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2002年2月27日
 
電源、絶縁機能内蔵トランシーバLSIを開発
― スイッチング電源、500V絶縁、電源監視機能をワンチップ化 ―
   日立製作所 日立研究所(所長;児玉英世)は、このたび、スイッチング電源、絶縁、電源監視機能をワンチップ化した、DeviceNet*1向けトランシーバLSIを開発しました。本LSIにより、ネットワークのインターフェース部分のさらなる小形化、省エネ化が可能になります。

   近年、多様化するユーザニーズに応じて迅速に製品を提供するために、工場では製造設備の段階的な構築や、短期間での変更など柔軟性が強く求められています。このため、工場の生産ライン等で使用されるセンサやアクチュエータ等のフィールド機器の接続は、従来の個別配線から、柔軟なシステム構築が可能なフィールドネットワーク*2に移行しつつあります。代表的なフィールドネットワークであるDeviceNetは、国際的な標準ネットワークとしてODVA (Open DeviceNet Vendor Association) が標準化を推進しています。省配線化やメンテナンス性を向上できるため、現在、工場の生産ラインや半導体製造装置に使われていますが、さらなる普及のために、通信に必要なトランシーバLSIやその周辺の電源回路、絶縁部品の小形、低消費電力化が求められています。

   そこで日立研究所では、SOI*3(シリコン・オン・インシュレータ)基板を使用した高耐圧素子技術と、シリコンチップ上にkV級の絶縁カプラを形成する技術を開発し、DeviceNet の仕様である伝送速度500kbps、絶縁耐圧500Vを満足する 1MHz以上のトランシーバ動作と1kV以上の絶縁耐圧を得ました。また、スイッチング電源、電源監視回路をオンチップ化することにより、電源の低消費電力化と高信頼化を実現しました。今回試作したLSIを用いれば、ネットワークインターフェース部で大きな電流を消費している高速フォトカプラ*4とドロッパ型電源*5が、容量結合方式カプラと低消費電力のスイッチング電源に置換えられてLSI上に形成されるので、インターフェース部分の実装面積を従来の約半分にすると共に、消費電力も約5分の1に低減することが可能となります。
   また、DeviceNetでは、その物理層と通信プロトコルに自動車等で広く使われているCAN (Controller Area Network)を用いているので、本開発技術はCANを用いたネットワークにも適用可能です。

   なお、本技術は、2月26日から米国ラスベガスで開催される第8回International CAN Conference において発表する予定です。

   本研究は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)および(財)省エネルギーセンターとの共同研究開発事業、「稼働時電気損失削減最適制御技術開発」において実施されたものです。

[用語説明]
*1 DeviceNet:業界標準団体ODVA (Open DeviceNet Vendor Association) が標準化を進めるオープンフィールドネットワーク。
*2 フィールドネットワーク:センサやアクチュエータ等のフィールド機器とコントローラを結ぶフィールドレベルのネットワーク。
*3 SOI (Silicon On Insulator) :絶縁物上にシリコン半導体を形成した半導体構造。
*4 フォトカプラ:発光ダイオードとその出力信号を受光するトランジスタを用いて、絶縁しながら目的とする信号を伝送する混成型の半導体部品。
*5 ドロッパ型電源 (ドロッパ型レギュレータ) :入力電圧と出力電圧の差電圧をトランジスタのコレクタ、エミッタ間のオン抵抗で分担させ所定の出力電圧となるよう制御する電源方式。

以 上




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