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2001年9月26日 | ||
(株)日立製作所 エルピーダメモリ(株) |
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(株)日立製作所ならびにエルピーダメモリ(株)は、このたび、消費電力を既存のDRAM(Dynamic
Random Access Memory)の1/3に低減する「低電圧高速センスアンプ回路技術」を開発しました。今回開発した回路技術は、DRAMを低電圧化した場合に動作速度の低下原因となっていたセンスアンプ回路(*1)の増幅動作の遅延を取り除くもので、現状の電圧1.8Vと同等の動作速度を、わずか1Vで実現可能にします。本技術は、電圧1Vが要求される次世代のマルチギガビットDRAMを実現するキーテクノロジーとして期待されます。 ユビキタス情報社会を実現していくためには、画像・音声をはじめとする大容量のデータを高速処理するモバイル機器向けに、大容量、高速かつ低消費電力のデバイスが必要です。なかでも将来のキーデバイスとして大きな期待がかかる次世代マルチギッガビットDRAMは、高集積化に伴う消費電力の増加を抑制するための低電圧化技術が必要です。 しかし、DRAMは、低電圧化を進めるとメモリセル(*2)からセンスアンプ回路に読み出される信号(データ)量が減少し、センスアンプ回路の増幅動作が遅延することからDRAMの動作速度そのもが低下することが問題でした。このため、小さな電圧でも高速に増幅できる新しいセンスアンプ回路技術の開発が求められていました。 (1)速度低下の原因: センスアンプは、隣接する他の多くのセンスアンプと共通の駆動線で接続されています。駆動線に電圧がかかると、一番先に電流が流れたセンスアンプに電流が優先的に流れてしまうため、他のセンスアンプの駆動は後回しにされてしまいます。さらに時間の経過とともに、動作開始が遅れたセンスアンプ回路に流れる電流がますます小さくなり、DRAMそのものの動作速度が低下してしまいます。現状の電圧1.8Vでは、十分大きな電流が流れるため、この効果は明確に現れてきませんが、電圧が1Vになると、DRAMの動作速度を低下する現象として、無視できなくなるものです。 (2)低電圧高速センス回路の開発: そこで、こうした隣接するセンスアンプ同士の動作の干渉を取り除くために、複数のメモリセルとセンスアンプに対し一つしかなかった駆動スイッチを、個々のセンスアンプ毎に独立して設けました。これにより、駆動スイッチを流れる全ての電流が個々のセンスアンプに流れるため、センスアンプ間での駆動開始の遅延やばらつきがなくなりました。 さらに、この技術を回路シミュレーションによって評価した結果、電圧1.8Vにおける動作と同等の速度を、電圧1Vにおいて実現する見通しを得ました。これにより、消費電力を1.8V動作時に比べ3分の1に低減することが可能です。また、本回路技術は従来方式の回路に変更を加えず組み入れることが可能なため、チップ面積の増加分は約3%程度に抑えられます。本技術は、DRAMだけでなく、小容量や混載用のDRAMアレーにも適用することが可能です。 なお、本技術は、9月25日から東京で開催される国際固体素子材料コンファレンス(International Conference on Solid State Devices and Materials) で発表する予定です。 (注釈) (*1)センスアンプ回路:読み出し信号を増幅する回路 (*2)メモリセル:1つあたり1ビット記憶するDRAMの記憶領域 |
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以 上 |
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