日立製作所
電力・電機グループ(グループ長&CEO:久野勝邦/以下、日立)とバブコック日立株式会社(取締役社長:二宮敏/以下、BHK)は、このたび、出雲市外6市町広域事務組合より、キルン式ガス化溶融システムを約89億円で受注しました。
今回の受注は、日本で初めての都市ごみ炭化燃料化施設として、糸魚川地域広域行政組合から日立金属株式会社と共同で受注した施設に続き、二件目になります。
ガス化溶融炉システムは、ダイオキシンの発生の低減、焼却残さの減容化、廃棄物の再資源化、ゴミエネルギーの有効活用による総CO2抑制等に有効であり、従来型の焼却炉が抱えていた問題が解決できる次世代型廃棄物処理システムとして注目されています。
今回受注したシステムは、キルン式のガス化炉と旋回溶融炉を中心に構成したものです。ガス化炉は、フランスのTHIDE(ティド)社の技術を導入し、旋回溶融炉は、日立の石炭ガス化燃料プラント技術をベースに開発します。
システムの特徴は、次の通りです。
■今回受注したキルン式ガス化溶融炉の特徴
(1) |
ごみ熱量の有効活用
ガス化炉でごみを蒸焼きにし発生する熱分解ガスは、乾燥炉、ガス化炉、蒸気過熱器の熱源として利用します。また、炭状残さ(チャー)は溶融炉で燃焼させ、灰分を溶融スラグ化します。さらに、溶融炉排ガスにより、蒸気を発生させ、高効率発電を実現します。
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(2) |
運転の安定性向上 |
[1] |
ガス化炉の前段に乾燥機を採用したことにより、ガス化炉の長さを約二分の一に短縮、水分量の一定化を実現し、運転の安定性を向上させました。 |
[2] |
溶融炉は、熱分解ガスを使わず炭状残さ(チャー)のみの単独燃焼溶融方式であるため、ごみ性状の影響を受けません。 |
(3) |
金属のリサイクルが可能
ガス化炉では、金属類が酸化されないので、そのまま回収してリサイクルが行えます。 |
(4) |
ダイオキシン類を抑制
施設の排ガスは、完全燃焼と充分な処理により、安全なガスとして排出します。 ダイオキシン類の濃度は、0.01ng−TEQ/m3以下を保証します。
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■ 受注施設の概要
(1)施設名称 |
: |
(仮称)出雲エネルギーセンター |
(2)施設規模 |
: |
218t/日(24時間連続運転)
(同広域圏内の都市ごみの他、近隣の自治体より圧縮梱包したごみを受け入れる。)
発電規模 約2,800kW(余剰電力は中国電力に売電の予定) |
(3)設置場所 |
: |
島根県出雲市芦渡町地内 |
(4)竣工 |
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2003年3月 |
(5)受注金額 |
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約89億円(消費税含) |
■THIDE(ティド)社の概要
(1)会社名 |
: |
THIDE ENVIRONNEMENT SA
(ティド 環境 株式会社) |
(2)所在地 |
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フランス パリ市郊外 |
(3)代表取締役 |
: |
Lavigne Delville(ラビニュ デルビル) |
(4)事業内容 |
: |
キルン式炭化システムによる廃棄物処理施設の建設。 |
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