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2001年9月26日 | ||||||||
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日立製作所 中央研究所(所長:武田英次)は、このたび、次世代半導体に向けたアルミニウム(Al)配線加工用のドライエッチング技術を開発しました。最小線幅(*1)が120ナノメートルとなる次世代半導体デバイスでは、最小線幅と同等の120ナノメートル・ライン&スペース(線幅と隙間)で金属配線を量産加工する必要があります。今回、日立独自のUHF-ECRプラズマ生成技術(*2)を適用し、エッチングガスを最適化することによって、10ナノメートルの加工精度で、120ナノメートル・ライン&スペースの配線パターンの加工を実現しました。 本技術は、低コストのAl配線を次世代以降の半導体デバイスにも適用可能とするものであり、半導体デバイスの微細化と低コスト化に貢献できる量産加工技術です。 半導体デバイスの微細化とともに、配線の間隔も急速に密となり、微細な金属配線加工が半導体製造プロセスにおける新たな技術課題となっています。なかでも、アルミニウム合金を配線材料として用いるメモリLSI(大規模集積回路)は最も要求精度が厳しく、最小線幅120ナノメートルとなる次世代LSIでは、最小線幅と同等の120ナノメートル・ライン&スペースの配線を形成する必要がありました。 アルミニウムは腐食されやすいために、エッチング(腐食性)ガスを用いて垂直に加工しようとしても、側壁のエッチング(サイドエッチング)が容易に生じてしまい、矩形断面の加工を実現することは困難です。そこで、従来は、高密度のプラズマエッチング(*3)を用いて、(1)レジストマスク(配線パターンを形成するために塗布する耐エッチング性の高い高分子膜)から発生するカーボン含有物と、(2)カーボン系ガスを添加することによって生成されるカーボン含有物をプラズマ中で分解し、配線の側面に保護膜として吸着する現象を利用して、サイドエッチングを抑制していました。しかし、配線幅が100ナノメートル近くまで微細化されると、レジストマスクの倒れを防ぐために、レジスト膜厚は300ナノメートル程度が限界となります。このため、レジストマスクからのカーボン含有物の供給が難しくなり、高精度なAl配線加工を実現する保護膜の形成が困難になっていました。 このような背景から、当社では、次世代半導体のAl配線加工に対応するため、(1)レジストマスクに依存しないドライエッチング技術、(2)高密度なパターンの保護膜に適したカーボン含有物の生成技術を開発しました。技術の特長は、以下の2点です。 (1)エッチング添加ガスの選択によるレジストに依存しない高精度加工の実現 カーボンを含む工業利用可能なクロロカーボン系のエッチングガスを添加し、レジストに依存することなく、サイドエッチング防止に必要なカーボン含有物の供給を実現しました。また、クロロカーボン系のエッチングガスによって形成される堆積膜は、酸素プラズマで容易に除去できるため、異物や残渣の発生が少なく量産加工に適しているという特長があります。 (2)UHF-ECRプラズマによる高精度エッチングの実現 中密度・低圧のプラズマを生成する日立独自のUHF-ECRプラズマを配線加工に適用しました。この領域のプラズマを用いると、従来の高密度プラズマを用いたエッチングに比べ、側壁の入り口で簡単に吸着せずに、狭い配線と配線の間に供給されるカーボン含有物を生成することができます。このため、高密度パターンにおいても、サイドエッチングを抑制することが可能です。また、本方式では、デバイスに与える損傷も小さいという特長があります。 今回、本技術を、厚さ300ナノメートルのレジストマスクを用いた線幅120ナノメートルのAl配線加工に適用した結果、加工精度10ナノメートルの高精度加工を実現しました。 本技術は、低コストのAl配線を最小線幅100ナノメートル以降の半導体デバイスでも利用可能とするもので、半導体デバイスの微細化と低コスト化に貢献できる量産加工技術です。また、レジストマスクから発生するカーボン含有物に依存しないため、今後、導入が検討されている酸化ケイ素マスクや窒化ケイ素マスク(*4)によるAl配線加工へも適用が可能です。 本成果は、9月26日から東京で開催されている「2001年 国際固体素子・材料コンファレンス(SSDM2001)」で発表しました。 ■用語説明
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以 上 |
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