらに小型パッケージおよび部品の削減により、機器の小型化、低価格化に貢献
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「SH7630」用として、「HD157100」のドライバソフトウェアなど各種制御ソフトウェアを用意。本チップセットとソフトウェアのトータルソリューション提供により、ユーザにおける「Bluetooth」対応の高機能機器の開発の容易化が可能
また、「SH7630」の動作クロックを「HD157100」から供給するモードを搭載。本モードでは、動作クロック発生用の外付け水晶発振子は、「HD157100」用の1個ですみ、部品の削減および実装面積の低減が可能。さらに、それぞれのLSIは小型のパッケージであるため、機器の小型化、低価格化が実現可能。
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今後、Bluetooth対応製品の取組みとして、RFトランシーバLSI、ベースバンド機能を搭載したマイコンの更なる機能強化版の開発やラインアップの拡充を図っていきます。
(注1) |
BluetoothTMは、米国 Bluetooth
SIG(Special Interest Group), Inc.の商標であり、(株)日立製作所は、ライセンス契約によりこれを使用しています。
Bluetooth SIG, Inc.は1998年に設立され、当社を含め2,000社を超える企業が会員となっています。Bluetooth
SIG, Inc.のWebサイト: http://www.bluetooth.com/
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(注2) |
SuperHTMは、(株)日立製作所の商標です。 |
■応用機器例
●Bluetooth応用機器:ハンズフリー携帯機器やヘッドセット、AV機器等
■価 格
製 品 名 |
パッケージ |
サンプル価格(円) |
ベースバンド機能搭載マイコン |
SH7630 (HD6417630BP) |
CSP-208 |
2,200 |
RFトランシーバLSI |
HD157100 (HD157100NP) |
QFN-36 |
800 |
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■仕 様
(1) ベースバンド機能搭載マイコン「SH7630」
項 目 |
仕 様 |
製品名 |
HD6417630BP |
CPUコア |
「SH-3」CPUコアからMMU/TLB機能を除いたコア |
最大動作周波数 |
・64MHz (外付け水晶発振子を使用時)
・52MHz (HD157100から13MHzのクロックを供給時) |
電源電圧 |
・I/O:3.0〜3.6V
(ただし、RFとのインタフェースI/O部は、2.7〜3.0V)
・内部:1.5V(内蔵レギュレータで供給) |
キャッシュメモリ |
16Kバイト |
内蔵RAM |
128K バイト |
周辺機能 |
・割り込みコントローラ × 2本
・DMAコントローラ × 6チャネル
・ウォッチドッグタイマ × 1チャネル
・シリアルインタフェース × 3チャネル
(FIFO付 × 1チャネル、調歩同期 × 2チャネル)
・USB規格 v1.1対応 ホスト または ファンクション機能
(ホスト×1チャネルまたはファンクション×1チャネル)
・8ビット D/Aコンバータ× 2チャネル |
リンクコントローラモジュール |
・BluetoothTM規格
version 1.1対応リンクコントローラ
・RFトランシーバLSI「HD157100」と直結が可能
・音声/オーディオ CODECインタフェース内蔵
・ACL/SCO*リンク |
低消費電力モード |
・マイコン低消費電力モード:3種
(スリープ/スタンバイ/モジュールスタンバイモード)
・BluetoothTM低消費電力モード:3種
(Park/Sniff/Holdモード) |
外付け水晶発振子 |
・8〜16MHz (HD157100からクロックを供給する時は不要)
・32KHz又は32.768KHz(BluetoothTM低消費電力モード用) |
動作保証温度範囲 |
-20℃〜 +75℃ |
パッケージ |
CSP-208 ( 12mm×12mm、0.65mm ピンピッチ) |
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*ACL: Asynchronous Connection-Less(非同期コネクションレス)
SCO: Synchronous Connection-Oriented(同期コネクション指向接続)
(2) RFトランシーバLSI「HD157100」
項 目 |
仕 様 |
製品名 |
HD157100NP |
電源電圧 |
2.7 〜 3.0 V |
消費電流 |
送信時:36mA typ. 、受信時:48mA typ. |
最小受信感度 |
-83dBm |
外付け水晶発振子 |
13MHz |
BluetoothTM規格 |
version 1.1に対応 |
動作保証温度範囲 |
-20℃〜 +75℃ |
パッケージ |
QFN-36( 6.2mm×6.2mm、0.5mm ピンピッチ) |
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