日立概要ページへ トップページへ
日立の概要 ニュースリリース トップページへ

このニュースリリース記載の情報(製品価格、製品仕様、サービスの内容、発売日、お問い合わせ先、URL等)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更され、検索日と情報が異なる可能性もありますので、あらかじめご了承ください。なお、最新のお問い合わせ先は、お問い合わせ一覧をご覧下さい。

 

2001年11月27日

 

 
陽子線がん治療装置を用いた治験(臨床試験)を筑波大学で開始
陽子シンクロトロン 照射治療室

  株式会社 日立製作所 電力・電機グループ(グループ長&電力部門CEO:久野 勝邦)は、このたび、核融合装置や加速器等の開発、設計で培った技術を用いて開発を進めてきた「陽子線がん治療装置」を用いた治験(臨床試験)を、筑波大学陽子線研究利用センター(センター長:秋根康之)に依頼して実施します。
  今回の治験は、薬事法で定められた医療用具として、厚生労働省から本装置の製造および販売の認可を得るために、装置の安全性を評価することが目的です。筑波大学附属病院に装置を設置しており、脳腫瘍または固形癌の患者6名を対象に行います。
  また、今回の治験については、2001年11月14日(水)〜16日(金)に、筑波大学で開催される第35回PTCOG(Particle Therapy Co-Operative Group)会議にて発表されました。

  陽子線を用いたがん治療は、深部の腫瘍部のみに照射を集中させるように陽子ビームを制御し、腫瘍を破壊させる新しい治療方法です。患部への線量集中度が高いため、従来の電子線やX線の放射線治療より副作用が少ないという特徴があるほか、陽子線には与えられたエネルギーに応じて決まった深さで止まり、エネルギーを放出するという性質があり、エネルギー放出の位置を患部の深さに合わせ、周囲の正常細胞に大きな影響を与えることなく、ガン細胞だけを治療することができます。このため、切除すると周りの重要な臓器の機能を大きく損なう可能性のあるがんや、深部がん等に非常に有効であり、外科的治療や薬の投与による治療に比べて、患者の負担が低減されるほか、現在の手法では困難な種類の病巣への適応も可能で、これまでの臨床でも大きな成果を上げています。
  現在、医療用加速器は、建設中を含めて国内で8基、世界で30基程度あり、さらに今後、国内だけでも5施設以上の建設が検討されています。

  当社は、1950年代から加速器の開発に携わっており、高エネルギー加速器研究機構納の世界最大級の大型加速器「トリスタン」をはじめ、さまざまな加速器の主要装置を開発、納入してきました。最近では、福井県若狭湾エネルギー研究センター(福井県敦賀市)へ、陽子線がん治療や物理・化学、生物学、農学など幅広い先端分野での研究開発に利用される「多目的シンクロトロン・タンデム加速器」を納入しています。
  今回治療を開始する装置は、「回転ガントリー」を採用することで、身体の全周囲から陽子ビームを照射が行えます。また、患者の呼吸に伴って患部も移動することから、呼吸に同期して患部を常に正確に照射する機構も備えています。

  筑波大学は、1980年に学内共同利用施設として粒子線医科学研究センターを設立し、以来、陽子線を利用した医学物理・生物学の基礎研究や、陽子線照射によるがん治療の臨床研究を行っています。これらの研究を通じて、陽子線治療の安全性と、特に深部がんの治療に対する有効性が明らかにされてきました。

  当社では、今回の治験の成果を生かし、陽子線治療用装置の開発をさらに推進する予定です。

■治療(臨床研究)先
筑波大学陽子線医学利用研究センター
〒305-8575 茨城県つくば市天王台1−1−1
TEL0298-53-7100

以 上




top of this page


(C) Hitachi, Ltd. 1994, 2001. All rights reserved.