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2002年1月31日 | ||||||||||||
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日立製作所 日立研究所(所長;児玉 英世)では、このたび、軟磁性金属と高抵抗セラミックスとのナノコンポジット化により、GHz帯域で優れた電磁波吸収特性を示す高抵抗軟磁性ナノコンポジット粒子を開発しました。高周波化が加速的に進んでいる電子通信機器関連分野での電磁波干渉問題の解決に期待できます。 近年、携帯電話、無線LAN等の情報通信機器、高度道路交通システム(ITS)等にギガヘルツ帯域の電磁波が用いられており、今後ますますその利用が拡大すると予想されます。このような電磁環境の中、機器間あるいは機器内部での回路間の電磁波干渉による誤動作問題が、クローズアップされてきており、その解決手段として電磁波吸収体が注目されています。 電磁波吸収体には、ソフトフェライトや軟磁性金属が利用されていますが、より薄く、高吸収率の電磁波吸収体が求められています。そのためには、電磁波吸収特性を構成する材料特性(透磁率・誘電率)の向上が不可欠であります。しかし、従来の軟磁性金属は抵抗が小さいために、高周波帯域では渦電流の発生により透磁率が急激に低下してしまいます。また、ソフトフェライトは、軟磁性金属に比べ、抵抗は高いものの、材料本来の透磁率が小さいといった問題があります。 このような中、日立研究所では軟磁性金属の高抵抗化により、高周波帯域での透磁率を向上させるという発想をもとに、ナノテクノロジーを活用しました。その結果、軟磁性金属粉末と高抵抗セラミックス粉末を混合・粉砕・攪拌するメカニカルアローイング法で作製したナノコンポジット粒子が、ギガヘルツ帯域で高い透磁率および誘電率を示し、電磁波吸収体としての特性が格段に向上することを確認しました。これにより、電磁波吸収体の厚さを約50%低減することが可能となり、塗料型電磁波吸収体への展開も視野に入れて実用化を目指す予定です。 このような特性は、軟磁性金属ナノ結晶粒の周囲を非晶質の高抵抗セラミックス相が取囲んだ構造にしたことにより、軟磁性金属結晶粒同士が高抵抗相で分断され、高周波帯域で発生する渦電流損失が高抵抗化により抑制されたことによります。また、ナノ結晶粒化による結晶磁気異方性の低減および軟磁性結晶粒同士の磁気的な交換結合作用による軟磁気特性の向上も、その理由として考えられます。 今後は、情報通信分野、社会インフラ分野等で、さまざまな応用展開を図ってゆく予定です。 [用語解説]
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以 上 |
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