日立製作所 半導体グループ(グループ長&CEO 石橋 正、以下 日立)は、次世代MOSデバイ
ス向けの高誘電率ゲート絶縁膜(High-K)(注1)材料とそのプロセス技術の開発につき、
欧州ベルギーにあるマイクロエレクトロニクスの研究開発センタであるIMECvzw(プレジデ
ント&CEO ギルバート・デクラーク、 以下IMEC)のHigh-K 開発プログラムに参加すること
で、IMECと契約を締結しました。
次世代MOSトランジスタを開発する上で、高性能のシリコンLSIの微細化を追求していくと
リーク電流が増え消費電力が増えるという問題が起きてきます。そこで性能を追求しつつ消
費電力を少なくするためには、MOSトランジスタのゲートリーク電流を増加させずにトランジ
スタの特性を向上させることができるHigh-K材料の開発が必要となります。
High-K開発プログラムでは、0.1μmノード以降のCMOSゲート絶縁膜として、SiO2換算で
膜厚(EOT)(注2)1.0 nmのHigh-K材料の選定およびプロセス技術の開発を目標としてお
り、さらに、EOT 0.5 nm以下への適用の可能性も検証します。High-Kの材料では成膜装置
の開発が重要であり、装置メーカ、 材料メーカの協力を得てALCVD(注2)、MOCVD(注3)
の技術開発を行っていきます。
また本プログラムでは、High-K材料導入に伴う技術として、環境・安全への問題も検討しつ
つ、洗浄、汚染制御、物理的・電気的特性解析、MOSトランジスタの信頼、LSIの製造プロセ
スを開発していきます。
High-K開発プログラムは、昨年8月からスタートしており今後3年間に渡り研究が進めら
れますが、既に米国のInternational SEMATECH(注4)も昨年10月より参加しています。
日立はこのプログラム参加により、上記の高い技術ハードルの克服のため、世界的な開発リ
ソースネットワークを利用することにより、3年以内にHigh-K材料を採用したシステムLSI
の製品化を目指していきます。
<注釈>
1. High-K(=High-dielectric constant) 高誘電率ゲート絶縁膜
2. EOT(=Effective Oxide Thickness) SiO2換算物理膜厚
3. ALCVD(=Atomic-layer chemical vapor deposition)
原子層化学気相成長法で成膜技術の一種
4. MOCVD(=Metal organic chemical vapor deposition) 有機金属原料化学気相成長法
5. International SEMATECH(Semiconductor Manufacturing Technology Institute)
半導体製造技術に関する研究組合
1.団体名:IMECvzw
2.所在地:ベルギー国ルーベン市
3.設立:1984年
4.職員数:1000名以上
5.業務内容:マイクロエレクトロニクス技術・情報通信技術の研究開発及びライセンス
6.売上高:1億ドル以上
7.契約先:ベルギー国フランダース州、EU、半導体メーカ、半導体製造装置メーカ等
8.その他:200ミリウエハ用のパイロットラインを所有
以上
|