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2001年3月1日
スーパーテクニカルサーバ「SR8000」が気象庁で稼働開始
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  日立製作所はこのたび、気象庁向けにスーパーテクニカルサーバ「SR8000モデルE1」を納入し、
本日から稼働を開始しました。今回稼働開始したシステムは、同庁のシステム運用室(東京都清
瀬市)に設置され、気象資料総合処理システム(COSMETS)の中核として使われます。また、本シ
ステムは、従来システムの約20倍の性能(最大理論ピーク性能:768ギガフロップス(*1)を有し、
2000年11月発表のTOP500スーパーコンピュータサイト(*2)において、気象関係では世界第3位に
ランクされています。

  気象庁では、気象、水象、地象等に関するデータの解析及び予報のために、高性能コンピュー
タを導入してきました。近年、台風や豪雨などの被害により多数の死者が出ていることなどから、
より詳細で正確な防災気象情報の提供が求められ、また、季節予報等の予測精度の向上を求める
声も高まっています。こうした要望に応え予報の精度向上を図るために、数値予報の高度化が必
要になり、「SR8000モデルE1」が導入されました。

  「SR8000モデルE1」の導入によって、特に、以下の数値予報が改善されています。
  従来の数値予報は、基本的には、地球大気全体の動向を予測する全球数値予報モデル(水平解
像度:約60km)と、アジア付近をより細かく精密に予測する領域数値予報モデル(水平解像度:
約20km)の二つの数値予報モデルがあり、これらの結果を予報業務に利用していました。
  今回、演算能力が大幅に向上した「SR8000モデルE1」の導入により、従来の数値予報モデルに
「日本付近の詳細な予測を行なうメソ数値予報モデル(水平解像度:約10km)」が加わりました。 
これにより、局所的な気象現象の予測精度が向上し、急激な気象変化、集中豪雨等の発生域や時
刻等の数値予報が正確になるため、よりきめ細かな防災気象情報の発表が可能になります。さら
には、このメソ数値予報モデルの予測結果を導入することで、現在は3時間先までである降水短
時間予報が、6時間先までの予報になります。
  また、台風数値予報モデルの精度向上により、現在は24時間先までである台風の強度に関する
予報が、48時間先までの予報になります。さらに、アンサンブル数値予報(*3)モデルの高解像度
化等が実施され、これにより、週間天気予報や1か月予報の精度向上が図られます。

  本システムは、人命及び財産を自然災害から守るために遂行される気象業務の中核的役割を担
うものと言えます。今回の演算能力の大幅な増強により、正確な予報の迅速な提供が期待されま
す。

(*1) ギガフロップス:浮動小数点演算を1秒間に10億回実行する能力
(*2) TOP500スーパーコンピュータサイト:世界最大級のスーパーコンピュータの性能に関する
     統計情報として広く知られており、科学技術計算向けコンピュータの代表的ベンチマーク
     テストであるLINPACK(密行列を係数行列としたn次元連立一次方程式解法プログラム)の性
     能値Rmax(サイトでの構成におけるLINPACKによる性能値)を使って、各サイトのスーパー
     コンピュータの順位をつけるもので、1年に2回発表されます。
(*3) アンサンブル数値予報:観測結果に観測誤差程度のばらつきを与えた多数の初期値を作って
     それぞれ数値予報を行い、予想結果の平均やばらつきを予測情報として利用する手法



                                                                             以上




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